びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

戯曲

ここでは、「戯曲」 に関する記事を紹介しています。
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三大悲劇集 血の婚礼 他二篇 (岩波文庫)
三大悲劇集 血の婚礼 他二篇 (岩波文庫)

あらすじ・感想:

数日前、松田正隆演出マレビトの会の『血の婚礼』をTVで見た。ガルシア・ロルカの不朽の名作、『血の婚礼』。
実験的な演出。雨漏りする廃墟のような舞台装置。稽古のためにたんすからそれらしいのをひっぱりだしてきたみたいな、中途半端な衣装。棒読みにされるセリフ。セリフをかき消して時折鳴り響く、雷鳴、ジャズ。
花婿の母親役(広田ひろみ)が昔の夫の母親に似た顔立ちをしているのに閉口したけど…そんなのどうでもいい、他の人にとっては。
何といってもロルカのテキストが良いから。演出が実験的になればなるほど、テキストの完璧さが際立つ。本当にテキストが、良い。

結婚を目前にした娘。彼女に近付く、かつての恋人で今は娘の従姉妹と結婚している男。
なぜこんな抜き差しならないことになってしまったのか、この、許されない恋人たちは。それがどうも彼らの話を聞いていると、自分たちでこんな事態を招いたらしいのだ。彼らは、彼らが、この現実のなかで、シアワセになると信じて、なすべきことを選び、そのようにふるまいってきた。男と娘は別れ、男は娘の勧めで他の女と結婚し、子どもまで作った。娘は新たな男と時間をかけて交際し婚約、花婿は働き者で健康な好青年だ。
でも、この婚礼が、そのシアワセを陳腐化し、その薄っぺらい皮を破って、暗い情欲が実力を発揮する。それは、ずっと待っていたのだ。ながいながい禁欲に、頭の芯まで痺れて、もう、身の危険を顧みることもできない。だめ、だめ、だめ、の5回に1回?それとももっと速くだめだめだめ、の100回に1回?言葉にならず閃くあの光、内臓の表面を這う血管のどんな細い流れをも照らし出すあの熱い闇。指先で血が泡立つきもちよさに何度かまばたいた、次に目を開けた瞬間には、二人は逃げている。
夜の森を、手に手を取り合って、逃げている。
二人きりになったというのに、抱き合って思いを遂げるひまもなく、追いかける花嫁花婿の一族郎党から逃げている。
追手はせまる。
「あなたとベッドも食卓も共にしたくない、でもあなたと離れては生きていけない」
男は花婿と刺し違えて死ぬ。

演出が要らないほど美しい悲劇だが、こうして、風変わりな演出をされるとまるで、起こってしまったことへの追憶のようだ。追憶になることによって永遠に「起こってしまった」という重たいくさびを深く刻んだ猛々しい欲望の、どこまでもこだましつづけるかのように。

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関連タグ : ロルカ, 戯曲,

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:あわれな影法師たち
オススメポイント:運命
シェイクスピア全集 (3) マクベス
4480033033William Shakespeare 松岡 和子

筑摩書房 1996-12
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おすすめ平均star
star悪人夫婦の対比が面白い
star水の上の泡

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運命とは何か。
ややこしいこと抜きにして言い切ってしまいたい、運命とは神だ、と。
「マクベス」はシェイクスピア4大悲劇(理屈っぽいハムレット、軽はずみなオセロー、老いぼれリア王)の中でも禍々しく血の匂いのべったり貼り付いた劇である。
マクベスは荒野で3人の魔女に予言を与えられる。やがて王となるだろう、と。幸運の知らせのはずがそれはまるで呪いのように、野心のまま突き進むマクベス夫人に操られるように彼は暗殺により王位を奪いその座を守るために人を殺し続ける。
疑心暗鬼となった彼が拠り所とするのは予言の言葉、「バーナムの大森林がダンシネインの丘に攻め上って来ぬ限りマクベスは滅びない」。しかし、森は動き始める・・・。
マクベスの悲劇は予言の悲劇だ。人は運命に、神に逆らうことはできない。そして予言という形で与えられる情報はあまりにも曖昧で希望に縋る者の曇った目にはいかようにも情け深く歪む。神の意思ははかり知れない。
運命を物語として振り返った時にだけ私たち凡俗の人間も語ることができるのだ、「マクベスは最初から滅びるはずだったのだ」と。
子供の頃はこういった、予言の意地悪にはめられて堕ちていくような物語の人物をただ「馬鹿」だと思っていた。TVアニメで見ても本で読んでも「なんでこうなるってわからないんだろ」と思っていた。それはその状況を見る視線が覗き見だったり傍観者だったりして、対等な立場の中であっちはちょっと馬鹿、こっちはお利口さん、という意識だったからだろう。これは神の存在を考慮しないと正しく理解できないのではないか、とあるときふと思った。
彼らが愚かなのは、私に対してではなく、神に対してなのだ。私は彼らよりも賢いから彼らの失敗を見越しているのではなく、物語という限定の中で神の視線を借りているのだ。
観客席に座り舞台を見るのは、ちょっとの間、神になるということなのかもしれない。

