びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

ブックレビュー(小説・文芸書・実用書・絵本・その他)

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オススメ度:☆☆☆☆★
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オリヴァー・トゥイスト(上) (ちくま文庫)
チャールズ・ディケンズ 小池滋
筑摩書房 1997-12-04
評価

by G-Tools , 2017/01/29



19世紀のイギリスで、人々がどのように生活していたのか、二百年経った今も古びない、楽しく分かりやすい物語でいまに伝える物語。

貧しい生まれ故に行き場を失い、9つでユダヤ人フェイギンの窃盗団にかどわかされたオリバーは、見る人を魅了してやまない天使の美貌によって悪人からも善人からも引く手あまた、オリバーをめぐる悪人たちと善人達の攻防がドラマを生み、やがてオリバーの出生の秘密を解き明かしていく。

窃盗団が盗むめぼしいものとして、ハンカチがあるのが面白い。現代ではハンカチなどスリをしてまで手に入れるほど価値のあるものでないし、人が使っていたハンカチを中古で使う感覚はない。でもこの当時は中古のハンカチを売る店があり、その仕入先はスリたちだったらしい。
彼らは立派な紳士のポケットから絹のハンカチを鮮やかな手つきで取り出して持ち帰り、イニシャルの刺繍の縫取りを取る。フェイギンのアジトには洗濯したハンカチが所狭しと干してある。

ストーリーに多少のご都合主義はあるが、批判する程のことはないように思う。偶然助けてくれた人と実は深い縁があるとか、まさかそんな、というほどの世間の狭さはいくつか現れてくるが、そこでここぞとばかりに神様だの善行だのをひけらかしてこないで、案外あっさりと通り過ぎるからだ。

その一方で、貧しい人々の悲惨な境遇については現代に通じるリアリティがある。
フェイギンの一味である売春婦ナンシー、オリバーに肩入れした彼女は物語の転換でとても重要な役割を演じる勇気のある女だが、情人である怪力の悪党サイクスから激しいDVを受けていてもその境遇から抜け出すことができない。

「わたしみたいに、自分の身を間違いなく雨露から守ってくれるものといったら棺桶の蓋しかなくて、病気になって死にかかっても、友達といったらお助け病院の看護婦しかいない、そんな女が、どこかの男に哀れながらも思いを寄せたとしたら、昔は両親や家庭や友達が暖かい火をともしてくれたけれど、みじめな暮らしを続けているうちに空っぽになってしまったこの胸のうちが、やっとその男のお蔭でまた暖かく燃えそうになったとしたら、そんな愚かな女を、誰が正気に戻らせることができましょうか? お嬢さん、憐れんで下さい――あたしたちみたいな女が、女に残されたたった一つの情けに未練を感じたために、それが神様の罰によって慰安や誇りの種とはならず、逆に乱暴と苦しみを増す種になってしまったことを、どうか憐れんで下さい」
自分の言葉の通り、サイクスへの未練のために彼の元に戻ったナンシーはサイクスに殴り殺される。こん棒で頭を、サイクス自身が目を背け、しかし恐ろしくて背を向けられないほど、無残に砕かれる。

目をおおうばかりの恐ろしい姿だった。男はよろよろと壁の方に後ずさりしたが、片手で目を押えながら、片方で重い棍棒をつかむと、女の上から振り下ろした。

サイクスのナンシー殺しと死体との対峙、その後ドアを開けて逃げ出すまでの一連の描写は今まで他に読んだことがないほど素晴らしい。何度も読んでしまう。

そうしている間じゅう男は、一度も死体に背を向けたことがなかった。一瞬の間といえども、なかったのである。後始末が終わると彼は、後ずさりしながらドアの方に行った。

悪党は皆自業自得に死んで行くが、誰もが皆、身近に感じられる。例えばユダヤ人フェイギンがずる賢く表裏のある人物として描かれていても、それはあたりまえの普通のこと、無理からぬことのように理解される。

勧善懲悪の話とはいえ、善人達よりもずっと、悪人達が人間らしく生き生きと描かれて、読み終えると、「これならナンシーもフェイギンも、サイクスだって、報われるよな、こんな風に書いてもらってさ」と、彼らが笑っている顔がロンドン橋の向こうの夜空に浮かぶのだった。

