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宮沢賢治

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仕事がうまくいかなくて落ち込むときに

セロ弾きのゴーシュ (角川文庫)
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star心温まる作品、大好きです
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概要:
宮沢賢治の童話集

冒頭:

ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした
(セロ弾きのゴーシュ)



目次:

雪渡り
やまなし
氷河鼠の毛皮
シグナルとシグナレス
オツベルと象
ざしき童子のはなし
寓話 猫の事務所
北守将軍と三人兄弟の医者
グスコーブドリの伝記
朝に就いての童話的構図
セロ弾きのゴーシュ

付録
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
ペンネンノルデはいまはいないよ 太陽にできた黒い棘をとりに行ったよ。




あらすじ・感想:
ゴーシュは冒頭でさっそくやっつけられているだめなセロ(チェロ)弾き。下手だし、持ってるチェロはポンコツだし。いつも怒鳴られてばっかり。
みんなの足をひっぱっている!と楽団全員の前で叱られた場面、

「(前略)困るよ、しっかりしてくれないとねえ。光輝あるわが金星音楽団が黄身一人のために悪評をとるようなことがあっては、みんなへもまったく気の毒だからな。では今日は練習はここまで、休んで六時にはかっきりボックスへ入ってくれ給え。」みんなはおじぎをして、それからたばこをくわえてマッチをすったりどこかへ出て行ったりしました。ゴーシュはその粗末な箱みたいなセロをかかえて壁の方へ向いて口をまげてぼろぼろ泪をこぼしましたが、気をとり直してじぶんだけたったひとりいまやったところをはじめからしずかにもいちど弾きはじめました。
(セロ弾きのゴーシュ)


身につまされる。

どうしてもうまくいかないこと、何やってもだめなとき、ってあるよね。どうしてだめなのか全然わからない。だめだってことはわかってるし、がんばってはいるもんだから、涙が出る。怒ったような恥ずかしいような気持ちで、壁の方を向いて流す涙はものすごく熱い。
とにかく一生懸命やらなきゃ、と素直に練習しようとすると涙がこぼれてしまうし、なにくそ!と怒ると目の前が曇って練習にならない。

さて、ところでゴーシュ君の場合、親切にも、何がだめなのかを教えてくれる人物が現れるのだ。
人物、ではなくて、動物なのだが…。
三毛猫、かっこう、狸の子、…自宅でセロの練習に励むゴーシュのもとに動物たちがやってきて、音楽を教えてくれ、とせがむ。練習を邪魔されていらだつゴーシュだったが、逆に彼らに音楽を教わることになる。三毛猫には演奏の勢いを、かっこうには音程を、狸の子にはリズム感を。そして次にやってきた鼠の親子に、ゴーシュの演奏を聴くと病気が治るものだから近隣の動物たちは具合が悪くなるとここに来るのだと知らされる。
そして本番の日、そこでゴーシュを迎えた観客や楽団員、そして楽長の反応は予想しないものだった。

「アンコールをやっていますが、何かみじかいものでもきかせてやってくださいませんか。」すると楽長がきっとなって答えました。「いけませんな。こういう大物のあとへ何を出したってこっちの気の済むようには行くもんでないんです。「では楽長さん出て一寸挨拶して下さい。」
「だめだ。おい、ゴーシュ君、何か出て弾いてやってくれ。」「わたしがですか」ゴーシュは呆気にとられました。「君だ、君だ。」ヴァイオリンの一番の人がいきなり顔をあげて云いました。
(セロ弾きのゴーシュ)


ゴーシュはてっきり自分が一番下手なのをバカにされて恥をかかせようというんだ、と思い込みで腹を立て、勢い良くアンコールを弾き切る。

「ゴーシュ君、よかったぞう。あんな曲だけれどもここではみんなかなり本気になって聞いてたぞ。一週間か十日の間にずいぶん仕上げたなあ。十日前とくらべたらまるで赤ん坊と兵隊だ。やろうと思えばいつでもやれたんじゃないか君。」仲間もみんな立って来て「よかったぜ」とゴーシュに云いました。
(セロ弾きのゴーシュ)



自分を成長させてくれたものたちを思って、ゴーシュはこの一週間、スランプのためにやつあたりした自分を穏やかな気持ちで反省する。

「ああかっこう。あのときはすまなかったなあ。おれは怒ったんじゃなかったんだ。」
(セロ弾きのゴーシュ)