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関連タグ : シェイクスピア, 悲劇, , 戯曲,

オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:ノーマルもアブノーマルも
オススメポイント:息のむプレイ

サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)
サド侯爵夫人・わが友ヒットラー (新潮文庫)三島 由紀夫


おすすめ平均 star
star時代を超え光芒を放つ〈昭和の名戯曲
star戯曲のおもしろさを堪能できた
starGood job!
star良い
star18世紀フランス版熟年離婚。

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「でもその貞淑はお母様から教わったものですわ。」
「ああ、お前が貞淑というとみょうにみだらにきこえる。どうしてだろう。私は前からそんな気がしていた」
「では、それなら私の愛情は・・・・・・」
「その言葉のほうは、又妙にみだらでなさすぎるのだよ」
倒錯。そのゆがみにこだわるゆえに回りくどい言葉で、その悦びが自慢ゆえに下卑た言葉で、語られることが多いアノ世界。が、しかし。
登場する人物はすべて女、彼女たちの共通項であるサド侯爵は常に舞台の外から黒い影を落としているのみ。
この会話を交わすのははサド侯爵の妻であるルネと彼女の母親であるモントルイユ夫人である。おまえの貞淑はみだらで、愛情はみだらでなさすぎる、この宣告がしかも実母から下されることで、ルネの倒錯は舞台に吊るし上げられる。
母親は更に娘に迫り、彼女の秘密を暴き立てる。
「おしまいまでおきき。アルフォンスは黒ビロードのマントを室内で羽織り、白い胸をはだけていた。その鞭の下で、丸裸の5人の娘と一人の男の子が、逃げまどっては許しを乞うていた。長い鞭が、城の古い軒端のツバメのように、部屋のあちこちを飛び交わした。そしてお前は・・・」
「ああ!(ト顔をおおう)」
「天井の枝付燭台に手を吊られていた。丸裸で。痛みに半ば気を失ったお前の体の、雨のえにしだの幹に流れる雨滴のような血のしずくが、暖炉のほのおに映えてかがやいていた。公爵は少年を鞭でおどかして、公爵夫人の身を清めるようにいいつけた。少年はまだ背が低かったので、椅子を踏み台にしてお前の吊られている体にとりつき、・・・・・・どこもかしこも、(ト舌を出し)・・・・・・舌で清めた。清めたのは血ばかりではない。・・・・・・(間。)ルネ。(トルネに近付く。ルネしりぞく。)・・・・・・(ト更に近付く。ルネ更にしりぞく。モントルイユ、その襟元を掴む。ルネこれを両手でふせぐ。モントルイユ、にわかに手を離す)」
もはやこれは母娘のやり取りではなく、神をも恐れぬ背徳的な交わりなのだ。
その責め具はぴたりとあわせたまぶたの裏にも燦然ときらめく言葉。そして品位は、手も下されずにおとしめられる。


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悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫)
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マルキ・ド サド 渋澤 龍彦 マルキ・ド・サド

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関連タグ : 三島由紀夫, 戯曲, SM,

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:性に裏切られる人
オススメポイント:告白
欲望という名の電車欲望という名の電車
テネシー ウィリアムズ Tennessee Williams 小田島 恒志

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裕福だった女が落ちぶれて、妹のところに厄介になりに来る。少女だったころに不幸な恋愛をしたためにこの女、ブランチの人生は暗い陰を負っている。彼女はまず、古くからの屋敷を手放してしまったのだと妹に打ち明ける。しかし彼女は嘘をついている。屋敷を手放しただけでは、なかった。彼女の不幸はもっと根が深かったのだ。

