びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

吉本ばなな

ここでは、「吉本ばなな」 に関する記事を紹介しています。
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よしもとばななワイン持込事件「人生の旅をゆく(よしもとばなな)」の直後に、よしもとばななが公式サイトの日記で自らの作風について語っている。よしもとばなな 8月15日の日記

この日記、正直で潔い。
「読む人を選ぶ」だの「茶化しているわけでなく」だのの言葉尻はともかくとして、だ。(枕詞だと思う、揚げ足が多すぎて取る気にならん。)
よしもとばななが、一人のクリエイターが、ここまで無防備になるのは謙虚なことだ。
書くという作業は彼女にとって感覚的なものなのだということがわかる。しかもそれは研ぎ澄まされた感性、というよりもっと大雑把なもののようだ。
できないものはできない、批評されていることは正面からうけとめる、苦手なことでもそのつもりで書けばそれなりにカバーできるのかもしれない、でも書くということはあるかなきかの何ものかを追う切実な行為であり、自分が自分であり続けることがその何ものかを感じ続けることができる唯一の方法だから、このままでいなくてはならない。
私は彼女が言っていることは正しいと思う。
「大胆な省略」が彼女の魅力を創り出している、かどうかは疑問を持っている。しかし、それをなくそうと意識しだすと、彼女の魅力は失われてしまうという危惧は同じく持っている。
変わらないでいようという決意を大事にしてほしい。
そして、中途半端に大人にならないで欲しい。

ワイン持込事件だって(その他もろもろ、温泉刺青事件とか・・・)、登場人物が40代のよしもとばなな
じゃなくて、20歳前後の若者だったら、もっとナイーブなのだ。キッチンとか、白河夜船と同じ世界の出来事だ。
叩かれた「人生の旅をゆく」でも、初恋の人や、その頃仲の良かった友達とのことについて書いているくだりは実に良く書かれていて、心に残る。

次回作に期待している。


↓たたかれコメントばっかりになってしまったAmazon。どんまい。新作を書いて。
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starsがっかり
starsこんな非常識なエッセイを本にして売り出す出版社も同罪
stars読み苦しい、見苦しい。
starsこんな女が書いた本なんか
stars作家の錯覚

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オススメ度:☆☆★★★
人生の旅をゆく (幻冬舎文庫)
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stars私が人脈持ってる人間だとわからないの!?
starsロハスにもホドがある
stars優しくなれる本
starsいい旅を続けていきたいです

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よしもとばななが2ちゃんねるで叩かれまとめサイトにも登場したためか、びぶりおふぃりあにもよしもとばななや著書名で検索してきたアクセスがいくらかあった。
叩かれている原因は、「人生の旅をゆく」というエッセイ集の「ある居酒屋での不快なできごと」。とある居酒屋にワインを持ち込んで怒られたことへの腹いせの文章だ。
これは2006年出版の本でホットなものではないが、きっかけとなったのはそのエッセイがとあるブログで転載されたことのようだ。インターネットの情報の速さ・爆発力が出版のそれと雲泥の差だということを改めて認識した。
それだけじゃない。あっという間に火が付くには、対象者の嗜好傾向を選ばず伝播するというインターネットの特性と、プラスある条件が必要だ。その条件とは、”越境”。嗜好・傾向によって漠然となされている住み分けの境界を越えた飛び火が乾いた草原に燃え広がる。
作家の公式サイトウォッチャーの私からすると、上記エッセイで猛烈に叩かれていた要素の全てが旧知のものなのである。それらは恒常的に彼女の日記に登場する。(だからガチ…)さらに2ちゃんねるの(閑古鳥が鳴いている)よしもとばなな板でひっそりと批判されてきたことなのだ。
あそこまでのボリュームを引用して著作権上問題にならないのか?ということは私以外の人に考えていただくことにして、まあそういう大胆な転載があったから今回の”越境”および延焼が起こったわけだ。

件のエッセイを例えると、
精神は
「俺は偉いんだぞ~チキショー会社のやつら~ばかやろー俺がその気になればあんなやつらなんて~」
と飲んでくだを巻く平凡なサラリーマン
なんだけど、
でもよしもとばななは文学賞をいくつも受けている有名人だから
しゃれになってない、って感じかしら…。
そして…身もふたも無いことだが、彼女文章力本っ当に無いからね、そこがとどめをさすんだよね。

