びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

2007年01月

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『冷血』の話が、唐突に出た。
世田谷である一家が皆殺しにされたとき、状況が似ているとちょっと話題になったことはあったけれど、それ以来である。
「読んだことはあるけど、どうして?」
話を聞いてみると、カポーティの生涯を題材にした映画が最近出たらしい。
「一人の作家が筆を折る、っていうのはどういうことなのかな、と思って。絶筆のきっかけになった作品だっていうから」(※厳密にはカポーティは『冷血』以降も著作がある。)
ときいて、うっかり言いそうになったのだ。
「ああ、それはね・・・」と。
まるで一人の作家の運命を、隣で見てきたかのように。
そしてあわてて続きを言うのをやめた。
「そう、じゃあ、読んだら感想を聞かせて。『冷血』はとても良いノンフィクションだわ」と。

それからその話が彼との間に出ないのだが、読まなかったのか、それともつまらなかったのか。そのことは、きいていない。
しかしそろそろ、私もここで続きを言ってしまって良いと思うのだ。
あのとき言わなかった話を。

『冷血』は非情な殺人事件を5年の歳月を費やし丁寧に取材した、ノンフィクションの名作である。結論を予め出さない、事実に誠実な取材姿勢には感服する。
しかし、『冷血』が作者カポーティを打ちのめしたとするのであれば、まず『冷血』以外の作品を知らなければならないだろう。
たとえば、そう、短編集『夜の樹』を。
好きな作品で言えば『遠い声 遠い部屋』も、『クリスマスの思い出』もあげられるし、一番有名なのはオードリー・ヘップバーン主演で映画になった『ティファニーで朝食を』だろう。
けれどふと彼が「カポーティー」「冷血」「筆を折る」といったとき、浮かんだのは、『夜の樹』に収録された、『夢を売る女』だった。
そう、その中の一節だ、

「あらゆるものごとのなかでいちばん悲しいことは、個人のことなどおかまいなしに世界が動いていることだ。もし誰かが恋人と別れたら、世界は彼のために動くのをやめるべきだ。もし誰かがこの世から消えたら、やはり世界は動くのをやめるべきだ。しかし実際には、決してそんなことは起こらない。多くの人間が朝起きる本当の理由はそこにあった。つまり、ひとは重大な意味があるからそうするのではなく、意味がないからそうするのだ。」

『夜の樹』はすばらしい短編集だ。完璧なストーリーテリングで幻想的な少女に孤独な日常を蝕まれていく中年女性を描いた『ミリアム』、絵に取りつかれた『無頭の鷹』、無垢な『感謝祭のお客』。どれも何度も読むに足る完成度の高い作品である。
しかし、それらはガラスのようにもろい。
『冷血』の世界で肉体はその壊れやすさだけで暴力であり、人々の幻想や感性を冒涜する。
そこではいちばん悲しいことは、悲しいことが起こった翌日に時がとまらないこと、などとというレースの縁飾りのついた少女趣味な感傷などではない。


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