オリヴァー・トゥイスト(下) (ちくま文庫)
オリヴァー・トゥイスト(下) (ちくま文庫)チャールズ・ディケンズ 小池滋

筑摩書房 1997-12-04
売り上げランキング : 67211

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オリヴァー・トゥイスト(上) (ちくま文庫) 大いなる遺産 下 (河出文庫) 大いなる遺産 上 (河出文庫) 荒涼館(2) (ちくま文庫) 荒涼館(1) (ちくま文庫) 二都物語(新潮文庫) イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫) ピクウィック・クラブ(上) (ちくま文庫) ピクウィック・クラブ(下) (ちくま文庫) ピクウィック・クラブ(中) (ちくま文庫)


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オススメ度:☆☆☆☆☆
おすすめポイント:子どもへのお土産にぴったり



小学館の子供向け図鑑NEOのペーパークラフトシリーズ。
本という体裁になっているが、すべてのページがペーパークラフトの材料。 ゾウなどの大物は数ページにまたがって、前右足、前左足、右側の牙と耳、左側の牙と耳、という具合に分かれている。

何冊あっても良いし、子供だけでなく親も夢中になって作ってしまう。

1.道具がなくてもできる
2.簡単にできる
3.しっかりしたつくり
4.見栄えがすばらしい
5.子どもも大人も夢中

1.道具がなくてもできる


「よういするもの」として一応以下が書かれているのだが、なくても十分作れる。(カッコ内は原文)
はさみ
カッター
セロパンテープ
のり(木工用瞬間接着剤)
刃物がいらないので、飛行機や新幹線の中などで子どもを夢中にさせおとなしくさせるのにおすすめだ。
カッター台
めんぼう

道具に手の届く自宅で作っているが、これらの道具が必要だと感じたことはほとんどない。
のりについてはごく一部にのりがなければ最後の仕上げができないところがあったが、ほとんど紙の切り込みを組み合わせるだけでとめることができる。
はさみやカッターについては不要だと思われる。


2.簡単にできる


部品はミシン目で部品は簡単に取り外せる。
部品には組み合わせの番号が記されているから番号どうしを合わせて簡単に組み立てることができる。
指示はごくごくシンプルに「やまおり」、「たにおり」だけ。

3.しっかりしたつくり


簡単にできるのにつくりがしっかりしていて、あらかじめ入っている切り込みに部品のミミを差し込むだけで、戻らないようにできている。
番号の組み合わせは部品と部品だけでなく、一つの部品をくるりとまげて差し込むところもある。例えばゾウの足などは筒のように形作られる。もちろん単純な丸い筒ではなく、丸みを帯びたゾウの足らしいどっしりした足だ。
ぱっと平面で見ただけでは見当がつかないかたちができあがっているのには、わくわくする事間違いなしだ。
もちろん、安定して自立するようにできている。

4.見栄えが素晴らしい


簡単にできるし金額もそんなに高いとは言えないけれど、見栄えは素晴らしい。
形も良いが色や質感も動物の特徴をとらえている。
それぞれ、かんたんに生息地や特徴が書かれた札もついていて、作ったあとしばらく飾るのもよいだろう。

5.子どもも大人も夢中


小学2年生の娘の男の子の友達の家に招待していただいたので、このシリーズの「乗り物」をお土産に持っていったが、大変好評で、娘と二人で帰るまでには半分作り上げてしまった。次に学校であったときには「もう全部作ったよ!」と言っていたそうだ。
私も子どもと一緒に自宅で作るのを楽しんでいる。
簡単なのに一つできるととってもあたまがスッキリする。気分が良いのだ。


非常にオススメ。


この本でできるのは…

アフリカゾウ
タヌキ
ミーアキャット
キリン
ライオン
ムササビ
ジャイアントパンダ
トムソンガゼル
ニシゴリラ
レッサーパンダ
ニホンザル
二ホンリス
ヒョウ
コアラ
オオアリクイ
ヤマネ
オオカンガルー
アフリカスイギュウ
キタオポッサム
トナカイ
ヤマコウモリ
アズマモグラ



りったいどうぶつ館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく)
りったいどうぶつ館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく)神谷 正徳

小学館 2005-11
売り上げランキング : 21126

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新・りったいどうぶつ館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったい とり館: 小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく りったい恐竜館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったい両生類・はちゅう類館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったいやさいくだもの館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったい お花館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったい 乗りもの館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったいさかな館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) 新 りったい 恐竜館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく) りったい昆虫館 (小学館の図鑑NEOのクラフトぶっく)


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関連タグ : ペーパークラフト,

紙芝居「食べられたやまんば」
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たべられたやまんば (民話かみしばい傑作選)
松谷 みよ子 二俣 英五郎
童心社 1984-04
評価

