びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

アイスランド

ここでは、「アイスランド」 に関する記事を紹介しています。
はてなアンテナに追加   

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手

オススメ度:☆☆☆☆☆
photo
湿地
アーナルデュル・インドリダソン 柳沢 由実子
東京創元社 2012-06-09
評価

深い疵 (創元推理文庫) 特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) ファイアーウォール 下 (創元推理文庫) ファイアーウォール 上 (創元推理文庫) 死せる獣 ―殺人捜査課シモンスン― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

by G-Tools , 2012/09/20


湿地(アーナルデュル・インドリダソン)

恐ろしい小説。

アイスランドの小説を読んだのは初めてだった。
アイスランド語になじみがないので、人名を混同するし人名と地名の区別がつかない。
でもそんなことが気にならないほど、おもしろかった。

残されているのは
湿った土地の印象だけでなく、
凍った土地の印象。

アイスランドでは、死体は土に帰らないのだろうか?
三十年も経った死体が形を保って事件の流れに生々しい存在を浮かび上がらせる。

朽ちることのない過去の恐怖が、そのままの姿で帰ってくる。

かつて行われた卑劣な性犯罪が子どもを産み落とし、その子に重荷を背負わせる。あまりに重い、負いきれぬ荷物を。
「湿地」に描かれているのは、逃れ難い血の宿命だ。


舞台は現代で主人公は警官だが、謎解きやプロファイリングや科学捜査は特に活躍することなく、物語の中で徐々に過去と現在が繋がっていく。(ドーナツやコーヒーも登場しない。ここはアメリカじゃない)
いくつかの重大なパズルが合わさったところに浮かび上がる絵は、子どもたちの死に顔だ。

子どもを失うことへの凄まじいばかりの恐怖がゆすぶられる。
残された親の苦しみは、私が想像している通り、生きながら自分を殺された人間のようだ。
とにかくその、幼い子を亡くすリアリティがすごい。鬼気迫る。

凄惨な殺人事件が起こるのは必然だった、宿命だったのだ、と心の底から納得できる、その説得力に唸ってしまった。

幸せな人は一人も出て来ない。登場人物のページに名前が挙がっている23人のうちだれ一人として平凡な幸せを生きている人がいない。

もっと刺激的な犯罪なら、アメリカの小説やドラマで山ほど見ている。
犯罪のやり口は平凡で、動機も状況も常軌を逸したものではない。
でも、肋骨がやせ細るほど、怖い。

「湿地」は、独特のペースで明らかになるドラマが湿地やアイスランドの気候の描写と渾然一体となり、みごとなゴシックホラーとなっている。




湿地湿地
アーナルデュル・インドリダソン 柳沢 由実子

深い疵 (創元推理文庫) 特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) ファイアーウォール 下 (創元推理文庫) ファイアーウォール 上 (創元推理文庫) 死せる獣 ―殺人捜査課シモンスン― (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

by G-Tools


web拍手

スポンサーサイト

関連タグ : アーナルデュル・インドリダソン, アイスランド, ミステリー,


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。