びぶりおふぃりあ

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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:全員
オススメポイント:私たちの氷河、私たちの海流、私たちのトヨタ、私たちのホンダ

不都合な真実
不都合な真実アル・ゴア 枝廣 淳子

おすすめ平均
stars迫真の写真
stars不都合な価格
stars複合汚染が最悪のシナリオを描いた場合、地球の寿命は最短であと6年
stars選挙運動の前宣伝ですかね
starsイデオロギーの対立を超えて

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先日、六本木TOHOシネマズに映画を見に行ってきた。
不都合な真実」。
ドキュメンタリーに映画としての出来不出来はないと思うので、まず内容だと思うけれど、これが中々良いのである。
アル・ゴアはクリントンの元で副大統領を務めた民主党員。環境問題に学生時代から関心を持ち取り組んできたがアメリカ国内ではあまり報われていない。啓蒙活動のため国内外でさかんにスライドを使った講座を開き、京都議定書にサインする必要性を説いている。
まず政治と離れていることが良いな、と思った。政治的メッセージが少なければその分環境問題への真摯さが伝わってくる。
そして何よりもこれは深刻な問題で、私たちが皆で取り組んでいかなければならない事柄だということだ。
私は地球温暖化を漠然と絵空事のように感じてきた。確かに私は、それが本当のことだということを疑ってはいなかったし、CO2を削減しなければならないとは、思っていた。それでもなんだかそれはよその出来事のような気がしていた。
一昨年初めて落葉せず立ち枯れたように汚い枯葉をまとったままの桐の木やケヤキを見てからも、パリの熱波や、ニューオーリンズの洪水をニュースで知っても。それらは十分に不吉ではあったけれど、山の向こうの暗雲でしかなかった。
映画で語られていることの多くを、私は知らなかった。環境問題に取り組まなければならない気がするのは本当にそう考えていたわけではなく、世論に流されていただけで、環境なんか大丈夫だよと思っていなかったのは私が住んでいるのがアメリカでなく日本だったというだけのこと。そもそもその問題がちゃんと理解できていなかったのだ。守られていたわけではなく、めしいていたのだ。
地球温暖化の仕組み、温暖化がいかにして異常気象と結びついているのか、それらのメカニズムをグラフや図や写真を効果的に用いてわかりやすく説明している。これを一本見れば私と同じく、「温暖化って大変。でもなんとなくだいじょうぶな気がする」、という気分を生み出してきた無知が解消されることだろう。それは恐い真実ではあるけれど、不吉といった漠然としたものは消え去り、姿のはっきりした課題が見えてくる。
つまらない人という評判だったアル・ゴアは実は信念と情熱の人だったようだ。





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不都合な真実 (出演 アル・ゴア)
不都合な真実 (出演 アル・ゴア)

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おすすめ平均 star
starこの地球にいる多くの人達に見て頂きたい映画です!!
star環境映画というよりは・・・
starInconvenient Truth

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オススメ度 :☆☆★★★
オススメ対象:男の子を持つ母親
ツッコミポイント:母親から見た息子像を描いたほうが面白いかも。
バッテリーバッテリー
あさの あつこ

角川書店 2003-12
売り上げランキング : 2279
おすすめ平均

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作者は子供を持つ女性とのこと。
なるほどと思われる欠点がある。
それは、この小説に登場する母親がことごとく魅力がなく、いやなやつだということだ。息子をまるで理解していなかったり、弟と差別的に扱ったり、ポケベルを持たせて塾に通わせたり、どの母親もそんなことばかりだ。
自分が母だといううしろめたさを作品に反映させるのは見苦しい。自己嫌悪なのか、卑下しているのか、息子に軽蔑されるのが怖いのか。
小説自体は目新しいところのない、定番のストーリーだ。高慢な少年が転校し、新しい環境で新しい仲間と出会って成長していく、お決まりの必勝パターン。
それがこの母親像の偏り(父親像も相当ひどい)で台無し。