いもころがし(日本むかしむかし) (童心社のかみしばい) さらやしきのおきく (紙芝居おおわらい落語劇場) おひゃくしょうとえんまさま (紙芝居ベストセレクション 第2集) こねこのしろちゃん (童心社のベスト紙芝居 どうぶつれっしゃ) ごきげんのわるいコックさん (とびだすせかい)

by G-Tools , 2016/01/02



松谷みよ子さんの「たべられたやまんば」は子供たちにばかうけ、紙芝居の鉄板だった。
読む一文ごとに返ってくる、子供たちの完全に物語に入り込んだリアクション。
どっかんどっかんと爆発する笑い。
受けたのはその場限りではない。二日後にPTAの仕事で学校に立ち寄った際にも、わざわざ近くに寄ってきた子供が「やまんばの、おもしろかったよ!!」と言ってくれた。
こんな手ごたえがあるのなら、毎日でも読んであげたい!と思わせる、そんな読み聞かせ冥利に尽きる紙芝居。
手に汗握る冒険あり、知恵ありの飽きさせない展開と、細部までちりばめられたユーモアの仕掛け。

娘の小学校で本読み当番というものがあって、年間8回、保護者のうち希望者が二人一組で朝の時間に本を読み聞かせをするのだ。
その本読み当番を、12月初旬につとめてきた。1学期の一番最初にやって以来の2回目。

今回は松谷みよ子さんの「たべられたやまんば」をチョイス。

ストーリーは「三枚のおふだ」としても知られている、小僧がやまんばに食われそうになってありがたいお札を使いながら逃げのび、おしょうさんのとんちでやまんばを小さいものに化けさせて食べてしまう、というものだ。
読む人の技量を選ばない真の名作紙芝居だ。うまければいくらでも掘り下げ工夫することができるし、下手でも棒読みでも、ただ読みただめくるだけでみんなが楽しめる、そのようにすでに完成されている作品なのだ。
声色だけは4種類使い分けたほうが良いので、それだけ練習しておくとぐんと出来栄えが良くなる。
4種類というのは、①小僧(かわいらしく)②おしょうさん(のんきに)③やさしいときのやまんば(おばあさんらしく)④こわいときのやまんば(ばけものっぽく)。

読み聞かせの本に迷ったらおすすめの1冊よ。
ちなみに娘は小学一年生。

本読み当番には本読みノートという、当番が読んだ本や感想を書いて次の当番に回す記録がある。
それを見ると、過去に読まれた本は以下のとおり。

おじさんのかさ (講談社の創作絵本)
おじさんのかさ (講談社の創作絵本)佐野 洋子

講談社 1992-05-22
売り上げランキング : 56954


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気持ちの本
気持ちの本森田 ゆり たくさんの子どもたち

童話館出版 2003-07
売り上げランキング : 7763


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おとうふさんとそらまめさん (年少向けおひさまこんにちは)
おとうふさんとそらまめさん (年少向けおひさまこんにちは)松谷 みよ子 長野 ヒデ子

童心社 2005-06
売り上げランキング : 1113908


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きょだいな きょだいな (こどものとも傑作集)
きょだいな きょだいな (こどものとも傑作集)長谷川 摂子 降矢 奈々

福音館書店 1994-08-20
売り上げランキング : 18076


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わゴムはどのくらいのびるかしら?
わゴムはどのくらいのびるかしら?マイク サーラー ジェリー ジョイナー

ほるぷ出版 2000-07
売り上げランキング : 18983


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そらまめくんのベッド (こどものとも傑作集)
そらまめくんのベッド (こどものとも傑作集)なかや みわ

福音館書店 1999-09-30
売り上げランキング : 11106


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にじいろのしまうま
にじいろのしまうまこやま 峰子 やなせ たかし

金の星社 1996-05
売り上げランキング : 81168


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うえにはなあに したにはなあに (福音館の科学シリーズ)
うえにはなあに したにはなあに (福音館の科学シリーズ)ローラ・M・シェーファー バーバラ・バッシュ

福音館書店 2008-05-31
売り上げランキング : 443395


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むしたちのうんどうかい (絵本・こどものひろば)
むしたちのうんどうかい (絵本・こどものひろば)得田 之久 久住 卓也

童心社 2001-10
売り上げランキング : 77303


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バムとケロのそらのたび
バムとケロのそらのたび島田 ゆか

文溪堂 1995-10
売り上げランキング : 9866


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スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし
スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなしレオ・レオニ 谷川 俊太郎

好学社 1969-04-01
売り上げランキング : 12330


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きょうはなんのひ? (日本傑作絵本シリーズ)
きょうはなんのひ? (日本傑作絵本シリーズ)瀬田 貞二 林 明子

