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短歌

ここでは、「短歌」 に関する記事を紹介しています。
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オススメ度:☆☆☆☆★
完結したイメージ 
寺山修司青春歌集 (角川文庫)
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作曲者本人の演奏が(たとえ演奏者としての腕前がそれほどでなくとも)演奏家や研究者に多くのヒントを与えてくれるように、作家自身による朗読は多くの謎を解き明かしてくれる。
正直に打ち明けると、「自作朗読の世界」を聞いて、与謝野晶子の短歌朗読は平凡な節で言葉の斬新さがまるくなっており幻滅した。それで与謝野晶子の価値が減ることはないが、大好きなので残念である。もっと型破りであろうと思っていたのだ。萩原朔太郎の乱暴な読み方には逆に感激したが。
時代時代における聞き手の好みなのだろう。私は国語教師やTVのアナウンサーのように淡々と節回しなしで読み上げられるのがいちばん美しく感じるが、話し言葉の移り変わりの激しさはやがてまた、今私が思い描いている読みかたにも顰蹙させるのだろう。

寺山修司は自作短歌をどのように朗読するのだろう。
実はそのことに並々ならぬ興味を抱いている。
寺山修司の短歌はうまい。

マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや


にがきにがき朝の煙草を喫うときにこころ掠める鴎の翼


煙草くさき国語教師が言うときに明日という語は最もかなし



選んだ三首ともが煙草の歌になってしまったが、偶然である。
新しいことばで技巧なく歌っている割には、言葉の密度が低くなっていないことが目を引く。それはおそらく基幹となる言葉の組み合わせ自体に飛躍があり、点在する言葉を結ぶ構造に物語がこめられているからだろう。(マッチ・海・霧・祖国)(朝・煙草・鴎・翼)(煙草・国語教師・明日)

一方、情念や肉体を感じないのも寺山修司の歌の特徴である。
ひとつには少年めいた社会への批判や憧憬が、もうひとつは映画を見ているような作りこまれた非日常の気配が、その原因だ。
そのため、美しく叙情的だけれども三十一文字を飛び出てくる歌心はない。

寺山修司の歌はある完結したイメージであるといえるだろう。

寺山修司自身による自作短歌の朗読を一度聴くことができれば、彼とその完結したイメージとのつながりを紐解くことができるのではないかと思うのだが、どこかにはあるのだろうけれど作家本人の朗読が見つけられずにいる。

「書を捨てよ、町へ出よう」

この映画の冒頭のように、津軽訛りでぶつけるように、やはり読むのだろうか。
そう考えると、趣がある。が、やはり少年である。

寺山修司青春歌集 (角川文庫)寺山修司青春歌集 (角川文庫)

寺山修司少女詩集 (角川文庫) 幸福論 (角川文庫) 両手いっぱいの言葉―413のアフォリズム (新潮文庫) ポケットに名言を (角川文庫) 書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)

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オススメ度:☆☆☆☆☆
もてあました情念を解き放つ
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冒頭:

二十世紀に生きている私達が、およそ十世紀も前の歌や日記物語を読む。今日の文学作品に読後感をもつのと同じように感想をもつ。感想を述べる。意見を交し合う。それはごく当たり前のように思っている時間が多いけれども、当たり前にしてくれた人達の中には、藤原俊成、定家親子の存在が大きくあって、古い時代の作品を読む私は、大ていの時、想像でしかないこの父子の面影に見守られている。(3 母を悼む)



あらすじ・概要:
万葉から現代までのあまたある短歌より、秀逸な恋歌を30選び、その訳と背景と情感をこめたことばで紹介した短歌入門の良書

感想:
これも私の本棚の中にあって何度も読み返された手垢だらけの本。
目次にあげた歌の一覧を見ていると粟立つほどの感動が湧き起こる。
今を流れるラブソングにどこか淋しいひとつになりきれない思いがあって、濃厚で深くてずっしり重いこの胸のうちに孤独をおぼえるそんなときに、こんな恋も昔からある恋だと、暗いような熱いような情念にツナガル。すると、ぽ、と思いの丈が心を離れて空をさまよい、しばし我を忘れる。
短歌のたおやめぶりにすきまなどないほどぴったり寄り添って、三十一文字から紐解いた恋の深い深い淵の底には、千年の時を超えて想いの焔が燃えている。

