びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

1Q84

ここでは、「1Q84」 に関する記事を紹介しています。
はてなアンテナに追加   

オススメ度:☆☆???
オススメ(?)ポイント:「万延元年のフットボール」になれるほどおぞましき呪力はない。

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)
1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)村上 春樹

新潮社 2012-03-28
売り上げランキング : 70

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
1Q84 BOOK2〈7月‐9月〉前編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK2〈7月‐9月〉後編 (新潮文庫) 1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉後編 (新潮文庫) 聖女の救済 (文春文庫) 三匹のおっさん (文春文庫)


あらすじ・感想:


前衛的、に対義語があるとしたら後衛的、というのだろうか。もちろんそんな言葉を聞いたこともないし、広辞苑にも乗っていない。ソフィスティケーテッド、洗練、の対義語はプリミティブ?素朴?だとしたら、プリミティブ→ソフィスティケーテッドは可逆なのだろうか。「よりいっそうプリミティブになった」というのは、明らかにおかしい。
一言で言うのをあきらめた。


もちろん出だしは悪くない。”運転手”(羊をめぐる冒険)、そして都会の動脈、首都高から異世界への出入り口(ハードボイルドワンダーランドの地下鉄)は何度でも繰り返してほしいおなじみのモチーフだ。読み始めてから工事中の大橋近辺を通りかかると246に重なる首都高に非常階段を探してしまう。(1Q84では三軒茶屋方面にあるとされている)


200ページ目くらい読み進んで気が散り、
「ちょっと耳掃除しようかな…」と思った。

ねじまき鳥以降の村上春樹より村上春樹っぽい何かがある気がするんだけど、それが何なのかわからないし、ねじまき鳥以降の村上春樹の中でもとりわけ村上春樹っぽくない何かがある気がするけど、何なのかわからない。でも、そのどちらかの何かのせいで、私はこの本「1Q84」を読みながら気が散っている。
それ以降もたびたび飛ばし読みをする箇所が現れる。
どうやら村上春樹は「ソフィスティケーテッド」を捨て、力強さを求めてわざとこう書いているのだ、とbook2で気付く。

会話に頼りすぎた展開のアンチドラマ(ドストエフスキーがびっくりだ)、それをかならずおさらいする青豆と天呉の心理描写のくどさ、この繰り返し、しつこい念押し。
十八番だった小物づかいを排除したことによるモチーフの貧弱さ、平凡な会話と中途半端な登場人物たちの性格。「台詞を現実の世界に近づけることがリアリティを生むわけではない」という演劇史が明治時代に出した結論を再確認。
成功しているとは言いがたいが、今後成功しないとも限らない、思い切った作風の変更だ。斬新でないところがリスクを取ってる。

(とにかくまず耳掻きや毛抜きの余地なきびしっと集中した時間の一塊を売ってくれ、次回は。)

村上春樹の小説に”社会””世界観””歴史”という要素が取り込まれたのは「羊をめぐる冒険」が初めてだと思う。それまでは、彼の小説には小説そのものしかなかったし、割とそれはそれで、面白かったと思う。(一般的に”アンチ小説”と評価されていることに対抗しているわけではなく、どちらかというと”アンチテーマ”であって小説ではあるかな…という個人的な見解である)私はなんども「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」を読み返しているし、それらが私の目に特に問題提起としては映らなくても、一向に価値の減耗を感じなかった。
「羊をめぐる冒険」に、”悪”…人を支配し操って善なるものとのハザマに狂気に堕としながら傀儡として利用する、超常的な”悪”の存在をきわめて不器用に取り込んでから、彼はその接点で俗世間とリンクし、一度はピークを迎えたものの(「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の技巧と素材の妙の完璧さと「ノルウェイの森」の濃厚さが収めた世俗的成功と)、以降は弱体化してほかの活動にいそしんでいる、というように見えていた。「海辺のカフカ」はそれまでの作品のモザイクに過ぎないし(この本から読めばおもしろいのかもしれないが)、その他の作品については確かに翻訳活動のほうがずっと有意義と思わざるを得ないできばえであった。