福音館書店 1979-08-10
売り上げランキング : 39680


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めっきらもっきら どおんどん (こどものとも傑作集)
めっきらもっきら どおんどん (こどものとも傑作集)長谷川 摂子 ふりや なな

福音館書店 1990-03-15
売り上げランキング : 7139


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はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)
はじめてのおつかい(こどものとも傑作集)筒井 頼子 林 明子

福音館書店 1977-04-01
売り上げランキング : 4468


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きょうりゅうのかいかた (岩波の子どもの本 カンガルー印)
きょうりゅうのかいかた (岩波の子どもの本 カンガルー印)くさの だいすけ 薮内 正幸

岩波書店 1983-11-15
売り上げランキング : 224990


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食べるのだいすき よみきかせ絵本 おこめようちえん (講談社の創作絵本)
食べるのだいすき よみきかせ絵本 おこめようちえん (講談社の創作絵本)苅田 澄子 陣崎 草子

講談社 2015-09-18
売り上げランキング : 658730


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バムとケロのさむいあさ
バムとケロのさむいあさ島田 ゆか

文溪堂 1996-12
売り上げランキング : 6102


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とのさまサンタ
とのさまサンタ本田 カヨ子 長野 ヒデ子

リブリオ出版 2000-04
売り上げランキング : 805995


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さて、学校には本読み当番とは別に本読みボランティアというものもあり、それは一種保護者のクラブ活動のようなもので、やはり定期的な読み聞かせと、学校に飾る折り紙細工を作ったりという活動をしている。
司書の先生も読み聞かせをしているし、図書館でも決まった曜日に読み聞かせが行われている。
家でも親に読み聞かせしてもらっている子供は多いんじゃないかな。

この子供たちはふんだんに読み聞かせを浴びているわけだ。シャワーのように。

私は子供への読み聞かせはすればするほど良いと考えているから、この教育環境は喜ばしい。学校や地域の努力に感謝の気持ちでいっぱいだ。

しかし、自分が読み聞かせをするという段になると……
この耳の肥えた子供たちに一体何を読み聞かせたら良いのか??という課題が毎回のしかかってくる。
もちろん読み聞かせる本は知っている話を繰り返し読み聞かせても良いのだけれど、やっぱり悩むよね。






おすすめ度:☆☆☆☆☆
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パイプのけむり選集 食 (小学館文庫)
團 伊玖磨
小学館 2009-05-08
評価

by G-Tools , 2015/11/23



知人がFaceBookで「サルミアッキアイス」なるものについて投稿していた。

なんでも「猛烈にあまくて、とんでもなくえぐくて、そしてしょっぱい」食べ物らしい。
その正体は海藻を煮詰めたフィンランドの菓子らしいのだが。

その「えぐみ」というキーワードに、ふと記憶を呼び起こされた。
日本にもえぐみがある菓子があるとどこかで読んだ、という記憶である。

そう、確かそれは餅のようなもので植物が練りこまれており、「一口しか噛んではならない」。
一口噛んだら即呑み込む。そうでなければ口の中がえぐみで痒くなるというのだ。
店で売っているようなものではなく、野草の類を手作りでこさえた珍味だったような…

そうまでして食べたいほどの美味。いったいどんな味なのか。
一度思い出すと無性にまた読みたい。
できれば食べたい。

そうだ、こんなことを書きそうなのは團伊玖磨さんだろう、とあたりをつけ、Kindleストアをのぞいてみたら、
なんと、名随筆と名高い『パイプのけむり』から『食』をテーマとして選集が出ているという。
パイプのけむりといえば何十冊もあるあの本、正方形のような形で、実家の書棚から手に取ってソファーに丸まって読んだあのビニールのカバーの柔らかな感触まで鮮やかによみがえる。

ポチッと購入。

そしてKindleの機能を駆使して「えぐい」「えぐみ」「かゆい」「あく」などで検索するも見つからず。更に「いがいが」なども検索してみるがなおも見つからず。

あきらめきれずに速読で確認しようとぱっぱとページをめくる。
ところが目の端にうつる言葉のいちいちが懐かしく、新鮮で、興味深く、気づくと手を止めて読んでしまっている。
いやいやそれは後からじっくりと。今は探そう、とまたぱっぱとページをめくるも、気づくと手が止まって…

