びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

夏目漱石

ここでは、「夏目漱石」 に関する記事を紹介しています。
はてなアンテナに追加   

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手

オススメ度:☆☆☆☆☆
夢十夜 他二篇 (岩波文庫)
夢十夜 他二篇 (岩波文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
starsここはケチらず!
starsまさに夢の世界
stars夢十夜
stars理性的な夢
stars夢か幻か・・夢十夜

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

冒頭:

こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますという。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜実顔をその中に横たえている。真白な頬の底に暖かい血の色が程よくさして、唇の色は無論赤い。到底死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然いった。


収録作品:
 夢十夜
 文鳥
 永日小品

あらすじ・概要:
漱石の短編集。

感想:
真夜中に、ひとり、声に出して、読んでみる。

棒読みでなく、言葉の粒立ちと物語の起伏に声を乗せリズムをつけ、感情を込めて、読む。

ここは畳み掛けるように、ここはふわりと明るく、ここはガラリと調子を変えて、・・・。

するとますます、この短く綴られた幻想の奥ゆきが深まっていく。

夏目漱石、という人が、繰り返せばくりかえすほどに、現れては消え、あらわれてはきえ、その姿を追い求めながら眺める情景に、いつしか時が忘れ去られている。

そしてやがて同じ真夜中に立ち返り月日を取り戻したときには、心が妙におだやかにおちついて、何も言うことがない、と、満ち足りている。


今夜読んだのは、第二夜
悟りを開かんと寺に詰めている武士が、悟れぬことを和尚に嘲弄されて思い詰める短く濃い、時。
隣の時計が鳴るまでに、悟れば和尚の首を撥ね、悟れねば自害する。
悟りとは程遠い、短刀の迫力。
チーン、と時計が鳴ったあと、そのあとはっ?
と身を乗り出すと同時に、暗転。

第一夜の百年の恋の美しさや、第七夜のどこに向かうとも知れぬ船と転落、第十夜のおそろしくものんきな、女にさらわれて七日六晩立ち向かってくる豚の鼻をステッキで撫で崖から突き落とし続けた庄太郎、・・・不可思議、不可欠、不可侵。

名文による謎に満ち詩情に溢れる夏目漱石の短編の数々は、長編とは異質の世界を宿している。
夢十夜を始めとし、文鳥、永日小品に収められている数々の短編は、朗読で味わうことを強くお勧めする。
これらを真に味わうためには目と脳だけではだめである。
腹の底から喉、舌、そして人と人とを抱いている空間を震わせ、耳の鼓膜を撫でてはじめて醍醐味というものだ。
それに、本当に優れた文章を味わいつくすことは、文才を高めるのに何より役立つ。

自らはもちろん、家族、友人に朗読してもらうこともお勧めしたい。朗読のためにふさがれていた口から、読みおわった途端にに自然と口をついて感想が飛び出てくる。

楽しいひと時だ。


DATA:
10進分類:913.6
内容分類:純文学
メインテーマ:不明

著者名:夏目漱石
著者出身国:日本
時代背景:明治

漢字の難しさ ☆☆★
表現の難しさ ☆☆★
文体の読みにくさ ☆☆★
テーマの重さ ☆★★
テーマの難解さ ☆☆★
テーマの普遍性 ☆☆☆
所要時間:(15分刻み)
2時間(夢十夜のみの場合、45分)
寝落ちCD「夢十夜」夏目漱石
寝落ちCD「夢十夜」夏目漱石工藤良行

スタジオスピーク 2011-12-12
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools



☆ブログランキングに参加しています。クリックお願いします☆

ブログランキング

web拍手

スポンサーサイト

関連タグ : 夏目漱石, 余裕派, 短編集,

オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:35歳以降
吾輩は猫である (岩波文庫)
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
stars舞台を現代社会に移し替えて想像しながら読んでみたい
stars考えさせられます・・・
stars昔から大好き。
stars名無しのままで・・・
stars面白すぎる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


冒頭:

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。


あらすじ:
冒頭があまりにも有名で、独り歩きしている感があるが、実は筋らしい筋はない。

夏目漱石自身がモデルの苦沙弥先生のプライベートを飼猫である吾輩が観察・考察し、猫の視点から人間のおかしさを発見する。

現代の日本にも通じる日本へ・近代への批判と共に、漱石の交友関係、家庭環境の明るい側面がユーモラスに語られている。

『吾輩は猫である』の主な出来事
・苦沙弥先生の交遊録
・苦沙弥先生のご家庭
・苦沙弥先生泥棒に入られる
・寒月君の恋愛
・苦沙弥先生 VS 俗物実業家
・苦沙弥先生近所の中学生にまで嫌がらせを受ける
・吾輩人間を観察す