母親像。
それは母としてでなく、子供として書くべき題材なのだ。よくも、わるくも。かつてそれは、いつか大人になったらなれるようなものではなく、もっと絶対で圧倒的で永遠の存在だったはずだ。
たしかに彼女たちは独善的で、ヒステリックで、無知で、たまらなくうっとおしい。電話がかかってくればうんざりするし、言ってよこす心配は的外れ、役に立ったためしがない。連れて歩けば文句ばかり、恥をかくこともしばしばだ。ましてや思春期、腹立たしくこそばゆい。
それでもなお母というものは、もっと柔らかなもののはずだ。私はそう思う。それは決して忘れられるような種類のことではない。たとえばあのひとがただ目の端に映るだけで、読んでる本のページがぼんやり霞むような、そんな柔らかさ。あのひとはなにもかもめちゃくちゃにしてしまう。なにもかも矛盾に混沌に帰してしまう。そして私は、潮のように圧倒的に慰められてしまう。
母も、父も、親に魅力がないなんて、夢がないよ。

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オススメ度:☆☆★★★
オススメポイント:制服女性警官
あなたに不利な証拠としてあなたに不利な証拠として
ローリー・リン ドラモンド Laurie Lynn Drummond 駒月 雅子

早川書房 2006-02
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出だしが「これは本当にあったことだ。」なので、ドキュメンタリーだと思い込んでいた。が、ミステリー。同じ警察署に勤める数人の女性警官のオムニバスの短編集。もの珍しいので、一冊読むには良い題材だと思う。全体にスピリチュアルワールドへの傾倒が見られるが、がまんできる程度。
作家本人が警官出身とのこと。美しい女性警官と犯行現場の残虐さグロテスクさとの取り合わせが主な魅力。受賞作という「傷跡」はフォーカスがわからず惹かれなかったが、「キャサリンの挽歌」は女として身につまされる。
4ページにわたる謝辞を読むと、この人ほんとにこんなに多くの人々の助けで書いてるのだったら作者を名乗るべきではないのでは?!という気も。

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オススメ度:☆☆★★★
オススメ対象:不明
ツッコミポイント:経済は本当に知りたいことを教えてはくれない
下流社会 新たな階層集団の出現下流社会 新たな階層集団の出現
三浦 展

光文社 2005-09-20
売り上げランキング : 362
おすすめ平均

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経済ってゴシップだ。
人間にコントロールできるようなものではなくて、できることといえばある現象を『暴く』こと、そしてせいぜい虚構を『でっち上げる』こと。しかしその効果はといえば予測不能でままならず、真摯な期待を寄せれば足下を掬われる。
マーケティング・アナリストが書いた本とのことで現実的等身大な視点の面白さは抜群だ。学者ならば到底できないような軽率なレッテル決め付け、他人の著作へのお気軽でそれなりに機転の利いた嘲弄。
階層の固定化、貧富の格差拡大、今のキーワードとなっているこれらの現象を、面白おかしく書いているという点では評価するけれど、肝心の「下流」という言葉に集約されている「ダメなやつら」という見下げた視点が、非現実的。
この本における下流の人間とはすなわち「上昇志向がない」人間のことなのだけれど、上昇志向とは経済という狭い観点からのベクトルに過ぎない。経済力や社会的地位を上昇させることがより良い生き方だとする考えは今の主流ではなくなっている。それはわかりきっているのにあえて「眉をひそめてみせる」姿勢は、ゴシップ好きの読者層をマーケティングした結果なのかしら、ね。
上昇志向が弱まるのは、豊かになったということだ。日本は豊かになった、とことん豊かになりきった。ほとんどのモノにそれぞれの価格帯での商品が用意されていて、ランクさえ問わなければ同じ目的のものが低い金額でも手に入る。
経済という古い指標で人生の価値を測れる時代は終わってしまったし、国民総なんとかみたいなベクトルは形骸もとどめてない。
がつがつ働いて何千万以上年に稼いで、ひとりよがりに『勝利』を感じて生きたい人もいれば、200万くらい稼いで、安い買い物をしながらモノ作りや貧乏旅行をして『自由』を感じて生きたい人もいるだろう。
所詮どちらも錯覚。生きて死ぬまでの持ち時間を壊滅的に発狂せずに過ごすためのワクチン的な軽い狂気。同じ錯覚を見れなくなったことがそんなに嘆かわしいか?


