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中勘助

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:日本人の心
オススメポイント:情景のミルクレープ

銀の匙銀の匙
中 勘助

岩波書店 1999-05
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「嘘は言ってない」という決まり文句がある。
ごはんは食べてないと言ったけれど、ラーメンは食べた、嘘は言ってない。
確かに。
「銀の匙」は大人の手になる子供の目で見た子供の世界だ、と古くから言われている。
私はそうは思わない。
子供らしくないことは書いてない、けれど、ここに書かれていない重大なことが、避けようもなく子供の世界にはあるはずだと思うのだ。たとえ誰の子供時代であっても。
透徹一貫した趣味による鮮やかな情景の積み重ねは実に珠玉未曾有の散文ではある。でもこの枕草子を思い起こさせる透徹一貫した趣味こそが大人のものではないか。子供を無防備にするのはむしろ趣味のなさであって、自分の趣味に合わないものを無視・排除する能力のなさだと思うのだ。知恵熱。そう、語られていないこと、それは、知恵熱だ。
知恵熱なしに子供の目で眺める、子供の世界。
「を」という文字を箪笥に落書きし、その形が女の座っている姿に似ているとひそかに心慰められていたというくだり、自分を教化しようとする兄と離れるくだり、どこも心ほどかれる。それは、この物語が立て付けの悪い引き出しから転がり出た銀の匙をきっかけにほろほろとまろびでるのと同じなのだった。

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