一番のクライマックスは第六場、ブランチがミッチという男と互いの不幸な過去を打ち明けあうシーンだ。恋人を病気で失ったというミッチの話しにほだされ、ブランチはかつての結婚について打ち明ける。十六のとき初めて恋をした。暗がりから突如光に晒されたように世界が目の前に現れるような、そんな恋だった。
「でも、運が悪かったのね、わたし。」
彼女は言う。
どうにもならないほど絶望的に愛していた夫は、同性愛者だった。
”そのこと”を率直に語ること自体がまだタブーだった時代の戯曲だ。同性愛、という言葉すら一度も使われていない。
それを語る言葉がないということが、ブランチの告白をより生々しい苦悩にゆがめる。
「その人にはどこか変わったところがあったわ、繊細で、感じやすいって言うか、何か男らしくないところが―――見た目は全然、女っぽいわけじゃないのよ――でも――あったのね、そういうところが」
彼の性癖を示唆する言葉はこれだけ。
彼は同性愛者であることに苦しみ、ブランチに救いを求めていた。しかしブランチにはそれがわからなかった。
「わかっていたのは、わたしがどうしてだかあの人を失望させたってことと、あの人が求めながら口に出せないでいた救いを与えてやれなかったってことだけ!」
彼らは肉体関係を結べなかったのだろう。その失敗を示唆する言葉もこれだけ。
「あの人は蟻地獄にはまって、わたしにしがみつこうとした――なのにわたしは、ひっぱりだしてやらずに、いっしょに滑り落ちていったの!それがわかってなかったのよ、わたしには。何も分かっていなかったの、ただ、なんとなく、彼をたまらなく愛しているのに、救ってやることはできない、自分を救うことも出来ないって感じてた。」
だってどうしてわかるだろう、なぜうまくいかないのか、なぜわたしのこの恋はこの結婚はこんなに絶望の予感をたたえているのか?彼女にそれがわかるはずがあっただろうか。16歳、初恋だった。目がくらむような恋だった。
「そしてある日、分かったの。考えられる限り最悪の形で。誰もいないと思って、ふと入った部屋に、――誰もいないどころか、二人の男がいて・・・」
夫の男との浮気現場に足を踏み入れてしまったことを示唆する言葉も、これだけ。
ついにそのことを知ったブランチはダンスの最中に夫を決定的に傷つけてしまう。(短調のポルカが流れる、とト書きにしばしば繰り返されるのはこの体験の繰り返しになる。)
「見たわよ!嫌らしい!ゾッとするわ・・・・・」
彼にぶつけた言葉も、これだけ。
夫は、咥えた拳銃をぶっぱなした。

彼女の打ち明け話を聞いたミッチは、二人が互いの伴侶になれるのではないか、と提案する。そのキスにむせび泣きながらブランチはこう言う。
「ときには――神様が――こんなに早く!」
皮肉なセリフだ。
なぜならそれは、あまりに遅く、だったのだから。
ミッチは何もわかっていなかった。彼女の人生はとっくの昔にめちゃくちゃのぐっちゃぐちゃに壊れ果ててしまっていた。マザコン男の感傷なんかで救うことができるなんてお門違いの手遅れ、とんだお笑い種だったのだ。

彼女は学校の教師でありながら夜な夜ないかがわしいホテルに出入りして見知らぬ男に体を売り、生徒である少年に手を出して学校からも町からも放逐された身だったのだ。
彼女の夫のそれがそうだったように、彼女の性はタブーであり持ち主を苦しめ破滅させるものとして描かれている。欲望は持ち主と食い違い、先天的に絶対的に不一致で永遠に同一になれないのだ。

やがて彼女の秘密は暴かれ、ミッチは彼女から離れていく。もともと風前の灯火だった彼女の人格は追い込まれ崩壊する。だからこの告白による交感はもろくはかない。それでも私はこの告白のシーンが好きだ。
”それ”を語る言葉の少なさにもかかわらず、ここにはぎりぎりの真実、渾身の真実の発露がある。どぎつければいいというものではないのは確かだが、かといって少ないから良いのではないだろう。許されることも許されないことも頼りなく移り行く時代の中、その人なりの限界の中、戦いの果てに搾り出された言葉だけが生み出す、迫力なのだろう。

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オススメ度:☆☆☆★★
オススメ対象:イッセー尾形ファン・舞台を見たことがある人
オススメポイント:逆に役者としての魅力を思い知る
イッセー尾形のナマ本〈巻1〉深夜生活編イッセー尾形のナマ本〈巻1〉深夜生活編
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男性の仕草でもっとも色っぽいのは、カフスを留めるときではないか。
イッセー尾形の舞台を見て、そう思ったことがある。
イッセー尾形が舞台袖に着替えやメイク道具を用意し、楽屋を素通しに見せる演出をすることは有名だ。彼の体はそれなりに腰の皮がだぶついたりしてゆるくはなっているのだけれど、やはり舞台人のストイックな肉体で、動作のいちいちが美しく、着替えも化粧もショーの一部だ。
男はワイシャツの袖のボタンを留める時、顎をぐっと首にひきつける。胸の前で片方の手首のボタンをつまむ指先、つままれる手首の先の所在なげに緊張した手、輪郭に沿っていく筋か刻まれる皺、結ばれた唇、ぎりぎりに伏せてボタンを見詰める目。堅い頬の丘ごしに投げられる視線は残照のようにかろうじてボタンを捉える。男がカフスを留める、それは何かが終わり始まる境界。