人の間で評価されていく、それは誰しも多かれ少なかれ逃れられない試練だ。望む評価が得られないときに抱く周囲の人々への敵意、自分への情けなさ、それでも続けていく意地、こっけいと裏腹のけなげさ。
「セロ弾きのゴーシュ」には、私たちが一人孤独に乗り越えなければならないことが、こまやかにのびやかに描かれている。
残念ながら私たちの暮らしの中で、知恵がトントンと戸を叩いて訪れるという幸運はない。けれど、四苦八苦しているときにふと、ゴーシュのことを思うと、こっけいでもなさけなくてもとにかくがんばっていればさ、そのうちふっと楽になって、かっこうに謝ったりもするんだしさ、と思えるのだ。

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↓朗読でも聴いてみたい。
アナウンス文庫「セロ弾きのゴーシュ」(ポッドキャスト)
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山猫合奏団演じる印度の虎狩の場面(セロ弾きのゴーシュ)。都内の保育園での撮影だそうだ。子どもが興奮するのが面白い。



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銀河鉄道の夜 (角川文庫) 注文の多い料理店 (角川文庫クラシックス) 注文の多い料理店 (新潮文庫) 改編 風の又三郎―ガラスのマント (角川文庫) 新編 風の又三郎 (新潮文庫)

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オススメポイント:ほしめぐりのうた

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宮沢 賢治

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子供の頃、合唱団に入っていた。
公民館を借りて、若い指揮者の先生が友達のピアノ弾きと組んで、毎週教えに来ていた。私は歌うのが楽しく、友達と遊ぶのも愉快で、よく通っていたと思う。
後に考えれば先生の選曲が素晴らかった。この年になってもふと口ずさんでいる。
らいちょうの歌、いっしゅうかんの歌、どれも日本語の親しみやすい詩にメロディーをつけたのびやかな曲だ。
あるとき、先生のともだちが映画の音楽をやるから、と言って、みんなの合唱をスタジオで録音したことがある。


「ほしめぐりのうた」

あかいめだまの  さそり
ひろげた鷲の   つばさ
あおいめだまの  こいぬ、
ひかりのへびの  とぐろ
オリオンは高く  うたひ
つゆとしもとを  をとす


アンドロメダの  くもは
さかなのくちの  かたち。
大ぐまのあしを  きたに
五つのばした   ところ
小熊のひたひの  うへは
そらのめぐりの  めあて


音楽を愛した宮沢賢治作詞作曲のこのうたは、とても良い曲で、夜の散歩で星空を見上げながら、歩くはやさで歌うとこころが銀河に広がっていくようだ。
その映画はアニメの「銀河鉄道の夜」だった。
封切されてから合唱団のメンバーと見に行き、擬人化されたネコのジョバンニやカンパネルラのセル画をもらった。
「銀河鉄道の夜」は宮沢賢治の数多くある代表作のひとつで、短い話だ。
ジョバンニはまだ子供だが、学校に行きながら仕事もしている。細かい活字を拾う、植字の仕事だ。船に乗り組んでいる父の帰りを待ちながら、病気の母の看病をする心細いくらし。学校では最近いじめられはじめたし、親友カムパネルラとも疎遠になってきてしまった。
そんなある「ケンタウル祭」の晩、ジョバンニは銀河を旅する列車、銀河鉄道に乗り久しぶりに親友カムパネルラとともに過ごす。窓の外に広がる幻想的な風景を共に眺め、乗客たちと出会いながら。悲しいような不思議なような美しい結末は忘れがたい。
宮沢賢治の銀河の描写は常に具体的でおどろきの連続。なのにそこは私たちの住まう地上とは明らかに異なっていて、私はそこでは生きることはできないとはっきりわかるのだ。宮沢賢治は宇宙についてずっと身近な想像を続けていた人なのだ。
「銀河鉄道の夜」で繰り返される問は、「本当の幸(さいわい)とは何か」ということだ。
ジョバンニもカムパネルラも、他の乗り合い客も皆、ほかのだれかのためになにかしたいと切望している。しかし彼らには何が本当の幸福なのかがわからないのだ。

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙が浮かんでいました。
「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」ジョバンニが云いました。
「僕わからない。」カムパネルラがぼんやり云いました。

救済を信じながら、本当の幸福を「わからない」と言った、宮沢賢治。
かささぎが舞い、交響曲が鳴り渡り、岸辺にぴかぴかと青い炎のともる銀河。床に落ちる前に灰色に蒸発してしまうかぐわしいりんご。金剛石や花火のきらめき。いきいきした宮沢賢治の宇宙に思いをはせながら、その謎を解こう。



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