びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

直木賞

ここでは、「直木賞」 に関する記事を紹介しています。
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オススメ度:☆☆☆☆☆
官能にはすきまがない 
恋 (新潮文庫)
恋 (新潮文庫)
おすすめ平均
stars★五つが最高評価であることが狂おしく思える
starsこれほど人の感情を色濃く描く作品はない!
stars倒錯でもなく奔放でもない人間の本性
stars冒頭の結論提示に驚く
stars心に残こってる・・・本です。

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一九九五年四月十九日。仙台市にあるカトリック教会で、矢野布美子の葬儀がとり行われた。



あらすじ・感想:


おどろくのが、ストーリー展開・主人公の心理のいちいちに滑稽さを感じないこと。しっくりきて、すきまがない。
デカダンスな生活と浅間山荘事件との対比、ミステリー仕立ての構成も素晴らしい。退屈な箇所が全く無いので、ぐいぐいと読み進んで長さを感じない。
ひとつひとつの感情に体温が感じられ、そこから立ち上る肌の匂いに、読みながら定期的にうっとりとため息をついてしまう。
「恋」というシンプルで強いタイトルから想像したのは全く違うストーリーで、一人の男と一人の女の純愛というものだったが、それとは全く違っている。殺人・近親相姦・不貞・三角関係。しかしそれでいてタイトルを裏切っていないのは、緻密な心理描写にいざなわれていっしょに恋をしてしまうからだろうか。

恋 (新潮文庫)恋 (新潮文庫)

欲望 (新潮文庫) 冬の伽藍 (講談社文庫) 浪漫的恋愛 (新潮文庫) 狂王の庭 (角川文庫) 蜜月 (新潮文庫)

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメポイント:「実に面白い」っていうのは一体どこで・・・。「なかなか面白い」とは言っているけど・・・。
容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)東野 圭吾

文藝春秋 2008-08-05
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おすすめ平均 star
star面白い推理小説
starこの本で「数学」の見方が変わる!!わたしの人生の視野を広げてくれた一冊!
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冒頭:

午前七時三十五分、石神はいつものようにアパートを出た。三月に入ったとはいえ、まだ風はかなり冷たい。マフラーに顎を埋めるようにして歩き出した。通りに出る前に、ちらりと自転車置き場に目を向けた。そこには数台並んでいたが、彼が気にかけている緑色の自転車はなかった。



あらすじ:
探偵ガリレオシリーズ第三作の長編。
数々の難事件を解決してきた物理学者湯川学が『天才』と呼び『好敵手』と認めた学友石神は、家庭の事情で研究職を諦め、高校教師として野に埋もれていた。
数式を解くことだけが生甲斐の地味な暮らしを破る事件、そしてライバル湯川学との対決は。

感想:
理系の中でも数学専攻には変人しかいないと聞くが、石神もその典型で、湯川学を超えた変人として描かれている。彼の登場によって、前2作まで不満のあった湯川学のキャラクターがルネッサンス的天才として際立ち、また才能ある者同士の友情と再会に有頂天になる湯川学の姿に愛すべき要素が加わった。加えて『白夜行』での共犯が一心同体の2人であるが故に不気味な魅力を放ちつつその内面があえて描かれなかったのに対し、共犯がそれぞれ全く違う生活をしていることで人間らしさが生まれている。ヒロインは白夜行と同じくあくまでも盲目的に幸せを求める得体の知れない存在として描かれているが、母親という役割が少しなりと共感を可能にしている。
今までのフラストレーションを解消してくれる傑作。
本格か否か、純愛か否かという議論があることと思う。アクロイド殺し的で本格ではないだろうし、手段は純愛でもないだろうと思う。が、それは作品の価値とは無関係だ。ぞくっとさせてくれること間違いなしである。
「博士の愛した数学」同様に、学校時代数学ができなかったコンプレックスを持つ読者が数学ができるようになったかのような気分を味わえるところも魅力だろう。
石神が現れたことで、湯川学を挟んだ石神対草薙という友情のライバル関係が生まれ、草薙が友情を試されるのも見所のひとつだ。