感想:
『吾輩は猫である』を書いた時漱石38歳。
年が近くなってみて、やっと読めるようになった。

漱石の小説の中でも他の作品は比較的若年で読みやすいと思うが、『吾輩は猫である』は筋書きがない分随想の要素が濃く、処女作ということもあって容赦なく知識を詰め込んであり、猫が見た人間たちという愛嬌のある設定にもかかわらず若者にはちょっと読みにくいものとなっている。

改めて読んでみると、漱石の教養の深さに改めて感心すると共に、こんな馬鹿をやっていたのか、とおかしい。
落語が好きで小さんをよく聴きに行っていたという漱石。座談の才があったというが、なるほどだから偏屈なのに人が集まってくるのだろう。
とくにおかしいのは迷亭と寒月が遊びに来た折に「不思議な体験談」を三人が張り合って披露するくだりと、猫のネズミ退治と風呂屋をのぞくところ、そして細君とのやりとりだ。
今回特に細君とのやりとりについて書きたい。

あるとき苦沙弥先生細君の頭に日が当たって光るのを見て脳天に禿があるのに気付き、嫁に来る前から禿ているならだまされたと思って細君を問い詰める。髷(まげ)を結うので隠れるからか細君は別段気にもしておらず最初は相手にしないが、苦沙弥先生はしつこく食い下がる。

「脳天が――ことに若い女の脳天がそんなに禿げちゃ見苦しい。不具だ」
「不具なら、なぜ御貰いになったのです。御自分が好きで貰っておいて不具だなんて……」
「知らなかったからさ。全く今日まで知らなかったんだ。そんなに威張るなら、なぜ嫁に来る時頭を見せなかったんだ」
「馬鹿な事を! どこの国に頭の試験をして及第したら嫁にくるなんて、ものが在るもんですか」



この後、細君の背が低いことに話が移って不穏になる。
これが後を引くのである。
泥棒が入り、身の回りのものと到来物の山芋を盗まれてしまった苦沙弥先生、被害届を出すため盗まれた山芋の値段を細君に聞くが、細君はそんなことは知らんと言う。じゃ、十二円五十銭にしておけ、と記そうとすると多すぎると細君に止められる。中学(今の高校)の月謝が二円だというのだから十二円五十銭は今の十二万五千円くらいにはなるのかもしれない。法外である。

「知らんけれども十二円五十銭は法外だとは何だ。まるで論理に合わん。それだから貴様はオタンチン・パレオロガスだと云うんだ」
「何ですって」
「オタンチン・パレオロガスだよ」
「何ですそのオタンチン・パレオロガスって云うのは」
「何でもいい。それからあとは――俺の着物は一向出て来んじゃないか」
「あとは何でも宜うござんす。オタンチン・パレオロガスの意味を聞かして頂戴」
「意味も何にもあるもんか」
「教えて下すってもいいじゃありませんか、あなたはよっぽど私を馬鹿にしていらっしゃるのね。きっと人が英語を知らないと思って悪口をおっしゃったんだよ」
「愚な事を言わんで、早くあとを云うが好い。早く告訴をせんと品物が返らんぞ」
「どうせ今から告訴をしたって間に合いやしません。それよりか、オタンチン・パレオロガスを教えて頂戴」
「うるさい女だな、意味も何にも無いと云うに」
「そんなら、品物の方もあとはありません」
「頑愚だな。それでは勝手にするがいい。俺はもう盗難告訴を書いてやらんから」
「私も品数を教えて上げません。告訴はあなたが御自分でなさるんですから、私は書いていただかないでも困りません」



オタンチン・パレオロガスというのはおたんちん(おたんこなす)をローマ皇帝コンスタンチン・パレオロガスにひっかけているのだが、細君には通じない。口をついて出ただけの下らない駄洒落だから苦沙弥先生は答えたくないのだが細君はそんなことは知らない。
この後弟子の多々良三平がやってきて、苦沙弥先生のいないところで細君と話をする。多々良君にも最近できた禿があるのでまた禿の話がぶり返す。

「禿はみんなバクテリヤですばい」
「わたしのはバクテリヤじゃありません」
「そりゃ奥さん意地張りたい」
「何でもバクテリヤじゃありません。しかし英語で禿の事を何とか云うでしょう」
「禿はボールドとか云います」
「いいえ、それじゃないの、もっと長い名があるでしょう」
「先生に聞いたら、すぐわかりましょう」
「先生はどうしても教えて下さらないから、あなたに聞くんです」
「私はボールドより知りませんが。長かって、どげんですか」
「オタンチン・パレオロガスと云うんです。オタンチンと云うのが禿と云う字で、パレオロガスが頭なんでしょう」



