びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

角田光代

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評価

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宮沢りえは綺麗と気色悪いの紙一重を通り抜けていく。やせすぎて、顔にへんな筋がある。しわやたるみではなくて、もっとこわいものが。

女優としてそれがダメかというと、逆にそこが彼女を良くしていて。
特にこういう役には。

主人公梅澤梨花は子どものいない既婚女性。エリートの夫を持つが、自分もパートタイマーとして銀行
で働き始め、営業として頭角を現す。
夫とは感情がすれ違い、もうどうしても心の空白は埋められない 。
彼女は最初からもろくて、触れなば落ちん、今にも堕落寸前だ。ヤリそうだなぁ、という雰囲気を裏切らない。すぐにヤル。不倫も、横領も。やっぱりね。

フリン

オウリョウ

…不倫はともかく、横領は刑事犯罪ですよ?

あー、なんでやっちゃうのかな~。
それに、なんだかむしろ横領のほうが、簡単にやってますよね、不倫よりも。

だって、梅澤 梨花の夫はエリートビジネスマンで上海に単身赴任、持ち家もあって、子供はいない。
夫から横領、着服したほうがいいじゃないですか。夫婦間なら犯罪にならないんでしょ?
特に金銭の管理が厳しいような描写もないし?と思ったけれど、原作ではけっこう管理が厳しくて、それがきっかけで働きだしたみたいね。
映画ではしょっぱなから銀行で働いてるから、そこのところがよくわからなかったな~。

だいたい、なんで、あんな奴と関係を持つんだろう?
なよっとして気持ち悪いし、行く先に出没されて、ストーカーでしょ?あんな風にしんねりと見つめられたら、私ならすんごい怖い顔になっちゃう。百年の恋も冷めるような。
学校をやめてくるところも泣くところもいらっとするし。こんな男と寝るなんて、梅澤 梨花は自己評価が低いなぁ。

でもなんだか、テンポ良く転がり堕ちていく梅澤 梨花のまわりはいつも風が吹いているような、そんな不思議な爽快感があって、最後まで引き込まれて見てしまう。
夜空に貼りついた紙の月を爪でこすったらはがれて消えて、この世はみんな偽物なんだから、何をやってもいいんだ、と思った、と梨花は説明するけれど、風だけは本物だったような気がしてしまう。

隅より子役、小林聡美がとてもすてきだった。地味なかっこいい女だった。爽快に堕落していく梅澤梨花とは対照的に、地味で勉強家で後輩に厳しくて、上からはうとまれて、閑職に回されそうになっていて、でもそれに抗うでもなく働き続けようとしている、そんなより子のカッコよさがとても際立った。
脇役がみんな良くて、孤独なお年寄りってこんな感じなのね、という普段触れ合わないタイプの人々の面白さも感じた。
大島優子も、普段TVで見ているととても性格の良い働き者だけれど、全然違うタイプの役を好演していた。

それにしても、角田光代さんって本物の小説家ね。こんなに響く小説をコンスタントに書き続けて、すごいわ。

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関連タグ : 角田光代, 宮沢りえ, 小林聡美, 吉田大八,

オススメ度:☆☆☆★★

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キッドナップ・ツアー (新潮文庫)角田 光代

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starテーマはインパクトあり。
starストーリー性にかける誘拐もどき親子
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子供の頃、両親は仲が悪かった。
考えてみると私の下に弟もできたし、だらだら二十年ほど結婚生活を続けたのだから、そんなに仲が悪かったわけではなかったのかもしれない。
でも、私はずっと、「うちのお父さんとお母さんは仲が悪い、いつ離婚するかわからない」と思い続けてきたし、なごやかで楽しい記憶というのはほとんどない。ない、というのは不正確で、あるはずだという気がするしそっちのほうが多かった気がするのだが、あまりに毎日毎日「またけんかが始まるんじゃないか」「またお母さんが私を置いて出て行くんじゃないか」と心配して過ごしていたので、心が休まる時がなかった。
彼らの喧嘩の思い出は今でもずらっと言えるけど、象徴的なのは夫婦喧嘩のあおりでコーラスの発表会に出られなかったときのこと。私は児童合唱団に入っていたのだけれど、その発表会そっちのけで夫婦喧嘩してたってこと。そして仲直りしたあと、「お父さんとお母さんが仲直りしたほうが、発表会に出られるよりよかったでしょ」と母に言われた。が、私は、発表会に出たかったなあと思っていた。口には出さなかったけれど。
両親と子供はそういうところでずれてしまうものなんじゃないかと思う。親がエキサイトしすぎてると、こどもの冷静な望みはまったく見えなくなってしまうようだ。
ああ、今ちょっと思い出しただけでも、本当に大人になるってのびのびわくわくするなあと思う。