先月北千住で行われた「イッセー尾形 太宰治を読む!書く!創る!」公演を見た際に、ロビーで関連グッズとして売られていた中から本を数冊購入した。しばらく待てばご本人がサインしてくださるとのことだったが至近距離でペンを握るような日常じみた所作を眺めるには舞台の熱が焼き付きすぎていたので(そして北千住という地の果てのごとき地名にもびびって)帰路を急いでしまった。
巻壱はイッセー尾形の代名詞ともいえるバーテン(CMで使われたこともあった)のネタをいくつか収録している。
これが読むと実にしょぼくれた話しである。
あれあれ、こんな淋しい話しだったのかな、とびっくりする。
あんなに楽しくて愉快でかっこいい、ときどきにかっと笑うと愛くるしいあのバーテン、実はこんなに裏路地のちっぽけな男だったのかな。
まあこの男、普通に女としては好意を持たれても良くて困惑、悪くて鼻で笑うだけの男なのである。小さいことを自慢するわ、ひまをもてあまして酔っ払いのごとく従業員に絡むわ、親戚があつまれば喧嘩するわ、ホステスとくっつくわ。

それをあれだけかっこよく存在させてしまう。舞台の上のイッセー尾形は確かにこの、バーテンだ。と同時にどんな格式高いホテルのバーにだって、このバーテンはもったいない。
イッセー尾形は、舞台は、凄い。

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イッセー尾形のナマ本 (巻2)イッセー尾形のナマ本 (巻2)
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イッセー尾形のナマ本〈巻3〉幸せ家族編イッセー尾形のナマ本〈巻3〉幸せ家族編
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イッセー尾形のナマ本〈巻4〉建築現場編イッセー尾形のナマ本〈巻4〉建築現場編
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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:運命の恋に憧れる人
オススメポイント:ありのままを語らうとき

新訳 ロミオとジュリエット新訳 ロミオとジュリエット
シェイクスピア 河合 祥一郎

角川書店 2005-06-25
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「はっきり言いなさい。普通の言葉でありのままを。
謎めいたざんげでは、謎めいた赦ししか与えられぬ。」
これはロミオが修道士ロレンスのところに出向き、敵のキャピュレットの娘ジュリエットと恋に落ちてしまったことを打ち明ける場面でのロレンスのセリフ。
好きな言葉だ。いさぎよくありたいと思うとき、勇気の感触をおもいださせてくれる。本気じゃなきゃ本物は手に入らないし、ときどきの本気なんてありえなくて、ずうっと本気でずうっと本物で生きたい。
長く細く生きるのか、短く太く生きるのか、そんなの長く太く生きるに決まってる。
この人に正直になろう、この人にはその価値があるのだから。この人生に正直になろう、この人生にはその価値があるのだから。
ロミオとジュリエットは出会った瞬間に運命的な恋に落ちる。二人はまるで神話の神々が儀式の言葉を交わすようにお互いへの思いをソネットにする。それはふたりの別々の人間の間で言葉というものがぴたりと一致する奇跡のエロスだ。言葉の魔法は恋人達をだれもいない場所に連れて行き、時すら通り過ぎることのできない部屋に鍵をかけ、隙間なんてないくらいぴったり、くっつけてしまう。そして交わされるキス。そこからは無我夢中。
そして二人はあっというまに死んでしまう。出会ってから数日の間に結婚し、引き裂かれ、死んでしまう。
これがはっきり言った、その結果。「なぜロミオなの」、とすべての属性を否定し、目と目を底まで見交わし、魂に魂を重ねて、本気で本物を手に入れた結末。
ありのままを語らうのは、用心したほうがいい。

そういえばこの修道士ロレンス、かなりのワルだ。ありのままを語らせた罪。この男さえいなければロミオとジュリエットは死ななくて済んだ。きっと幸せに結婚できたはずだ。両家のかすがいになるかもしれぬなどと年端の行かぬ子供同士を面白半分秘密裏に結婚させたりして、挙句の果てにはいかがわしい薬で死んだ振りをさせ、ろくな見張りもせずに放置。こいつシャイロックより悪者だろ。
ロミオとジュリエットの編み出す美しい詩に彩られた数々の場面のためにうっかり忘れさせてしまうあたりシェイクスピアあっぱれなんだけど、そういうことを考えだすとシェイクスピアってものすごくつっこみどころが多い。モンタギューとキャピュレット家のひとたちって抗争中のやくざなの?とかさ。

さておき、長く太くなんて、無理なのかな?

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