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スコット・フィッツジェラルド

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメポイント:若さの一瞬のきらめき
オススメ対象:青春を与えられた人に。
グレート・ギャツビー
グレート・ギャツビーフィツジェラルド

新潮社 1989-05
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おすすめ平均 star
starGreatというIrony
starニック・キャラウェイの存在感
star心にしみわわたる作品

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夏の日の夕暮れ空。青い空気。涼しい風。刷毛で引かれたグレーの雲。縁の赤く燃える紫の雲。手の届くようなピンクの雲。投げかけられた光の筋。使われることなく返って来る夏の一日。
フィッツジェラルドの作品の中でもいっとう有名だと思われるこの「グレート・ギャツビー」。私にとって夏の日の夕暮れ空のようだ。
それは一瞬激しい美しさで私の心を捉えるがその正体を明かすことのないまますぐに夜に抱きしめられてしまう。
初めてこの本を読んだときには私は若くて、大学生だった。
そしてギャツビーになんかちっとも共感できなかった。
なぜこの男はデイジーなんていうくだらない女に一生を捧げ、自分でない者になろうとしているのか。ばかげた話に思えた。
自分でない者、それは良い家柄に生まれ、ハーヴァード大学で完璧な教養を身に付け、事業で成功し、NYの広大な邸宅で盛大なパーティーを開いて人々に囲まれている男。
自分の出生や経歴を隠すなんて、若き日の私にとって恥の極致だった。プライドのかけらもない。女のためとはいえ、結局ギャツビーもデイジーも同じあなのむじなが追いかけあっているだけの下らない話だと思った。
でも先日この本を読みかえして、こんなに清涼な物語であったのか、とびっくりし、反省させられた。

これは若さについての物語である。第一次大戦中、士官としてデイジーに出会ったギャツビーだけでなく、誰のものでもなかったお嬢さん時代のデイジーだけでなく、再会の時ですら彼らは若い。
ギャツビー。女神デイジーが象徴する富という価値観に身を投じ、夢のような成功をおさめたのに、過ぎ去った年月に阻まれてその思いを果たせない。

今、彼の成功をかっこいいと思う。嘘つきと呼ぶ気にはなれない。それは私の胸を掴み震わせる。成功でも購うことのできない失われた若さ。その意味を私も知ったのかもしれない。

そしてあと5年経った私は、この小説をどう思うだろうか。
きっとなんとも思わないんじゃないかな。
そんな気がしてならないのだ。
夏の日の夕暮れ空のように、呼び声に目をそらした一瞬後には、もうそこにはいない。

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