しかし、1Q84は「村上春樹いまだ生身にて」と声高に主張している。生身。期待に応えたり裏切ったりする、生身。

というわけで、繰り返し読むに足る作品ではないのは確実だが、今のところこの作品を歓迎している。

この作品「1Q84」はハッピーエンドになるべき小説だ。悲しみや欠落をそのままに昇華するには小説そのものの美しさや洗練、いわば芸術性がないし、大江健三郎「万延元年のフットボール」になれるほどの総毛立つおぞましき呪力もない。(誰もサルダヒコのように死んでない。村上春樹は人間の尊厳を犯さない)
しかし村上春樹が新しくなったのは確実なことだ。その新しさが現代文学史の中で比較的古い外見をしていたとしても、そのために村上春樹が”かなり”チャーミングでなくなってしまったとしても、少なくとも彼は生まれ変わり損ねてはいない。無菌室や保育器がなくても十分育つ五体満足に新しくなっている。その子が人に好かれるか大物になるか長生きするか…
…赤子の将来は誰にもわからない。

ヤナーチェク:シンフォニエッタヤナーチェク:シンフォニエッタ
アンチェル(カレル) ヤナーチェク チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

モンキービジネス 2009 Spring vol.5 対話号 スメタナ:わが祖国 スメタナ:わが祖国(全曲) ヤナーチェク:霧の中で(4つのピアノ小品) ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

by G-Tools


ブログランキング



1Q84(1)
1Q84(1)村上春樹

新潮社 2009-05-29
売り上げランキング : 2

おすすめ平均 star
star村上ワールドの真髄
star読後、神秘的な気持ちになりました。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

1Q84(2)
1Q84(2)村上春樹

新潮社 2009-05-29
売り上げランキング : 3

おすすめ平均 star
star村上ワールドが
starこれぞ村上春樹的作品
star細部まで丁寧に書かれた一冊

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ひどいんですよきいてください。
Amazonで予約した1Q84、まだこないんです。
それどころか、「二巻が先に確保できたので送りますね」ってメールが。
すごい前に予約したのに!

というわけで、Amazonでの発売前の予約はオススメできないってはなしでした。
よっぽど売れてるみたいで、そのせいで混乱してるのかなぁ。
本屋にはいっぱい置いてあるみたいで、これなら本屋で買えば良かった、いち早くレビューしたかった、って臍かむ思いです。
すでに出ているレビューもいい感じなので、ほんとにたのしみです。

村上春樹氏といえば、イスラエルでの演説が話題になってましたよね。
私も感激しました。

そういうこともあって今回の新刊に期待していて、そういう人はほかにもいると思うので、あれがプロモーションだったらすごいな、って思います。

ともあれ、村上春樹について語る人々で、私が思ってることを言ってくれる人が地上に一人もいないような気がするんですけど、寡聞にして。
・村上春樹ワールド
・孤独
・文体
・これは本物の文学ではない
とかなんとか、が、村上春樹について評論家含めみんなが語ることじゃないかなぁ。

私は、ただ単にまず読み物として面白いと思うんだ。
物語がね、骨組みとかじゃなくて骨も肉も全部ひっくるめたところの見たまんまの物語が、読んでて面白い。
これが一番村上春樹らしいところだし、それが一番作家としてね、すばらしいことだと思う。
みんなかっこつけてないでそういうこと言おうぜ。

村上春樹チルドレンって呼ばれている人々がいるそうなんだけど、ぜんぜんチルドレンじゃない気がして。だって、面白くないんだもの。雰囲気とか語り口とか主人公の姿勢とか、そういうパーツがちょっと似てるだけでしょ。だから、そういう人たちをチルドレンって呼んでる人は、村上春樹のことどう捉えているのかなぞなんだよな~。

でも、ま、その作家が面白さを引き継いでたら、『チルドレン』なんて枠には収まらないか。
海辺のカフカ (上) (新潮文庫)海辺のカフカ (上) (新潮文庫)
村上 春樹

海辺のカフカ (下) (新潮文庫) ノルウェイの森 上 (講談社文庫) ノルウェイの森 下 (講談社文庫) ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫) ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

by G-Tools

☆ブログランキングに参加しています。クリックお願いします☆

ブログランキング


関連タグ : 村上春樹, 1Q84,