面白い。

それで、やっぱり團伊玖磨さんは、えぐみや痒みに非常に興味が深かったのではないかと『筍』を読んで考えた。

よく味わってみると、何処か遠くのほうでいがいがとむず痒い感覚もしないでは無いが、そのむず痒さを呑み込む快感が味を一段と引き立てることが理解されて、春が来る度に、これが春の味なのだ、大地にとって春はむず痒いのだ、これはその味なのだ、と思う。
                      (さてパイプのけむり 『筍』)より




えぐみや痒みが團伊玖磨さんにとって特別なものとなったのは、小指の怪我と関係があるのではないだろうか。
ピアニストを目指していた若き日、小指の怪我がもとでその夢を断念した團伊玖磨さんは、作曲家を目指すこととなる。
もし彼が小指を怪我していなかったら「ぞうさん」はかあさんとよりそうこともなく、「夕鶴」が大事なよひょうを思って泣くこともなく、「花の街」を風のリボンが流れることもなく、「やぎさん」がとどいた手紙を食べちゃったり「ありさん」がごっつんこしたりすることもなかったのだ。
そして30年以上の連載を誇った名随筆『パイプのけむり』も生み出されることがなかった…

そう考えると運命の不思議を感じるが、ただ単にピアニスト兼作曲家兼エッセイスト、ということになっただけかもしれない。
天は二物も三物も与えるからねぇ。。。

もしかしたらえぐみ・痒みとは、團伊玖磨さんの知性そのものなのかもしれない。
ピアニストの夢をあきらめる、というともすれば悲劇にとらえられがちなエピソードを、なんとも滑稽にユーモラスに超えて行く、その跳躍の先に、日本を代表する作曲家と、名随筆家として充実した花を咲かせた團伊玖磨さん。春が来るたびむず痒い、何度も繰り返し芽吹くその命。

名随筆は死なない。と、團伊玖磨さん没後10年以上経って、改めて。

音楽も、またしかり。

来年はオペラ「夕鶴」が上演されるそうだ。


パイプのけむり選集 食 (小学館文庫)
パイプのけむり選集 食 (小学館文庫)團 伊玖磨

小学館 2009-05-08
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パイプのけむり選集 旅 (小学館文庫) パイプのけむり選集 話 (小学館文庫) パイプのけむり選集 味 (小学館文庫) 酒肴日和: 「そうざい」エッセイ選集 (徳間文庫カレッジ) もの食う話 (文春文庫)

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメポイント:火の点かないライター

火花火花
又吉 直樹

流 第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) スクラップ・アンド・ビルド 新・四字熟語 (幻冬舎よしもと文庫)

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売れないお笑い芸人、徳永が主人公。そして同じく売れないお笑い芸人、神谷。徳永よりも若干年上。
二人はそれぞれ別の男とコンビを組んでいる売れない漫才師。事務所も別。
徳永はとあるイベントで知り合った神谷に、衝動的に弟子入りする。
した。

徳永が又吉なんだろうな、というのはすぐわかるんだけれど、この徳永がよく又吉のイメージ通りの感性・人柄で、自分のことがわりと見えてるひとなのねぇ、と感心。
お笑い芸人で本を出す人けっこういるけど、「おまえだれだ?!」とびっくりするくらい活字の人格が違う人っていくら文章が上手でも、うすっぺらい感じがしちゃう。
だから、そこはまずクリアしてて、ああ、作家なんだなぁと思った。

神谷は、とにかくやることがめちゃくちゃ。そのへんのストリートミュージシャンとかお母さんに連れられたあかちゃんとかに遠慮なしに絡むし、女にも金にもだらしがない、肝心の漫才の舞台も世の中のルールを無視してハプニングやトラブルばかり起こる。そして徳永におごってくれる。消費者金融で借りた金で。そしてやさしい声で話す。

神谷の破天荒さ、だらしなさ、やさしさはよく描かれてるけど、

『神谷さんってどこが面白いの?なんで弟子入りしたの?』

というところは伝わってこない。

『いまいち肝心のところが描けてないのではないかなー』

という不安をかかえながら

『この本ほんとにおもしろいのか』

という不安をかかえながら

読んだけれど、
最後まで読んだら、
本は面白かったよ。

徳永は又吉とは違い、ブレイクしないまま相方が結婚を機に堅気になったため解散・引退する。その最後のライブもちょっと感動的に描かれていて、だから気にならなくなってしまうんだけど、やっぱり「あれっ綾部のことは描ききれないのかな、それが相方というものなのかな」という気はしたよ。