角田光代の『キッドナップ・ツアー』は、小学校5年生の女の子ハルが夏休みにキッドナップ(誘拐)される話だ。犯人はお父さん。
どうやらハルの両親は最近別居しているようだ。
お父さんの誘拐の目的はお母さんとある取引をすること。
ハルとお父さんは宿を転々としながら海水浴や肝試しではしゃぎ、夏の思い出をつくる。
ハルがお父さんに振り回されていらいらする気持ち、よくわかる。
結局、両親は別れたのかな。はっきりそうとは書いていないけれど、お父さんはハルといっしょには家に帰らない。
でもだったら、ハルを家に帰す前にお父さんが言った「お母さんと取引する必要がなくなった」っていうのは、どういう意味だったんだろう。なんとなく、親権を争ってるのかと思っていたけれど。なぞである。
それとは別に、なんだか肝心のことが書いていないような気がした。
ハルがお父さんとずっと一緒にいたい、と思う瞬間がドラマチックに描かれていないことで消化不良なのだ。
ハルの一人称で描かれているからには両親の事情が解らないままなのは納得がいくけれど、「帰りたい」から「ずっと旅をしていたい」という気持ちの変化はもっと見たかった。



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関連タグ : 角田光代,

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:報われない場所に居付いてしまった人に
オススメポイント:愛がなんだ

愛がなんだ愛がなんだ
角田 光代

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へんな場所にはまり込んでしまうことがある。
社会的位置・人間関係、いやむしろ、たんに気分とかが。
なんとも形容しがたい、隙間みたいなところに入ってしまうことがある。
隙間と言いながらその空間は案外広くて、私は途方に暮れてしまう。

角田光代はデビュー以来ずうっとその隙間のことばかり書いてきた人だ。彼女が書いたフリーターなどの若者のモラトリウムにはあまり興味をひかれず、たんに変な場所にはまり込んだいまどきの人のことを書いてるとしか思わなかった。そしてその後も彼女は別々のテーマではあるけれど、現代の隙間のことだけを一貫して描いてきた。そして、社会の冷たい海から突き出ていた氷山の一角はその後恐るべき巨大さをあらわしつつあり、そんな中での「対岸の彼女」の直木賞受賞だったように思う。

「愛がなんだ」は愛の境界を失った人々の話しだ。恋人でも友達でもない関係。今起こっているモラルの崩壊・喪失というのは、不道徳な人々や事件が増えることではないことは、もはや常識だろう。援助交際とか、挨拶のできない若者とか、買春を繰り返す中高年とか、浮気を繰り返す主婦とか、そういうことどもの数が増えることではなくて、そういったことが不道徳、不潔、という一線を越えた向こう側ではなく、自在に往来できるちょっとした変身にしかすぎなくなっているということだ。そう、まるでヘアスタイルを変えるみたいに。
ヘアスタイルみたいな、かろやかなアイデンティティー。春はふんわり愛されアイデンティティー。

主人公テルちゃんは、マモちゃんというチビで冴えないオレ様男を好きだ、というスイッチが入りっぱなしになってしまった女の子だ。スイッチが完全に壊れてしまっている。夜中に帰ってくれと放り出されたり、連絡がとれなくなったり、他の女に食べさせる新しい店のチョコレートを買いに行かされたり、と、いくらOFFボタンが押されても彼女の恋は終わりにならない。男に魅力があるとか、女に意地があるとか、既存の説得力はみごとなまでに皆無、ああテルちゃんはスイッチが入りっぱなし、枠が壊れてしまってるひとなんだなあ、と怖くもある。
けれどテルちゃんというひとには強いようなところもあって、そんな中でも平気で自分を貫いて、自分のなさを貫いて、生きていく。モラルの崩壊した世の中を泳ぐ、突然変異種みたいに。これから爆発的に増殖して世界を塗り替える、圧倒的優位種みたいに。

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