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ヘンリー・ミラー

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オススメ度:☆☆☆☆☆
天使の放蕩 

暗い春 (福武文庫)暗い春 (福武文庫)
吉田 健一

福武書店 1986-11
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あらすじ・感想:


中性的イメージにはエロティックじゃない方とエロティックな方の二種類があるが、ヘンリー・ミラーは後者だ。
彼はやさしい。かわいらしい。そして街から街、路地から路地へとふらふらしている。娼婦や雑踏になじんで、パトロンや友達に寄り添って。

ヘンリー・ミラーが書いたもの。それは『小説』、とは呼べない。もし小説に物語が不可欠ならば。
のみならず詩的で警句に満ちた文章は、オーソドックスな小説の文体の持っているリズム(うねり)とはかなり違う力を主張してくる。

まちがったことを書くのを気にかける必要はない。伝記作者がそういうまちがいを全部説明してくれる。



そう書いているように、ヘンリー・ミラーは自らの体験を闊達に狂った美しい言葉をちりばめて書き連ね、構成を考えたりすることはまるっきり放棄した。
その言葉の魅力はこの本を読み終わらせることがない。永遠に、だ。

しかしそのうちに、肉はばらばらになり、皮膚の下の血が空気と合体でもしたように、急に世界全体が再び唸りだし、からだを支えている骨までが溶け去る。そういう日がきて、われわれはたとえば、初めてドストエフスキーを発見する。



ヘンリー・ミラー同様ドストエフスキーに心酔しているものだから、この一節だけで半日は夢見心地だ。そして続けて、

その本が置いてあったテーブルのテーブルかけの匂いはいまでも覚えているし、時計を見ると、永遠まで後五分しかなかった。



と言われると、時が止まるではないか。

「暗い春」を最初から最後まで通して読むことは、とうに諦めたのだ。
どこを切り取っても広告の宣伝文句みたいにイメージに溢れメッセージの際立つことば。最初から読む必要はないし最後まで読む必要もまたないのだ。
気まぐれにページを開いて、ただそこで時を止める。

太陽が腐りかけ、天使たちが尻の穴に爆竹を突っ込んで空を目指して飛んで行く人生の冬は実に美しい。



ヘンリー・ミラーを読むことは想像力を使うし、それは想像力の中でも、時の金色の光に照らし出された雑踏の中にあって、めにうつるもの・みみにきこえるもの・はだにふれるもの・におい・あじ、ありありと迫ってくるそれら全てが観念を貫いて互いに結びつきあうという感覚、その部分を酷使すると、そのあとしばらくぼんやりしてしまう。
そう、それは人生で稀に降りてくる啓示と同じものなのだ。

暗い春 (福武文庫)
吉田 健一

暗い春 (福武文庫)
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