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幸福

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オススメポイント:ほしめぐりのうた

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宮沢 賢治

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子供の頃、合唱団に入っていた。
公民館を借りて、若い指揮者の先生が友達のピアノ弾きと組んで、毎週教えに来ていた。私は歌うのが楽しく、友達と遊ぶのも愉快で、よく通っていたと思う。
後に考えれば先生の選曲が素晴らかった。この年になってもふと口ずさんでいる。
らいちょうの歌、いっしゅうかんの歌、どれも日本語の親しみやすい詩にメロディーをつけたのびやかな曲だ。
あるとき、先生のともだちが映画の音楽をやるから、と言って、みんなの合唱をスタジオで録音したことがある。


「ほしめぐりのうた」

あかいめだまの  さそり
ひろげた鷲の   つばさ
あおいめだまの  こいぬ、
ひかりのへびの  とぐろ
オリオンは高く  うたひ
つゆとしもとを  をとす


アンドロメダの  くもは
さかなのくちの  かたち。
大ぐまのあしを  きたに
五つのばした   ところ
小熊のひたひの  うへは
そらのめぐりの  めあて


音楽を愛した宮沢賢治作詞作曲のこのうたは、とても良い曲で、夜の散歩で星空を見上げながら、歩くはやさで歌うとこころが銀河に広がっていくようだ。
その映画はアニメの「銀河鉄道の夜」だった。
封切されてから合唱団のメンバーと見に行き、擬人化されたネコのジョバンニやカンパネルラのセル画をもらった。
「銀河鉄道の夜」は宮沢賢治の数多くある代表作のひとつで、短い話だ。
ジョバンニはまだ子供だが、学校に行きながら仕事もしている。細かい活字を拾う、植字の仕事だ。船に乗り組んでいる父の帰りを待ちながら、病気の母の看病をする心細いくらし。学校では最近いじめられはじめたし、親友カムパネルラとも疎遠になってきてしまった。
そんなある「ケンタウル祭」の晩、ジョバンニは銀河を旅する列車、銀河鉄道に乗り久しぶりに親友カムパネルラとともに過ごす。窓の外に広がる幻想的な風景を共に眺め、乗客たちと出会いながら。悲しいような不思議なような美しい結末は忘れがたい。
宮沢賢治の銀河の描写は常に具体的でおどろきの連続。なのにそこは私たちの住まう地上とは明らかに異なっていて、私はそこでは生きることはできないとはっきりわかるのだ。宮沢賢治は宇宙についてずっと身近な想像を続けていた人なのだ。
「銀河鉄道の夜」で繰り返される問は、「本当の幸(さいわい)とは何か」ということだ。
ジョバンニもカムパネルラも、他の乗り合い客も皆、ほかのだれかのためになにかしたいと切望している。しかし彼らには何が本当の幸福なのかがわからないのだ。

「カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸のためならば僕のからだなんか百ぺん灼いてもかまわない。」
「うん。僕だってそうだ。」カムパネルラの眼にはきれいな涙が浮かんでいました。
「けれどもほんとうのさいわいは一体何だろう。」ジョバンニが云いました。
「僕わからない。」カムパネルラがぼんやり云いました。

救済を信じながら、本当の幸福を「わからない」と言った、宮沢賢治。
かささぎが舞い、交響曲が鳴り渡り、岸辺にぴかぴかと青い炎のともる銀河。床に落ちる前に灰色に蒸発してしまうかぐわしいりんご。金剛石や花火のきらめき。いきいきした宮沢賢治の宇宙に思いをはせながら、その謎を解こう。



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