そうそう、神谷は面白くなかったんだよ。
最後まで読んで、面白くないんだということがわかった。

『…そうか、神谷さんは面白くなかったのか…神谷さんは、面白くなくていいんだ。そこが神谷さんの面白いところだったんだ』

この疑問がとけたときが一番興奮しました。

面白さを求め、あがき、やがてあきらめていく、そんな売れない芸人達は現実にゴマンといるんだろう。
生き馬の目を抜くような世界で並び立つことのできない男と男が散らす火花……は全く描かれていなくて、
恋愛のような、心細い少年のような、叙情的な交わりに、タバコに火をつけようとオイルの切れたライターをカチカチカチ、と鳴らしたような、火を生まなかった火花がいくつかあったような、そうだ確かにきらめいたような、…。

そう思えばじわっとくる、読後感。




火花火花
又吉 直樹

流 第2図書係補佐 (幻冬舎よしもと文庫) 漁港の肉子ちゃん (幻冬舎文庫) スクラップ・アンド・ビルド 新・四字熟語 (幻冬舎よしもと文庫)

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オススメ度:☆☆☆☆☆
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女のいない男たち
村上 春樹
文藝春秋 2014-04-18
評価

恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES フラニーとズーイ (新潮文庫) ふわふわ (講談社文庫) 村上海賊の娘 上巻 村上海賊の娘 下巻

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良かった。
モチーフは古くから使われているものだけれど、きちんと、年月を経て意味が深まっている。
とても良い短編集。(短編、なのかな?割と長目だよね)

なんとも知れない愛と、目に見える孤独。

「独立器官」の渡会医師の奇怪な死は、焦がれ死にという古くからあるかたちではない。
真剣に愛した相手に抱いていた幻想が裏切られた渡会医師の壮絶で不思議な死は、今の私たちが抱える恋愛の問題について深く考えさせる。
関係に未来や過去を練り合わせた物語が見出されそうな気配に気付くと、いちはやく相手が求めてきた物語を裏切って逃げる。
そうして私たちは、今の日本を覆う冷めた風潮に復讐を遂げながら、いっそうそれを助長していくのだろうか?

妻に裏切られ、浮気現場を目にした男の傷付いた心と、傷付くことから逃げたためにできた心の隙に住み着いてしまう蛇。それは魔物というよりも他人が自分の家にずかずかと住み着いてしまったような感覚で描かれている。『侵害』に近い感覚で。
「おれは傷つくべきときに十分に傷つかなかったんだ、と木野は認めた。」
深まったはずの孤独と裏腹に、失われるプライバシー。
そうして大切な自分自身は薄くそぎ取られていく。もはやそこでは「大切な自分自身」などはもう、ないのだが。

村上春樹はもっともっと短編を書いてほしい。彼は今の日本にとって必要な作家だ。「ノルウェイの森以降これといった作品がないのについ新刊が出ると買っちゃうけどさ」と思いながらも買い続けてきて良かった。
そう思わせる本。

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女のいない男たち
村上 春樹
文藝春秋 2014-04-18
評価

恋しくて - TEN SELECTED LOVE STORIES フラニーとズーイ (新潮文庫) ふわふわ (講談社文庫) 村上海賊の娘 上巻 村上海賊の娘 下巻

by G-Tools , 2014/04/27



オススメ度:★★★★☆
オススメポイント:百年の孤独
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赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)
桜庭 一樹
東京創元社 2010-09-18
評価

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫) 私の男 (文春文庫) 推定少女 (角川文庫) 少女には向かない職業 (創元推理文庫) 未来形の読書術 (ちくまプリマー新書)

by G-Tools , 2014/04/27


あらすじ:
”辺境の人”に置き去りにされた捨て子、万葉(まんよう)は失読症だったがしかし、予知能力があった。
その辺境の血を見込まれて製鉄を生業とする旧家に嫁入りした万葉に端を発する、女三代の記。
死んでいった人々の中には、殺されたものがいたのか?

読み始めてすぐに、『百年の孤独』だな、と思った。
文庫本巻末にある作者あとがきをみると、以下のような記述があり、最初から意識して書いていたようだ。
「女三代、一族、年代記と言われたら、ガルシア・マルケス『百年の孤独』に、イサベル・アジェンデ『精霊たちの家』、ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』などが脳裏に浮かんだ。」

さっそく、イサベル・アジェンデ『精霊たちの家』をAmazonで注文。

つまり、『赤朽葉家の伝説』は面白かった。
息もつかせぬ一族の絵巻、生まれてくる子供たちの名付けの妙、粗削りの神話のような味を出している幻想と現実の自在な行き来。どれも、ガルシア・マルケスそのもので、不慮の死者たちが四角い箱にぽきぽきと足を折られてつめこまれ埋葬されている鉄砲薔薇の谷間は、マルケスその人が書いたように思えた。(マルケスなら、『おんなおとこの死』ではなく、肝心のところが語られない大虐殺、と来るところだが)
私の好きな『百年の孤独』とこれだけ似通っているのだから、イサベル・アジェンデ『精霊たちの家』とはどの程度似通っているのだろう、と興味がある。
(ヴァージニア・ウルフとはあまり似ていない気がするけど)

