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トモエ学園

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タグ:トモエ学園 の記事一覧

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメポイント:累計750万部の戦後最大のベストセラー いわさきちひろの美しい挿絵
オススメ対象:老若男女
窓ぎわのトットちゃん (講談社文庫)
窓ぎわのトットちゃん (講談社文庫)黒柳 徹子

おすすめ平均
starsトットちゃんが転校したトモエ学園の宝物のような思い出
stars涙が溢れた。
stars温かさと優しさにあふれています
stars面白いよー
stars窓ぎわのトットちゃん

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冒頭:


自由が丘の駅で、大井町線から降りると、ママは、トットちゃんの手をひっぱって、改札口を出ようとした。トットちゃんは、それまで、あまり電車に乗ったことがなかったから、大切に握っていたキップをあげちゃうのは、もったいないなと思った。そこで、改札口のおじさんに、
「この切符、もらっちゃいけない?」
と聞いた。


あらすじ:
黒柳徹子の幼少時代を綴ったノンフィクション。
小学校を入学すぐに退学になったトットちゃんは、とんちんかんなことばっかりやってる、好奇心旺盛で元気で明るい女の子。学校からは「迷惑だからもう来ないでくれ」って言われちゃったけど、自由が丘にある小林宗作先生のトモエ学園、という自由な学校に編入して水を得た魚のように活発に成長していく。

感想:
最大の驚きは、十歳で読んだのと三十六歳で読んだのと全く同じだ、ということ。
十歳のときにもちっとも難しいと思わなかった。文章はとても簡単で、じょうず。内容は深刻で大事なことがいっぱい書いてあるけれど、十歳の子にも充分理解できたのだった。
そして三十六歳の今読んでも、「楽しそう!」「見てみたい、やってみたい、会ってみたい!」と思う。

戦争のこと、父がコンサートマスターを務めていたN響にナチを逃れてやってきた指揮者ローゼンストック、朝鮮人の男の子、障害のある同級生、教育問題。
深刻な問題をさらりと書きながらどれも美しく、また時を経ても幻滅のない真実となっているのは、トットちゃんが変わったところのある子だからだろう。人の何倍も好奇心豊かで率直なトットちゃんだからこそ、できることなのだ。

そしてもちろん、トモエ学園の素晴らしさ!
古い電車車両を改装した教室や、黒板に一日の学課を書いたらあとは自習で好きな科目から好きな時間配分で勉強していい方式、午後の九品仏への散歩、畠の授業。そして小林宗作校長の深い懐での人格教育。
注意欠陥・多動性障害(AD/HD)という呼び方のなかった時代、ただ変な子悪い子、と思われていたトットちゃんに初めて会ったとき、トットちゃんのぶっ通しのおしゃべりを4時間もにこにこ聞いてくれた小林宗作先生。トットちゃんを心から理解してくれ、「君は、本当は、いい子なんだよ」といい続けてくれた小林宗作先生あってこそ、彼女の特徴が長所に転じたのだろう。
そして、お父さんお母さんが、娘に常によいものを選んでいるのも感心する。

私がいちばん好きな話は、・・・一番と言いながらみっつあるけれど、そこを抑えてひとつを選ぶなら十歳のときと同じく、『大冒険』だ。

小児麻痺(ポリオ)の泰明ちゃんをトットちゃんひとりで木に登らせる大冒険。
大人に話したらとめられるから、トットちゃんはママに嘘をついて夏休みの学校に来る。
最初の計画通りにハシゴをかけて泰明ちゃんを登らせようとするけれど手足の力があまりない泰明ちゃんは登ることができない。トットちゃんは後ろから押すことにしたけれど、トットちゃんは小さくてはしごを支えながら泰明ちゃんを押し上げる力がない。
急いで探して満身の力で脚立を引き摺ってきて、木のところに立てる。

泰明ちゃんは、とてもビクビクした目で脚立を見た。それから、汗ビッショリのトットちゃんを見た。泰明ちゃんも、汗ビッショリだった。それから、泰明ちゃんは、木を見上げた。そして心を決めたように、一段目に足をかけた。
それから、脚立の一番上まで、泰明ちゃんが登るのに、どれくらいの時間がかかったか、二人にもわからなかった。夏の日射しの照りつける中で、二人とも、何も考えていなかった。


そして二人で頑張ってついに脚立の上まで登りつめたところで、そこから木の枝に移るにはどうすればいいのか途方にくれる。泰明ちゃんと見詰め合ったトットちゃんは泣きたくなるが、こらえる。

トットちゃんは、泰明ちゃんの、小児麻痺で指がくっついたままの手を取った。トットちゃんの手より、ずーっと指が長くて、大きい手だった。トットちゃんは、その手を、しばらく握っていた。そして、それから、いった。
「寝る恰好になってみて?ひっぱってみる」
このとき、脚立の上に腹ばいになった泰明ちゃんを、二股の上に立ち上がって、ひっぱり始めたトットちゃんを、もし、大人が見たら、きっと悲鳴をあげたに違いない。それくらい、二人は、不安定な恰好になっていた。
でも、泰明ちゃんは、もう、トットちゃんを信頼していた。そして、トットちゃんは、自分の全生命を、このとき、かけていた。小さい手に、泰明ちゃんの手を、しっかりとつかんで、ありったけの力で、泰明ちゃんを、引っ張った。
入道雲が、時々、強い日差しを、さえぎってくれた。


二人はとうとう木の上で向かい合って、そして、ずーっと話をする。

障害のあるひとにどうしろとかいうんじゃなく、善いことをしようなんていうんじゃなく、ただこの人が好き、と、心臓にあびせられるように伝わってくる。

泰明ちゃんは程なくして、死亡。
小児麻痺(ポリオ)のワクチンの予防接種が日本で開始されたのは二十年ほど経った1961年。日本での自然感染の根絶、1980年。WHOは2000年には世界での根絶を目指してきたが、インド・ナイジェリア・アフガニスタン・パキスタンにまだ残る。
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黒柳 徹子

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DATA:
10進分類:914.6

内容分類:ノンフィクション
メインテーマ:教育
メインテーマ:子供時代

時代背景:第二次世界大戦中

漢字の難しさ ☆★★
表現の難しさ ☆★★
文体の読みにくさ ☆★★
テーマの重さ ☆☆★
テーマの難解さ ☆★★
テーマの普遍性 ☆☆☆
所要時間:1時間

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