びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

離婚家庭

ここでは、「離婚家庭」 に関する記事を紹介しています。
はてなアンテナに追加   

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:父親。人間関係に疲れた人。田舎暮らししたい人。
オススメポイント:言葉以前、言葉以降

4122034973季節の記憶
保坂 和志

中央公論新社 1999-09
売り上げランキング : 31,963
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


離婚して緑深い鎌倉に幼い息子と暮らす父の日々。
朝食のスープを毎晩作り、息子の教育にじっくり向き合い、近所の兄妹のところで飯を食い、毎朝鎌倉を散歩する。
時間がゆったりと流れていくなか、モノゴコロつくとつかないとのはざまで今しかないときを暮らす息子の姿から、言葉以前、言葉以降というテーマが織り成される。
息子「クイちゃん」はおそらく作者自身の息子がモデルであろう、かぎりない愛情の視点から描かれている。私が一番好きなのはクイちゃんがケーキを楽しみにするシーンだ。

「それもこういう三角じゃないんだよ。
 丸いケーキなんだよ。まぁるいケーキにイチゴがいっぱいのってるんだよ」
 息子は喜びが高じて目つきが虚ろになっていた。

言葉以前、言葉以降、を区切るのは、クイちゃんが文字というものを知るという出来事だ。
父は息子が文字を覚えるのは遅ければ遅いほど良いと思っている。息子が他の大人が覚えていないふすまの模様を記憶しているのは文字を知らないがゆえであるという。平凡なふすまの模様などは言語の機能である抽象化や象徴化によって切り捨てられてしまうのだという。
だから文字を知らないほうが世界は豊かなのだ、と。
それはどうだかわからない。
言語の世界に踏み入ることで人は種族としての宿題を引き継ぐことができる。そこにはそれなりの豊かさがあるとは思う。
けれどこの小説にはそれとは別なある豊潤があって、確かに子供の頃に網膜に焼きついた色彩や肌に沁みた寒さ暑さを思い起こさせる。
それは息子への愛情やもったりとした長いセンテンスの独特の文体と共に、息子への教育の理想主義や実験性(私自身実験的に育てられたからよくわかるけど)、作者のときに偏屈と思えるような理屈っぷりを包み込んでいる。


☆ブログランキングに参加しています。クリックお願いします☆

ブログランキング



web拍手

スポンサーサイト

関連タグ : 保坂和志, 育児, 平林たい子賞, 谷崎潤一郎賞, 離婚家庭,


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。