「君にいっておくが、今回にかぎっては、全面協力というわけにはいかない。僕は個人的な理由で事件を追っている。僕には期待しないでくれ」


「一人の友達として、僕の話を聞けるか。刑事であることは捨てられるか」


湯川学が自分の価値観を述べる「この世に無駄な歯車なんかないし、その使い道を決められるのは歯車自身だけだ」、この意味がわかりにくい言葉が、石神対湯川という対決を頭脳の戦いだけでなく、人間性の戦いにもしている。それによって人間性が最終的な勝敗を決定したかのような読後感があり、後味を良くしている。


DATA:
10進分類:913.6
内容分類:推理小説
メインテーマ:―
サブテーマ:数学

著者名:東野圭吾
著者出身国:日本
時代背景:現代

漢字の難しさ ☆★★(標準)
表現の難しさ ☆★★(理解しやすい)
文体の読みにくさ ☆★★(読みやすい)
テーマの重さ ★★★(テーマ:なし)
テーマの難解さ ★★★(テーマ:なし)
テーマの普遍性 ★★★(テーマ:なし)
所要時間:2時間

受賞:直木賞 本格ミステリ大賞 週刊文春ミステリーベスト10第一位 このミステリーがすごい!第一位 本格ミステリ・ベスト10第一位

地図:
作品に登場する地名に目印をつけてあります。 →地図へ



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容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)
容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)東野 圭吾

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小川洋子 博士の愛した数式のレビューを読む


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キーワード:東野圭吾 直木賞 本格ミステリ大賞 週刊文春ミステリーベスト10第一位 このミステリーがすごい!第一位 本格ミステリ・ベスト10第一位 地図あり
オススメ度:☆☆☆☆★
オススメポイント:銀ちゃんって人。それにすごく読みやすい。
蒲田行進曲 (角川文庫 緑 422-7)
蒲田行進曲 (角川文庫 緑 422-7)つか こうへい


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風間杜夫は落語をやっていて、最近じゃそっちが本業なんじゃないか、ってくらい熱心である。
元々がこの人熱中型なのか、何をやってもとことんやる。極める。甘いマスクからは想像できない。

もとは東映の天才子役、住田知仁名として、マキノ雅弘、田坂具隆、加藤泰監督などの有名監督作品に出演する売れっ子だった彼は、米倉斉加年の「俳優を一生の仕事にするのなら子役をやめた方がいい」との助言によって13歳の時に児童劇団を退団してしまう。詳しい経緯はわからないが(「徹子の部屋」が手軽に参照できたらいいのに)、大の大人が忠告するのだからよほど見込みがありそうだったのだろうし、13歳で人生の決断をしているのだから早熟だったのだろう。
先日カンヌ俳優柳楽優弥が薬物大量摂取で病院に運ばれニュースになったが、本人の言うように自殺未遂でなかったとしたらなおのこと、体を大事にしなければいけないのが役者だというのにやけになって、若くして風貌と存在感だけで栄光を手にしてしまった少年の周囲に適切な助言者がいないのは不幸なことだ。
風間杜夫は大学中退後に劇団や日活ロマンポルノで下積み、その後テレビドラマ「スチュワーデス物語」や映画「蒲田行進曲」で大成功を収める。役者としてだけにとどまらず、声優としては海外ドラマ流行の発端X-fileのモルダーの日本語吹替をつとめ、マージャンも強く「THEわれめDEポン」というフジテレビのマージャン番組では最多の6回の優勝、落語は独演会をやる腕前である。
テレビに出ずっぱりというわけでもないのにずっと忘れられることのない人だ。

この落語、柳家花禄との二人会で聞いたことがある。出囃子は「蒲田行進曲」、噺は劇作家鈴木聡の新作落語「よいしょの階段」。吉原を舞台にした若旦那もので、鈴木聡の劇は見たことがないのだが、落語は中々いいなぁと感心した。(新作落語はいろんな劇作家・放送作家が嬉々として書いている)タイトルどおり、階段が出てくるのだが、もちろんいいところで「階段落ち」もある。(※ここで「銀ちゃん!!」と声をかけてあげないと話を先に進めない。)

