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又吉直樹

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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメポイント:火の点かないライター

火花火花
又吉 直樹

流 第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) スクラップ・アンド・ビルド 新・四字熟語 (幻冬舎よしもと文庫)

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売れないお笑い芸人、徳永が主人公。そして同じく売れないお笑い芸人、神谷。徳永よりも若干年上。
二人はそれぞれ別の男とコンビを組んでいる売れない漫才師。事務所も別。
徳永はとあるイベントで知り合った神谷に、衝動的に弟子入りする。
した。

徳永が又吉なんだろうな、というのはすぐわかるんだけれど、この徳永がよく又吉のイメージ通りの感性・人柄で、自分のことがわりと見えてるひとなのねぇ、と感心。
お笑い芸人で本を出す人けっこういるけど、「おまえだれだ?!」とびっくりするくらい活字の人格が違う人っていくら文章が上手でも、うすっぺらい感じがしちゃう。
だから、そこはまずクリアしてて、ああ、作家なんだなぁと思った。

神谷は、とにかくやることがめちゃくちゃ。そのへんのストリートミュージシャンとかお母さんに連れられたあかちゃんとかに遠慮なしに絡むし、女にも金にもだらしがない、肝心の漫才の舞台も世の中のルールを無視してハプニングやトラブルばかり起こる。そして徳永におごってくれる。消費者金融で借りた金で。そしてやさしい声で話す。

神谷の破天荒さ、だらしなさ、やさしさはよく描かれてるけど、

『神谷さんってどこが面白いの?なんで弟子入りしたの?』

というところは伝わってこない。

『いまいち肝心のところが描けてないのではないかなー』

という不安をかかえながら

『この本ほんとにおもしろいのか』

という不安をかかえながら

読んだけれど、
最後まで読んだら、
本は面白かったよ。

徳永は又吉とは違い、ブレイクしないまま相方が結婚を機に堅気になったため解散・引退する。その最後のライブもちょっと感動的に描かれていて、だから気にならなくなってしまうんだけど、やっぱり「あれっ綾部のことは描ききれないのかな、それが相方というものなのかな」という気はしたよ。

そうそう、神谷は面白くなかったんだよ。
最後まで読んで、面白くないんだということがわかった。

『…そうか、神谷さんは面白くなかったのか…神谷さんは、面白くなくていいんだ。そこが神谷さんの面白いところだったんだ』

この疑問がとけたときが一番興奮しました。

面白さを求め、あがき、やがてあきらめていく、そんな売れない芸人達は現実にゴマンといるんだろう。
生き馬の目を抜くような世界で並び立つことのできない男と男が散らす火花……は全く描かれていなくて、
恋愛のような、心細い少年のような、叙情的な交わりに、タバコに火をつけようとオイルの切れたライターをカチカチカチ、と鳴らしたような、火を生まなかった火花がいくつかあったような、そうだ確かにきらめいたような、…。

そう思えばじわっとくる、読後感。




火花火花
又吉 直樹

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