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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメポイント:モナ・リザ

ダ・ヴィンチ・コード(上)ダ・ヴィンチ・コード(上)
ダン・ブラウン 越前 敏弥

角川書店 2006-03-10
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最初から最後まで気持ちを逸らさない。よく出来ているミステリー。
美術品や歴史的建造物が重要な意味を持つことから映像向きと言えるし、近く公開される映画も期待できる。
高価な美術品の盗難・偽造などを扱ったミステリーはいくらでもあるだろうが、日々何千人という人々に見詰め続けられてきた絵画そのものがミステリーを秘めているという設定が人気の理由だろう。
特に秀逸なのは敵味方の逆転。使い古されたテクニックだが人間関係が少しずつ新鮮なため、効果的だった。
(少なくとも本編では)聖杯の在り処を見つけ出すことはできない。このミステリーの結末は殺人事件の全容の解明と聖杯の正体の解明だが、殺人事件の方は解明されても犯人に入れ込むようなつくりになっていないので、主人公が安全を確保したという安心感くらいしかないし、聖杯の正体についてはストーリーにのせて徐々に明かされていくものの、実際に冒険の中でその謎を解明するのではなく、他の人物が既知のことを少しずつ教えてくれるだけなのでラストでの獲得感は薄い。
物語の流れがあまりに見事なのと、象徴学という一般には新鮮な学問の魅力的で、読み終えた瞬間にはそのことに気付かない。

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ダ・ヴィンチ・コード(中)ダ・ヴィンチ・コード(中)
ダン・ブラウン 越前 敏弥

角川書店 2006-03-10
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ダ・ヴィンチ・コード(下)ダ・ヴィンチ・コード(下)
ダン・ブラウン 越前 敏弥

角川書店 2006-03-10
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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:暮れない夜と昇らない朝と
オススメポイント:そもそも心って見たことある?
白夜行白夜行
東野 圭吾

集英社 2002-05
売り上げランキング : 8,253
おすすめ平均

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854ページ。文庫だというのに持ち運びに全く便利でないのである。上下巻に分けなかったのには、何か出版社側の意図があるのだろうか。
しかし一気に読んだ。
もともと東野圭吾はあっさりと整理のついた文体の人で、読みながら混乱もなく惑乱もない。それが物足りないところでもあったが、この小説で取った手法とこの長さには、そのあっさりが合っている。
宮部みゆきの「火車」と同じ手法。醸し出している不気味さも、物語の最後の切れ方も全く同じだ。
「白夜行」は主人公の心理を描くのではなく、周囲を描いていく。得体の知れない不吉な人物として。20年前の、迷宮入りした殺人事件を発端に。読者には少女と少年が犯人として示唆されているのかすぐにわかるのだが、ページを繰り丹念に時間の流れと共に周辺の人間の物語を追いながら、その誰もが決定的な証拠を得られないままでいるために、次第に恐怖が高まってくる。
やがて直感により犯人の魔性に気付く人物の登場の仕方といい、かかわり方といい、追いかけてきた刑事と合流するタイミングといい、構造としてよく出来ている。全ての伏線がはまるのが嫌味にならないのは、あっさりした文体が一助となっているのは確かだろう。
難を言えば最終的に明かされる犯罪の動機となる情景として、少女売春が示されるが、金貸しの中年男の美少女との痴態、は確かに絵として派手なんだけど、見苦しいばかりで凄みはあまりない。少なくとも一貫して不気味でありつづけた犯人の救いようのない闇に値する光景ではない。
その闇は人を殺す殺さないではないのだ。ただ一人、お互いをのぞいて全ての人間を憎み欺き報復する生き様そのものなのだ。その動機となるのに、少なくとも少女の心にとって、幼い頃中年男に抱かれただけでは(それが不幸だということはわかっているけれど)、そうはなれないと思うのだ。やはりそこには家族が、娘を売った母親との愛憎が劇的に表されていないと、最後の最後で納得の行かない思いがするのだ。絵的にゴシップ的な欲望は満たされても、心が納得いかない。
その点、「火車」のほうが得心が行ったようにも思う。
それは、私が、そして「火車」の作者が女性であることに関係しているのかもしれないが。