まあだから何だ、というと、銀ちゃんは、演じた風間杜夫とは全く逆の人間なんだよ、という話である。
銀ちゃんは映画スターだけれど、演技はくさいし芸はないし自分が映ることばっかりがつがつしちゃって、他のスターやスタッフたちからは鼻つまみだ。とりえといえば二枚目で華があるってだけ。だもんだから、スターのくせに格下のスタントマン、ヤスやトメさんたちといつもつるんでる。これが気前がいいんだか悪いんだかで、肉おごってやる、とすき焼きについて行けば人が肉に箸を伸ばすのを目ざとく見つけてはいちゃもんつけて、結局皆おしんことごはんでおなかがいっぱいになっちゃう。すると今度はせっかくおごった肉が残ってる、といきりたつ。しまいにゃ誰が卵をおかわりした、ってせこい難癖つけて、せっかくの宴会はもう台無し。思ったとおりに行かないと気に入らないし、思ったとおりに行っても気に入らない。ぐねぐね絡むわけだ。
女癖も悪くって、清純派好みなんだけれども大切には付き合えないで好き放題こましちゃって、飽きたら「あのズベ公」と清純派の夢が壊れたことを嘆いて泣くのだ。蝶を触って壊しちゃう子供である。
舎弟のヤスは銀ちゃんの子供を身ごもった小夏を押し付けられて一緒になる。
このヤスは大学出の新劇出身で演劇論や映画論も知っている男なのに、うだつのあがらない大部屋の役者で、いっつも銀ちゃんの切られ役ばっかりやっている。銀ちゃんのことが好きで好きで、理不尽にいじめられればいじめられるほど、銀ちゃんのことが好きでたまらない。
新撰組の立ち回りで、池田屋の二階から斬られて落ちる階段落ち。「こないだやった富田さんはまだ半身不随だ」とウワサされるこのアクションは、いわば虫けら同然のスタントマンの華なのである。
「『階段落ち』やる日のセットの前には、香典を入れる箱を用意しといて、香典をもらうようになってんだよ。だから、親しい人には、その香典のお返しに生命保険に入っておくってのがしきたりになってんだよ」
映画会社は危険な階段落ちはもうやるな、と言っている。監督も求めていない。しかし階段から落とす役の土方歳三は銀ちゃんなのだ。銀ちゃんの最大の見せ場。ヤスはどうしてもこれをやる気でいる。これがあるかないかでシーンの迫力は雲泥の差だ。階段落ちをして、銀ちゃんに花を添え、小夏に金を残し、死んでやろうとしている。
ヤスはなんでそこまでして銀ちゃんを愛するのか。
銀ちゃんが憎めない馬鹿だってことだけでは説得力がない。たしかに銀ちゃんは、この人馬鹿だって皆が知ってるんだけどあがめられるっていう一種のカリスマがあるんだけれど。
小夏がその鍵を握っている。
小夏はヤスに押し付けられた当初は銀ちゃんにほれていて、いいなりのヤスのことは気持ち悪いと思っている。だけど次第に、いつもそばにいてくれて、自分のために余分に仕事を取って稼いだ金で冷蔵庫を買ってくれたり風呂付のアパートに引っ越してくれたりするヤスのことを愛するようになっていく。しかし、すると、優しかったヤスが少しずつ変わっていくのである。
ヤスはだんだん、小夏に絡むようになり、しつこく嫌がらせをいって、慕ってくる小夏を邪険にするのだ。そしてどんどん銀ちゃんに似てくるのである。
もう銀ちゃんのことなんかなんとも思ってないんだから二人で幸せになろうよ、と言う小夏にヤスは、お前は銀ちゃんとまだ続いてるはずだ、という。どうしろっていうのよ、と半ばあきれ半ば苛立つ小夏に頼むのは、銀ちゃんのこと。銀ちゃんが最近立ち回りで遠慮して昔みたいに乱暴にしてくれない、どうしてなのか一度聞いてみてくれ。
劇から生まれた作品ならではの、理屈からでなく積み重ねられた言葉による説得力が、銀ちゃんとヤスの愛情を確立している。

劇団つかこうへい事務所による舞台(つかこうへい作・演出)は1980年第15回紀伊国屋演劇賞、つかこうへい自身のノベライズによる本作は1982年第86回直木賞受賞、つかこうへい脚色・深作欣二監督による映画作品は第6回日本アカデミー賞他各賞を総嘗め。
舞台でも小説でも映画でも成功した珍しい作品である。


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