悪意、悪人というものは出てこないのに、三代で描かれる戦後・バブル・現代といった時代の不安がうまく描かれており、予知という全能とも言える能力を持った人間が主人公であるのに、翳りがある。

でもそれにしても、製鉄という事業を中心に据えているようでいて、その鉄がどこから来て、どこへ行ったのか、そういった現実味のある『外の世界』との交流がすっぽりと抜け落ちているのも、なかなかやるなぁ、とうなる。

とはいえ、殺人?という疑念に対する答えは少々ゆるいような気もして、そこはこの小説の核心であるだけに、残念。

photo
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)
桜庭 一樹
東京創元社 2010-09-18
評価

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫) 私の男 (文春文庫) 推定少女 (角川文庫) 少女には向かない職業 (創元推理文庫) 未来形の読書術 (ちくまプリマー新書)

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まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦 しをん
文藝春秋 2009-01-09

まほろ駅前番外地 (文春文庫) 月魚 (角川文庫) 風が強く吹いている (新潮文庫) 仏果を得ず (双葉文庫) 私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

by G-Tools , 2013/05/05


人のプライベートを覗く職業を主人公にすると、シリーズ化しやすい。
ネタが尽きないから。
医者が主人公なら生死の境の人間ドラマが描けるし、刑事が主人公なら社会のルールを軸にやはり人間が描け、弁護士が主人公なら欲望が人間を浮き彫りにする。
医者・警察・弁護士といった権威の側ではなく、末端の労働者にも人のプライベートを覗く職業がある。
お手伝いさん、お掃除の人、ベビーシッター。
便利屋もそのひとつだ。

東京都下まほろ市で便利屋を営む多田は、駅前で高校の同級生、行天(ぎょうてん)と再会する。
無一文、素足に健康サンダル、極寒の正月の夜に。
行天とは忘れることのできない因縁があった。
ちょっとした出来心で、障害を負わせてしまった罪悪感。
そして、行天に居座られる形で、なしくずしに多田便利軒を二人でやっていくことになる。

三浦しをんらしいのんびりした登場人物に、意外と重たい過去があることが徐々に明らかになっていき、かといってそれがどこにも向かわず解決しないところが良かった。

東京都南西部最大の町という、町田がモデルとなったまほろ市。
私自身多摩出身なので、「この雰囲気よくわかるなぁ」、と思う。

そこにいると十分足りてしまう。

今住んでいる品川よりはるかに豊か。
綺麗な空気、広い空、待たなくても座れるベンチ、子供が探検しつくせないほどの公園もある。
レストランだって、デパートだって、大型の映画館だってあるし、敢えて新宿や渋谷まで出なくても十分おしゃれもできるし文化的に暮らせる。
品川区の公園は、多摩では「植え込み」くらいでしかない。せせこましい道をガタゴト走るベンツや潰れた三角形の土地に無理やり建てられた木造の家は、多摩には存在しない。
都心への距離も、週末のお出かけだったら全く気にならないし、子供のいる勤め人でも奥さんが家にいてくれる人なら通勤時間も問題ない。

ソープ街は私の住んでいた市には無くて、むしろ品川にたくさんあるけど、
でも、その充足して閉じられた地域の中に、ちゃんと上流の人々と下流の人々のコミュニティがあって、そういった「階層」があると社会にすごくリアリティが出て、住む人を安心させる。その安心がその土地に住む価値なんだな、っていう、そういう空気は同じだなぁと思う。

まほろ駅前シリーズ、どんどん出れば良いのになぁ、と思う


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まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦 しをん
文藝春秋 2009-01-09

まほろ駅前番外地 (文春文庫) 月魚 (角川文庫) 風が強く吹いている (新潮文庫) 仏果を得ず (双葉文庫) 私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹
文藝春秋 2013-04-12

海賊とよばれた男 上 海賊とよばれた男 下 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫) 夢幻花(むげんばな) 永遠の0 (講談社文庫)

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面白く読めた。
高校時代の完璧な友情、その無慈悲な終わり、そして心に取り返しの無い傷を負ったまま中年になった主人公。
つまり、いつもの村上ワールドなんだけれど、それでも新しく読めた。
ミステリーのように、謎を解いていく筋立てだからだと思う。