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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:数学はニガテというあなたへ。
オススメポイント:江夏豊
ツッコミポイント:博士といっしょに息子の心配をする雷のシーンは心配のための心配と荒唐無稽に感じるありえないほど不出来なシーン。ぜひ改稿を。341が11で割れるのはヒトメ見た瞬間にわかること。
4101215235博士の愛した数式
小川 洋子

新潮社 2005-11-26
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小川洋子を読み終えると、ある種の肉体疲労が残る。
これはなんなのだ、泳ぎ終えたような重たい背中と遠い耳。
この一冊でようやく気付いた。
声を出さずに朗読しているのだということに。
私は本を読む速度は速いほうだし、小川洋子は平明な文章で読やすい作家だ。だから本当に朗読するときのテンポで読んでいるわけではないのだけれど、息遣い、息継ぎ、が、気付くと小川洋子の文章に沿っているのだ。そんな文体を持っている。

さて、私の義理の父が脳腫瘍の手術をしてからもう半年が過ぎようとしている。彼の腫瘍は脳の記憶をつかさどる部分を圧迫し、術前にも私の名前が出てこなかったり、食事をしたことを思い出せなかったりという症状があった。手術をすれば快方に向かうものと思っていたが、腫瘍は取りきれたものの、記憶をはじめ脳の機能は時間が経つにつれ低下、普通の生活を送ることが出来ず、今また病院に入院している。
義父を近くで見守る義母と義妹は、会うたびに
「でも意外とわかってるのよね、このまえからかったらむっとして」
「最近のことは良く思い出せないみたいね」
「普段いない人がいると違うところがあるみたい」
「もともとの性格の部分もある」
と口をついて出てくることといえば、義父の症状・行動への頻繁で活発な考察ばかりだ。
とうに分析などしなくなり確立されていた義父のアイデンティティーの再構成が、病をきっかけに今また行われている。そして再構成すれどもすれども、衰え続けていく義父はその像から逃れ遠ざかっていく。
トイレに行きたい、もう眠りたい、と繰り返し繰り返し大きな声で訴える義父。けれどトイレに行っても排泄はなく、ベッドに入っても眠りは訪れず、歩き回って転倒し、どこにいきたいのかわからず呆然とする。
「だけどお風呂に入れたときひとりにしたら、すごく足腰しっかりと一人で出てきたのよ」
「誰々の話をしたときには筋の通ったことを言ってた」
そういつまでも語り合うひとつの家族を見詰めて、ふとせつない。
これはつまり、領域・境界の問題なのだ。
全て究極の問題というのは、領域と境界の問題だ。
それはこの場合でいえば、どこまでがあの人なのか、どこまでが彼らが愛したあの人なのか、そういうことだ。
それは誰にとっても難しい問題。どこからが育ちで、どこからが遺伝なのか、どこからが自分の意思で、どこからが環境のせいで、どこからが理性で、どこからが欲望で、どこからが心なの?
けれど結局のところ健康な人はあまりにも自分勝手に存在していて、私が愛していようと待っていようと求めていようと、嫌っていようと避けていようと無視していようと、あまりにも自分勝手に確固として存在しているので、境界の問題はなし崩しになる。
流動的なものこそが変わらないものだと信じる私にとって、その人自身とは、その「自分勝手」そのものだ。私はその自分勝手さに挑み、その自分勝手を求め、その自分勝手に殺される。

博士の愛した数式、の博士は事故によりその記憶に障害を抱えている。
ここにはある種の愛が描かれている。しかし、自分を記憶してくれない相手を愛し、愛されることは果たして可能なのだろうか?
愛という問題の対極として登場するのが数式だ。数式は永遠不変の真理として描かれ、記憶によらなくても博士の能力を発揮できる唯一のものだ。その美しさ、優しさにはっとさせられる。
記憶は愛をどれほど支配するのか。その答えはここにはない。

どうかずっと、自分勝手でひどいひとでいて、愛する人たちよ。


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オススメ度:☆☆☆★★
オススメ対象:民族とは何か30字以内で答えよ、という問に即答できない人
オススメポイント:混沌
4166601024民族の世界地図
21世紀研究会