初期のいくつかの中篇のあと、よしもとばななは長編小説を書こうとした。ところが彼女には長編小説を書くのに必要不可欠な才能が見事に欠落している。すなわち、書き記された物語を読者に、彼ら自身の体験として新たに差し出すこと。「これはすごいんです!」って書かれたものを読むんじゃなくて、出来事や描写から「これすごいな!」と思わせること。これができない。まあわかりやすく言っちゃえば、お笑いでつまんないギャグ言いながら自分で笑っちゃったり、うけなかったオチの解説しちゃったり、というかんじ。まあ、そういう意味では箸にも棒にもかからないよ。
だからよしもとばななの小説は、「スゴイことが起こる予感」と「スゴイことが起こった感想」に終始して、「スゴイこと」が書かれてない。読みながら半笑いで、「へ~スゴイね~」って、こっちは。

私はね、前にも書いてるけどばなりん嫌いじゃないよ。
すべり芸の一種として好きだし、なんでか知らないけど何度も読み返してる。
でもね…、よしもとばななっていわゆる天然でセンスないから、自分がすべり芸人だって自覚が全く無いんだよね。
今の地位があるのは吉本隆明の娘だから…ってみんな言うけど、それはデビューのきっかけには成り得たかもしれないけど、それ以降は実力だろうとは思う。江国滋の娘、江国香織がまったく批判されないのは吉本隆明が現代においても思想の巨人として口の達者な文学青年たちに読み継がれており、江国滋の得意としていた演芸方面の愛好者は数も少なく批判精神よりはユーモアのセンスがあるということなのか。江国香織が押しも押されもせぬ実力があるからなのか。まあ両方なんだろうけど、もうひとつやっぱりよしもとばななが「吉本隆明ばりの思想と詩性」をもっていないとそうまでならんだろうというようなスノッブに見えてしまうところがね、ある。
スノッブに”見えてしまう”、と書いたのは、本当はそうじゃないんだろうな、と思うから。
ただの”恐るべき子どもたち”なんだと思う。
ただの少女漫画ちっくなんだと思う。
なんかバブルの頃の同人世代の、コンビニとかワンルームマンションとか午後ティーとかシーチキンおむすびとかカロリーメイトとか、インターネットとかまだなくてケイタイはまだ馬鹿高くて大きくてだから友達とは物理的に一緒にいる必要は絶対あった、不良になるでも不純異性交遊するでもない子どもたちに初めて与えられた夜、それも頂点を目指して狂ってた大人たちがうっかりおこぼれで与えてしまった夜、あの第三の終わらない夜が開かれて、そこを浮かれて疾走してた子どもたち、…それをいつまでも地で行っててさ、おばさん懐かしくてね。


”よしもとばなな”で検索して来られた方はぜひ、
松岡正剛氏の「千夜千冊 第350夜」を読んでください。
松岡正剛 「千夜千冊 第350夜 吉本ばなな TSUGUMI(つぐみ)」
※注意※ よしもとばななについて語った回ですが、TSUGUMIについてはほとんど書いてないです。

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stars「死」を受け入れるということ
stars大人の心の予行練習
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冒頭:

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。



収録作品:
キッチン
満月―キッチン2
ムーンライト・シャドウ

あらすじ:
親しい人を亡くした若い人が、悲しみから立ち直るというテーマの作品三篇

感想:
「さっきの話ですけど、言わないでもらえますか、他の人に。誰にも言ったこと、ないんで」
嬉しかった。秘密にしてねと言われることも、誰にも言ったことないことを言ってもらうことも、久しぶりだったから。そして少し、嬉しいと思ったことで後ろめたくなった。彼女の話は、深刻だったのだ。
彼女はぎょっとするくらい食の細い女の子だった。とても若いのに夏でも肌を何重にも重ね着して覆って、唯一出ている手首と足首は硬く締まっていた。
人と食事ができない、と彼女は言った。
すっごく仲がいい人ともいっしょに食べられないんです。気持ちが悪いんです。喉を通らなくなっちゃうんです。何年か前から。病院にも行ってるんです。
こうしたら?とか、こんな話をきいたことが、とか、ああ私の友達も、とか。そんな余地はなかった。
「うん、良くなるといいね」
とだけ、答えた。