まあ可愛いこと。夫婦仲の良いこと。
後の作品を見ると漱石と妻鏡子は理解しあえず互いに苦しめあったように書かれているが、猫の視点から見れば睦まじい夫婦である。
鏡子は漱石の後の作品と引き比べて『吾輩は猫である』をどう考えていたのだろうか。
私なら少し、心慰められる気がするけれど。

データ:
10進分類:913.6
内容分類:名作
メインテーマ:社会風刺
サブテーマ:交友
サブテーマ:家庭

時代背景:明治時代

漢字の難しさ ☆☆☆
表現の難しさ ☆☆☆
文体の読みにくさ ☆☆★
テーマの重さ ☆☆★
テーマの難解さ ☆☆★
所要時間:12時間

吾輩は猫である (岩波文庫)
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
stars舞台を現代社会に移し替えて想像しながら読んでみたい
stars考えさせられます・・・
stars昔から大好き。
stars名無しのままで・・・
stars面白すぎる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


☆ブログランキングに参加しています。クリックお願いします☆

ブログランキング


web拍手

関連タグ : 夏目漱石, 社会風刺, ,

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメポイント:道後温泉
坊っちゃん (新潮文庫)
坊っちゃん (新潮文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
stars読みやすくなりましたね。
stars新解釈を踏まえて
stars潔い!!
stars今こそ、坊っちゃんのような生き方を
stars心のもちよう

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


冒頭:

親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている。



あらすじ:
若く世間知らずで威勢の良い江戸っ子、坊っちゃんが、田舎の数学教師になって様々な騒動を起こす。
夏目漱石の松山での教師生活をもとに書かれた。

感想:
夏目漱石の小説で一番読まれているのは「坊っちゃん」だろうと思い込んでいたけれど、Amazonで調べたら一番売れているのは「こころ」だった。確かに、「こころ」の方が価値があると思うが、あんな暗くなるもの読むんだなあ、意外に。

さて、「坊っちゃん」は、青春小説としては変わった小説である。
それは、主人公「坊っちゃん」が全編通じて一切成長しないからである。坊っちゃんは挫折しない。坊っちゃんは妥協しない。ただ赤シャツや野だいこに代表される俗物の欺瞞に大きな事から小さな事まで徹底抗戦し、頑固に社会不適合なまま、仕事を辞めて、自分を溺愛する婆や「清」の元へと帰って行く。
何一つ学ばない。好きなものは最初から好きだし、嫌いなものは最初から嫌いだ。実に山嵐と赤シャツのどちらが正しくどちらが嘘をついているのかに迷うところ以外、何ひとつ変わらない。
だからこそ、爽快にずばっと読み通せる単純明快で愛される短い話になっているのだろう。

ところで坊っちゃんが最初から好きだったもののひとつ、つまり最後まで好きだったもののひとつは、「道後温泉」である。
何でも江戸前と比べずにはすまない坊っちゃん、松山の何もかもが田舎臭く気に入らないのだが、「温泉だけは立派なものだ」と愛し、毎日電車に乗って道後温泉に入りに行く。
道後温泉は日本書紀にも記される古い湯治場だそうだが昭和に入って掘削するまであまり湯量に恵まれず湯舟を持った温泉宿というものがなく、地元の人々も観光客も共同浴場に集まって湯を使ったそうだ。それが重要文化財として今も残り現役で人々に親しまれている「道後温泉本館」である。坊っちゃんがいつも入ったのは「神の湯」という広い湯舟で、「坊っちゃん」の中でも15畳敷の湯舟で誰もいないときに泳いで遊んでいたら、次に行ったとき「泳ぐべからず」と札がかかっていた、という話がある。うらなり君と話すのもこの道後温泉であり、宿直のくせに抜け出してまで入りに行くのも道後温泉である。
「ぼっちゃん」を旅行鞄に放り込んで、一度道後温泉に行ってみたいものである。

道後温泉(愛媛県)

DATA:
10進分類:913.6
内容分類:名作
内容分類:青春小説
メインテーマ:欺瞞の糾弾

時代背景:明治時代

漢字の難しさ ☆☆★ (新字体・新仮名遣いに改めたもの)
表現の難しさ ☆☆★
文体の読みにくさ ☆★★
テーマの重さ ★★★
テーマの難解さ ★★★
テーマの普遍性 ☆☆☆
所要時間:1時間

坊っちゃん (新潮文庫)坊っちゃん (新潮文庫)
夏目 漱石

吾輩は猫である (新潮文庫) 三四郎 (新潮文庫) それから (新潮文庫) こころ (新潮文庫) 草枕 (新潮文庫)

by G-Tools


☆ブログランキングに参加しています。クリックお願いします☆

ブログランキング

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。