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ゴンクール賞

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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:女性
オススメポイント:仏領ヴェトナムの優美

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マルグリット デュラス Marguerite Duras 清水 徹

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女性の最大の魅力の一つは、自分は魅力的だとしんから確信しているところにあるように思う。
女流作家の作品を読み終わると、「なんだ結局”私ってこんなにすてきなの”ってだけじゃないか」と呆然とすることが多い。でもそういう作品の方が一般的に言って面白い。
あくまでも私の体感でしかないのだが、女性が頭を使い自己を離れた作品を書くと却ってぼんやり柔らかさが表出してしまい、詰めの甘いものになってしまうように思うのだ。逆に自分は魅力的なんだと全面に押し出してくる女流作家には凄みや冷徹さが備わっている。矛盾するように思うけれど、これが私の多読の結果得た印象である。

「愛人」はデュラスの仏領ヴェトナムでの最初の性体験をもとにした小説で、十五歳の少女の魅力だけをひたすら物語っている。
貧乏な一家、凶暴でエキセントリックな長兄、弱く言葉も足らないのに分身のように思っている次兄、人生を扱うのに巧みでない不幸な母、暑く退屈なヴェトナム。白人だから大目に見てもらえる不品行、淫蕩な寮生活。そして滑らかな肌をした金持ちの中国人、ショロンの男と呼ばれる、彼女の最初の愛人。セックスが巧くて、お金をくれて、身も世もなく彼女を愛し、彼女が去ると知ると不能になってしまう男。失ってからも愛し続け、それを切迫と抑制に打ちひしがれて電話ごしに伝えてくる男。
主人公の少女だけではない、この人々も背景も、すべて彼女自身なのだ。ある女の人生に時制もなく内蔵され秘蔵されてきたできごと、仏領ヴェトナムの熱帯にとろけさせられて、輪郭が融け合っている。「愛人」はそういう話だと、私は思っている。

この小説の中で、彼女は誰も愛さない。
でも気付いただろうか、愛していないのではないのだ。
彼女は愛という使い古された言葉、記号に従うことを拒否しているだけなのだ。あまりにも自分自身の魅力を愛しているから。
それは単純な自己愛ではない。自分の感性、才気に心の底から心酔しきっていてそれしか信じず、自分が瞬間のうちに発見する新しい何かだけで自分に触れる全てを感じ、言葉にしたいのだ。
この本を読めばわかるだろう、彼女がそのやりかたで、全てをうけいれ全世界と自分をとろとろに溶け合わせていたことを、そして彼女があまりに魅力的だということを。

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