よしもとばなな、結構好きである。
今となっては私の中ではすっかり「サブカルチャー」枠に入ってしまったけど、『キッチン』や『TUGUMI』は今でも好きだ。
愛する人を失う、というテーマをよしもとばななはデビュー以来幾度も繰り返して書いている。そして喪失から再生に向けてのアプローチとして後にオカルトを全面に打ち出すようになりサブカルの果てに旅立つのだが、最初は「食」がその役割を果たしていた。
食べること、料理すること、の素晴らしさだけでなく、よしもとばななが最も重きを置いていたのは「ふたりでいっしょに食べる」という行為だった。

同時期の作品ということで村上春樹「ノルウェイの森」で言うと、再生へのアプローチはセックスだった。
よしもとばななが軽んじられたのは文章云々ではなく「食」が身近で手に入りやすすぎるためだったし、村上春樹の救済がいつも不完全なのはセックスが不妊だからだ。これがこのニ人の作家の本質である。
どちらも二人でする欲望を満たし心地よい行為であり、それを堕落ではなく健全として描くところに共通点があった。
『ノルウェイの森』と『キッチン』はバブルを母とした一卵性双生児のようなものだ。
村上春樹とよしもとばななは似ていないが、この2作を呑み込み爆発的にヒットさせたのは同じ「時代」だった。

「異様においしい。」
私は言った。その小さく新しい、木の匂いのする店でカウンターにすわって食べたかきあげ丼は、食欲を思い出すくらいにおいしかった。
「なー?」
柊が言った。
「うん。おいしい。生きててよかったと思うくらいおいしい。」
私は言った。あんまりほめたので、店の人がカウンターの向こうで恥ずかしそうにするくらい、おいしかった。
「そうだろ!さつきは絶対そう言うと思ったんだ。君の食べ物の趣味は正しい。喜んでくれて本当にうれしい。」
                 (ムーンライト・シャドウ)


明るい部屋、あたたかいストーブの熱気の中で、床にすわって2人は淡々とそれらのものを食べた。私はとても、とてもおなかがすいていたことに気づいて、とてもおいしく食べた。この子の前では私はいつもおいしく物を食べている気がした。
                 (ムーンライト・シャドウ)


雄一は冷蔵庫からグレープフルーツを出して、楽しそうにジューサーを箱から出した。
私は、夜中の台所、すごい音でつくられる2人分のジュースの音を聴きながらラーメンをゆでていた。
                 (キッチン)


「どうして君とものを食うと、こんなにおいしいのかな。」
私は笑って、
「食欲と性欲が同時に満たされるからじゃない?」
と言った。
「ちがう、ちがう、ちがう。」
大笑いしながら雄一が言った。
「きっと、家族だからだよ。」
                 (満月―キッチン2)



一番顕著なのは、『満月―キッチン2』で、雄一との絆が切れてしまう予感を感じながらなすすべなく諦めかけたみかげが旅先でカツ丼を食べ、その旨さに感激し、やはり旅に出ていた雄一にそれを届けるべく一人前をおみやにしてもらい、タクシーで遠い町まで夜中に駆けつけるところだ。私はここが一番好き。カツ丼を食べるたびに思い出す。
『ノルウェイの森』について一番良く聞いた「理解できない」という感想は、「なぜあそこであの人とセックスするのかわけがわからない」というものだった。
『キッチン』は、文章が作文並に下手すぎるという苦情は多くあったが、「なぜ食べるのか」というところに疑問を呈する人はいなかった。「なんでカツ丼なんかと!」と言う人などいなかった。食べるとはあたりまえで誰もがする行為であり、それによって元気になるのは自然の摂理なのだ。それでも新しかった。そして、おいしそうだった。登場人物たちは酔っ払い始めみたいにうかれておいしがっていた。文章、下手なのに。ものすごく、おいしそうだった。

いつか重ね着の友達の病気が治ったら、ほんとに治って、いっしょに何度もごはんを食べて、もうだいじょうぶって確認したら、よしもとばななの『キッチン』の話をしたいものだ。

DATA:
10進分類:913.6
#純文学・エンターテイメント・名作
#恋愛・ヒューマンドラマ・青春小説・社会派・
内容分類:
メインテーマ:親しい人の死からの立ち直り
メインテーマ:「食」の大切さ

著者名:よしもとばなな
著者出身国:日本
時代背景:現代(バブル期)

漢字の難しさ ☆★★
表現の難しさ ☆★★
文体の読みにくさ ☆★★
テーマの重さ ☆☆★
テーマの難解さ ☆★★
テーマの普遍性 ☆☆☆
所要時間:45分

受賞:泉鏡花賞・「海燕」新人文学賞

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