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オスカー・ワイルド

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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:に疲れた人へ
ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)
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容整形を繰り返す人々、という特集をTVで見た。
もともとがしい上に、リフトアップなどの容整形を常に施している女性。ハワイで17歳に間違われてお酒を売ってもらえなくて、と嬉しそうに医師に報告していた。確かに、日本人から見ると17歳は言いすぎでも、24,5歳に見える。でも本当は、40歳。
容整形をしない、という人生もありえたと思うか、との問いに彼女は、こう答えた。
「こんなに見た目で評価するような世の中じゃなかったら、見た目じゃなくて内面を磨く、という道もあったと思う」
これは、正直ではあるが、ちょっと違う。
彼女が言っている内面、とは結局表面なのだ。
「人からの評価を自分の価値観としている限り、内面などどこにもない」
と思う。
彼女の内面磨きの具体的なイメージは、勉強して教養を身につける、とか、そういうことなのだろうか。お花を習ったり、楽器を練習したり、とか。
容整形に使うはずだったお金の、使い道のバリエーション。
そして誰かが、誉めてくれる。

「ドリアン・グレイの肖像」のドリアン・グレイは若く美しい貴族だ。無垢だった彼を、一枚の肖像画が変えてしまう。彼は自分がこんなにも美しかったのだ、という事実に打たれる。そしてそこに居合わせた皮肉な詩人の言葉が、彼を覚醒させる。自分には美しさしかない、そしてその唯一の宝は若さと共に失われてしまうのだ。それは死の宣告のように彼を恐怖に陥れる。
彼は耐えかねて叫ぶ、「僕は年を取らずに、この絵が年を取っていけばいいのに!」
そしてその願いは、聞き届けられる。
物語はシンプルでドラマもあり、登場人物それぞれの物語の配分も絶妙で、面白く読むことができる。
しかしこの物語には、ドラマという点で考えると奇妙なところがひとつだけある。

ドリアン・グレイは無邪気で優しい青年だったのだが、身勝手で他人の心に興味のない人間になってしまう。
しかしその変化はドラマという点で考えると、その絵が自分の代わりに年を取り、冷酷な行いが変えていく人相さえも代わりに引き受けてくれる、と気付く時に始まるのがふさわしいだろう。
しかし、その前から既に彼は表面的なことにしか興味がない、人を評価することにしか興味がない人間に変貌しているのだ。
彼が婚約したのは身分の低い女優だが、才能があった。彼はその才能を愛でたのだが、恋に落ちた女優は突然自分の仕事に興味を失い、へたくそになってしまう。それでもその才能の喪失を彼女は燃える愛の歓びに胸を張り誇らしげにドリアン・グレイに告げる。その愛の言葉は素直で美しく、喜んで両腕を広げる男はいくらでもいるだろう。
しかしドリアン・グレイはそんな彼女を陳腐だと言ってあっさり捨てる。
その直後なのである、ドリアン・グレイが例の肖像画の様子がおかしいことに気付くのは。

「美は才能のひとつだ。美に説明は要らない」
確かに美の力は圧倒的だ。
しかし、美はその持ち主を打ちのめす。そして、その根拠無きゆえに圧倒的で、また根拠無きゆえに全く頼みにならない。自信と恐怖を与える。これがなくなったとき、自分には何も残らないかもしれない。老いの恐怖。愛する自分の美しさを確認するたび、同時に飲まされる毒は日々刻々、年老いていく姿。美はいつかやがて自分を見捨て去り、二度とかえって来ないだろう。
「いつまでも若さを失わないのが僕のほうで、この絵が老いていけばいいのに!そうできるなら、そのためなら、僕は何だって差し出すよ。そうさ、この世の何だって差し出す!魂だって差し出すよ!」
美の真実を知った時点で、ドリアン・グレイはもう無垢な魂を失っているのだ。


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