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ルイス・キャロル

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:大人に。海辺で泣く怪獣に。
ふしぎの国のアリス
ふしぎの国のアリスルイス キャロル Lewis Carroll John Tenniel

おすすめ平均
stars繊細なイラスト

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ずっとハミングしている男が、職場にいる。
「んーーーーー」、と。
心肺機能が高いのか循環呼吸ができるのか、信じがたいほど長く続くブレスだ。
私は「ホーミー(ただし低音だけなんだけどね)」とか「低周波」とか、呼んでいるのだけれど。
彼の低周波が怪我の回復を早めてくれたりするかどうかはわからないが、隣に座っている人は「耳が痒い」と言っている。耳垢が浮き上がってくると。あの音を聞かせながら雪を結晶させたら展開しないでただの固い雹になるだろうと。
彼がどうにも、チェシャ・ネコに似ているのだ。
顔立ちはいわずもがなだが、いつもニヤニヤしているところもぴったり同じだ。
そして何よりもどこまでも自分のやり方を通すところが、不思議の国の住人なのだ。

けれど実際のところチェシャ・ネコは、その姿や神出鬼没から気付く人が少ないけれど、「不思議の国のアリス」においては唯一の常識人であり、奇想天外で詩的な物語にしっかりと筋が立っているのは彼のおかげなのだ。
そう、アリスはまるでデッサンなしにいきなり描かれた絵のようだ。設計図なしに作られた城だ。計画の痕跡がないのだ。なのに決して崩れない。だから決して崩れない。どこまで分解しても、どこまで細かく刻んでも、ふんだんに空想の世界が盛り込まれていてその独自の世界から水も洩らさない。
子供の時分にはむしろアリスはどことなく不愉快だった。では興味がないのかというとそうではなくて、興味は持ち続けて何度も読んでいるのだけれど、あまりに謎が多すぎ、次から次へと息つく間もなく不思議な出来事が連続していくので、少し頭痛がするような、そんな感じなのだ。
けれどこの本は確かに私の感性にごくわずかではあるが決して除外できない影響を荷っている。あの頭痛、あれはかけがえのないものだったのだ。謎よりも美しいものは、この世にない。
ぜひ押しも押されもせぬこの名作をレビューしたいものだ、と、読み返してみたが、今読んでも相変わらず謎は謎のままであり、美しさは美しさのままだ。そして時々爆笑するほどおかしい箇所があるが、これは大人になればなるほどおかしみを増す類のユーモア。
アリスがお兄さんの文法書で例文にネズミが使われていたがためにネズミに話しかけるときに「おお、ねずみよ!」と芝居がかった呼び方をするあたりは文法を学んでみないとまるでわからない冗談だし、執拗に繰り返される「知ったかぶり」というモチーフもね。
帽子屋や三月うさぎとのどたばたや、グリフォンとニセ海ガメの身の上話のくだりの集団での会話は絶妙だ。それは不条理だという定評を裏切ってリアルだとすら言える。

「先生は年寄りの海ガメでした・・・・・・わたしたちは先生のことをいつもゼニガメとよんでいました・・・・・・」
「ゼニガメじゃないのに、どうしてそうよんだのですか?」とアリスはたずねました。
「その先生はゼニに目がなかったからですよ」と海ガメはむっとして申しました。「ほんとにあなたって人はばかだねえ!」
「そんな、あったりまえなことをたずねて、あんた、はずかしくはねえのかい」とグリフォンも口をそえました。

海のそばで泣いている彼らを見ながら解けない謎がこの世にあることに、あしたもあさってもあり続けることに、深く深く感謝しつつ今夜眠りに落ちる。



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