目次:

1  未だ逢わざる恋
     起きもせず寝もせで夜を明かしては春のものとてながめくらしつ(在原業平)
2  永遠憧憬
     夕ぐれは雲のはたてにものぞ思う天つ空なる人を恋ふとて(詠み人しらず)
3  母を悼む
     たまゆらの露も涙もとどまらずなき人恋ふる宿の秋風(藤原定家)
4  斎宮のうた
     わが背子を大和へ遣るとさ夜深けて暁露にわが立ち濡れし(大伯皇女)
5  恋はうつくし
     清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢う人みなうつくしき(与謝野晶子)
6  思わぬ人を
     ゆく水に数かくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり(詠み人しらず)
7  流刑の夫
     君が行く道のながてを繰り畳ね焼きほろぼさむ天の火もがも(狭野弟上娘子)
8  もの思うころ
     いで我を人な咎めそ大舟のゆたのたゆにもの思うころぞ(詠み人しらず)
9  遊魂のうた
     もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞみる(和泉式部)
10 港の女
     名残惜しさに出でて見れば 山中に 笠の尖りばかりが ほのかに見え候
11 今日を限りと
     忘れじの行く末までは難ければけふを限りの命ともがな(儀同三司母)
12 稚い恋
     ならひこしたがいつはりもまだ知らで待つとせしまの庭の蓬生(俊成卿女)
13 君と聞く朝の鐘
     高き家に君とのぼれば春の国河遠白し朝の鐘なる(与謝野晶子)
14 おおらかに
     盃と 鵜の食ふ魚と女子は はうなきものぞ いざ二人寝ん
15 人妻となったあなたに
     紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑにわら恋めやも(天武天皇)
16 風に寄せる
     聞くやいかにうはの空なる風だにも松に音するならひありとは(宮内卿)
17 求婚のかけ引き
     八千矛の 神の命は 八島国 妻枕きかねて・・・・・・
18 契りて後隠るる恋
     頼めこし野べの道芝夏深しいづくなるらん鵙の草ぐき(藤原俊成)
19 前斎宮のうた
     白露の消えにい人の秋待つと常世の雁も鳴きてとひけり(微子女王)
20 母刀自の願い
     恋ひ恋ひて逢へる時だに愛しき言尽くしてよ長くと思はば(大伴坂上郎女)
21 陽性の嘆き
     人の姿は花靭 優しさうで、逢うたりや嘘の革靭
22 初雁の声
     初雁のはつかに声を聞きしより中空にのみものを思ふかな(凡河内躬恒)
23 前斎院のうた
     ほととぎすそのかみ山の旅枕ほのかたらひし空ぞ忘れぬ(式子内親王)
24 夢かうつつか
     君や来し我や行きけむおもほえず夢かうつつか寝てかさめてか(詠み人しらず)
25 予告された死
     とほどほにさかりてあはぬひとつ世の限りといへばあひたかりけり(水野京子)
26 青春回想
     春の夜のともしび消してねむるときひとりの名をば母に告げたり(土岐善麿)
27 旅に出て
     小竹の葉はみ山もさやに乱るともわれは妹思ふ別れ来ぬれば(柿本人麻呂)
28 月に寄せる
     くまもなき折しも人を思ひ出でて心と月をやつしつるかな(西行法師)
29 われ男の子
     われ男の子意気の子つるぎの子詩の子恋の子あゝもだえの子(与謝野鉄幹)
30 亡き人を
     管の根のながき春日もあるものをみじかりける君ぞ悲しき(和泉式部)



日本の恋歌 (岩波新書 黄版 (385))日本の恋歌 (岩波新書 黄版 (385))

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