文藝春秋 2000-05
売り上げランキング : 45,302
おすすめ平均

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民族という話をし始めると最後は必ずお茶を濁さねば終わらない。
民族とは何なのか結局のところよくわからないし、わからないけれどなんだか話したくなってしまうような魅力はあり、その面白さはちょっとした習慣や風俗なんかの瑣末なことどもにあるのだけれど、それを一気に”○○民族ってさ〜”と全体的な決め付けに短絡的に飛びつきたくなる危うさもあって、そうこうするうちに何かが見失われてしまい、”ま、人間って誰でも、ね・・・”なんてお茶を濁す羽目になる。

世界の民族の成り立ちや現在抱えている問題などを網羅的に広く浅く描いたこういう本って何冊か読んだことがあるけれど、読んだあとに頭に残っているのは結論とか主旨とかじゃなくて、やはり”ユダヤ人が金融業で成功したのは世界中のユダヤ人がヘブライ語という共通語をもっていたからで”とか、”四川料理もイタリア料理もほんの2,300年前はからくありませんでした”とか、そういったささやかなことだ。
実はそういうことだけが大事なんじゃないか、”○○民族ってさ〜”といいたくなる誘惑を絶って。と思う。

さておき、民族としてのアイデンティティーって私は好きじゃない。それはとても危険だ。民族に限らず、集団としてのアイデンティティーへの帰属を強く感じることは時にとても甘美なのは知っているけれど。
阿片。

人は、ほんとに大切なことは自分ひとりで悩み苦しまなければならないのさ。こたえなんて、ひとりひとりちがうんだから。

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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:情熱的な人へ
オススメポイント:自分の愛に懐疑的になるよ。。
4102157220愛の続き
イアン マキューアン Ian McEwan 小山 太一

新潮社 2005-09
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ある日気球の事故現場に立会い、偶然知り合った男に、突然こう言われる。
「あなたはぼくを愛してる。ぼくを愛してるんだ、ぼくはその愛に応えるしかない」
見も知らない男。しかも、同性だ。
そしてその日から、ストーキングが始まる。

ストーカーという言葉とともに、情熱は不当に罰せられている。かといって連座から救う騎士はまだ知られていない。
イアン・マキューアンは現代における愛の疑わしさを実に良く描いている。ストーカーの恐ろしさだけではなく、それによって脅かされる恋人との信頼関係との対比が良い。ストーカーは愛の確信に満ちているにもかかわらず閉ざされた自己の世界に生きており、恋人同士は向き合いふれあいながらもお互いの愛を信じることができない。
愛だけではない、人生の夢も、配偶者の貞操も確信できず、ストーキングされているという訴えは恋人にも警察にも信じてもらえない。しまいにはレストランに居合わせた人々の供述すら一致せず、客観性の頼りなさが露呈される。
マキューアンはひとつひとつのエピソードに惑溺しない。語りの視点が主人公の一人称からときおりストーカーの手紙や恋人の目で語られることがあるが、煩雑なダイヤル合わせをせずするりと読めるのはそのためだろう。それは冷徹というよりも、一塊のパラグラフとして、演説としてではなく、物語全体を通してひとつのことを主張しようとしているように感じられる。
つまり、人々の大半は確信することができずに苦しみ、確信できている奴は現実から目を背けた精神病だ、という現代を蝕む深刻な病だ。

貶められた情熱を犯罪や精神病の汚名から救う白馬の騎士は、勇気だけだと私は思う。
相手の逃げ道に立ちふさがらないこと。自分の退路は絶つこと。わたしたちは明日には死んでしまうかもしれないということ。

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オススメ度:☆★★★★
オススメ対象:オススメできず
オススメポイント:着想・雰囲気は良い。
突っ込みポイント:予定調和
4022500603ネクロポリス 上
恩田 陸

朝日新聞社 2005-10-13
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4022500611ネクロポリス 下
恩田 陸

朝日新聞社 2005-10-13
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架空の世界・文化・現象が描かれるファンタジーにおいて、謎は必ず”ドラマ”によって劇的に破られなければならない。そこにリアリティーがない以上、理屈やトリックを云々しても鼻白むのだ。
この最後の最後に字数制限に納めようとしたかのような説明的な謎解きは、探偵小説の最後の探偵の独壇場としてはいいかもしれない。
しかしこれではファンタジーの醍醐味がないだろう。

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