村上春樹は長編の合間にだいたいこれくらいの感じの長さの小説を書くよね。
割と面白いし、長編に比べて読んでる間の気持ちは良いんだけれど、あまり後々の印象に残らない。

この「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」は、もっとちゃんと物語の最後まで書いて欲しいなと思ったし、もっと禍々しい結末でも良かったような気がするけれど…。

このラスト、どうなんでしょう。
できたばかりの恋人に、あなたは心に問題を抱えているから昔の傷をほじくり返して解決していらっしゃい、じゃなきゃもうセックスしない、と命じられて、言うとおりにやってみた。そして暗く動かしがたい事実が発見された。彼はなんとかその成果を持ち帰る。
ところが肝心の恋人は二股をかけていて、自分が選ばれるかどうかは明日の夜にならなければわからない。
ジ・エンド。

えーっ?!

ここで任せるのー私(読者)にー??

わかりました、考えてみましょう。
そうですね…
物語の流れからすると、多崎つくるが選ばれねばならないですよね。
でも女性として見て、私だったら、多崎つくるは絶対に選ばない!!
いくら年上の女性だといっても、簡単に過去が見透かされてしまうような男の人じゃ面白くない。好みの問題なのかもしれないけど。
というか、多崎つくるが魅力的に見えるようには書かれてないんだもん、この話。そうでしょう~?素敵にしようという気がまったくないでしょう、村上春樹さんに…。駅舎の設計についても、いろいろ書いてるわりにはその核心に迫ってはいないような気がするんだよね、ただ一利用者としての駅というものへの思い入れくらいのものしか伝わってこなくって、多崎つくるを光らせるには至っていないというか。
それに、ツクルって、「る」で終わるじゃん。いつものワタナベノボル系の人物かと思ったし。ねぇ…

というわけで、
「選ばれなかったら今度こそ死ぬ」
という多崎つくるくんは、私のラストでは死んでいる。
そしてきっと恋人が選んだもう一人の男が、友達をレイプしたり殺したりしたのと同一人物だな、村上ワールド的に。きっと。
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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
村上 春樹
文藝春秋 2013-04-12

海賊とよばれた男 上 海賊とよばれた男 下 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫) 夢幻花(むげんばな) 永遠の0 (講談社文庫)

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オススメ度:☆☆☆★★
オススメポイント:前編と後編のすき間
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舟を編む
三浦 しをん
光文社 2011-09-17
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海賊とよばれた男 上 まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) 海賊とよばれた男 下 風が強く吹いている (新潮文庫) 神去なあなあ日常 (徳間文庫)

by G-Tools , 2013/04/29


あの空白はどう処理したんだろう…?

「舟を編む」が映画になって、思ったこと。

新しい国語辞書を作る編集者たちの物語、「舟を編む」。
舟とは言葉の大海を渡る辞書の比喩。

舞台は大手総合出版社玄武書房。
大きく前編と後編に分かれていて、前編ではうだつのあがらない営業、馬締光也(まじめみつや)が退職寸前の辞書編集者荒木に後継者として見出され、新しい辞書「大渡海」の編集に情熱を注ぐようになる。
その中では香具矢(かぐや)とのロマンスもある。
ぎこちないマジメと絶世の美女だけど、意外とあっさり成就する、平凡な恋。

映画のCMでは恋愛映画みたいだったけど…。

後編は、前編の最後から突然十年以上経過したところから始まる。

若者だった馬締は既に経験豊かな編集者になっており、なんとまだ「大渡海」は刊行されていない。そこに新しい若い編集者が配属されてくる。今度は、女性だ。

と、まあ、ここからの話がどうなるのかはお楽しみとして、私が考えるに、「舟を編む」はクライマックスらしいクライマックスのない小説だと言える。仕事にせよ、恋愛にせよ、展開そのものは常に平凡で、リアルだ。
唯一のドラマチックな要素といえば、これだけではないだろうか。
前編と、後編の間になんの断りもなく経過している大量の時間。空白。

映画では、どのようにこのおびただしい時間を表現したのだろう、もしかして、前編と後編は統合されて風変わりで不器用な若手編集者と美しい板前志望の女性とのラブロマンスとして編み直されているのだろうか。
気になる。

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舟を編む
三浦 しをん
光文社 2011-09-17
評価

海賊とよばれた男 上 まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫) 海賊とよばれた男 下 風が強く吹いている (新潮文庫) 神去なあなあ日常 (徳間文庫)

by G-Tools , 2013/04/29



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