びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

2009年03月

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オススメ度:☆☆☆☆☆
夢十夜 他二篇 (岩波文庫)
夢十夜 他二篇 (岩波文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
starsここはケチらず!
starsまさに夢の世界
stars夢十夜
stars理性的な夢
stars夢か幻か・・夢十夜

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冒頭:

こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますという。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭の柔らかな瓜実顔をその中に横たえている。真白な頬の底に暖かい血の色が程よくさして、唇の色は無論赤い。到底死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然いった。


収録作品:
 夢十夜
 文鳥
 永日小品

あらすじ・概要:
漱石の短編集。

感想:
真夜中に、ひとり、声に出して、読んでみる。

棒読みでなく、言葉の粒立ちと物語の起伏に声を乗せリズムをつけ、感情を込めて、読む。

ここは畳み掛けるように、ここはふわりと明るく、ここはガラリと調子を変えて、・・・。

するとますます、この短く綴られた幻想の奥ゆきが深まっていく。

夏目漱石、という人が、繰り返せばくりかえすほどに、現れては消え、あらわれてはきえ、その姿を追い求めながら眺める情景に、いつしか時が忘れ去られている。

そしてやがて同じ真夜中に立ち返り月日を取り戻したときには、心が妙におだやかにおちついて、何も言うことがない、と、満ち足りている。


今夜読んだのは、第二夜
悟りを開かんと寺に詰めている武士が、悟れぬことを和尚に嘲弄されて思い詰める短く濃い、時。
隣の時計が鳴るまでに、悟れば和尚の首を撥ね、悟れねば自害する。
悟りとは程遠い、短刀の迫力。
チーン、と時計が鳴ったあと、そのあとはっ?
と身を乗り出すと同時に、暗転。

第一夜の百年の恋の美しさや、第七夜のどこに向かうとも知れぬ船と転落、第十夜のおそろしくものんきな、女にさらわれて七日六晩立ち向かってくる豚の鼻をステッキで撫で崖から突き落とし続けた庄太郎、・・・不可思議、不可欠、不可侵。

名文による謎に満ち詩情に溢れる夏目漱石の短編の数々は、長編とは異質の世界を宿している。
夢十夜を始めとし、文鳥、永日小品に収められている数々の短編は、朗読で味わうことを強くお勧めする。
これらを真に味わうためには目と脳だけではだめである。
腹の底から喉、舌、そして人と人とを抱いている空間を震わせ、耳の鼓膜を撫でてはじめて醍醐味というものだ。
それに、本当に優れた文章を味わいつくすことは、文才を高めるのに何より役立つ。

自らはもちろん、家族、友人に朗読してもらうこともお勧めしたい。朗読のためにふさがれていた口から、読みおわった途端にに自然と口をついて感想が飛び出てくる。

楽しいひと時だ。


DATA:
10進分類:913.6
内容分類:純文学
メインテーマ:不明

著者名:夏目漱石
著者出身国:日本
時代背景:明治

漢字の難しさ ☆☆★
表現の難しさ ☆☆★
文体の読みにくさ ☆☆★
テーマの重さ ☆★★
テーマの難解さ ☆☆★
テーマの普遍性 ☆☆☆
所要時間:(15分刻み)
2時間(夢十夜のみの場合、45分)
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