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チェコ

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:旧共産圏の生活のイメージが浮かばない人。
オススメポイント:時代に翻弄されて。

4043756011嘘つきアーニャの真っ赤な真実
米原 万里

角川書店 2004-06
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ロシア語会議通訳のかたわらエッセイスト・コメンテイターとしても活躍する米原万里は、1960年~64年プラハで少女時代を過ごした。プラハの春以前のチェコスロバキア。
共産主義。その思想および19世紀~20世紀に及ぶ大きな運動は、今の資本主義先進国では”お笑い草”という扱いしかされていない。
でも私は非常にこの時代この運動に興味を持っている。思想的にというのでは全くないのだが、(数多い革命を含め)共産主義運動ほど「人間はこんなにも時代に翻弄される」ということを教えてくれるムーブメントは他にないと思うのだ。
しかし東側の情報は堅苦しいドキュメンタリーや大筋で歴史をなぞらえるだけだったりと、人間を感じさせる材料が非常に少ない。旧政権に迫害されていた人のインタビューや今の就職難についてのレポートは重要だとは思うけれど、生活の中にあったはずの笑い・喜びを知らないと、苦しみに奥行きが出ず、理解や共感ができない。
「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」は文章も明晰で視点の距離とピントが心地よく、良いエッセイの備えるべき美点を総ざらえしているが、その上やはり内容が良い。同級生三人の鮮やかな思い出と、大人になって探し出した彼女達の現在。ましてや出会いはプラハのソヴィエト学校、少女達の国籍はギリシャ・ルーマニア・ユーゴスラビア。再会までの歳月激動に揺れた国々である。
やはりどこの国であっても同じように少女時代があるのだと思わせてくれる、貴重な一冊。人形劇と美しい町並みと弾圧されたプラハの春のイメージしかなかったチェコに、人の声やほこりっぽい雑踏が見えてくる。
ベルリンの壁の崩壊が感動的だったのは、それが共産主義の敗北と資本主義の勝利を意味したからではない。あのとき崩れたのが共産主義ではなく”壁”だったからだ。壊れた壁の向こうに、おたがいに、ただの人間がいたからだ。それを忘れたくない。



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