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私の奴隷になりなさい(サタミシュウ/角川文庫)

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オススメ度:☆☆★★★
オススメ対象:お好みで

私の奴隷になりなさい (角川文庫 さ 47-1)
私の奴隷になりなさい (角川文庫 さ 47-1)サタミ シュウ

角川書店 2007-12
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おすすめ平均 star
starSM青春小説
starただのアダルト小説には無いしっかりとしたテーマがある。
star教育テレビの理科の実験番組みたい

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サタミシュウは匿名の作家。重松清だという説があるが、不明。
『私の奴隷になりなさい』は『スモールワールド』の改題。

主人公の男「僕」は会社の美人OL「香奈」に魅かれる。女性に人気があることには自身のあった「僕」だが、香奈の気のなさに翻弄され虜になり、ついに彼女の秘密を知ることになる。香奈は夫の単身赴任中に別の男「ご主人様」に調教されているM女だった。

とても良く書けていると思う。
特に香奈の秘密を知ることになるビデオテープのエピソードが良い。
香奈は亭主の留守の家に「僕」を招き、セックス(彼らの場合、情事や性交渉、関係を持つ、寝る、などという言葉はふさわしくない)の後、単身赴任の夫を尋ねていくからと「僕」をマンションに放置していく。香奈に夢中の「僕」は家に帰らずそのまま待つことにする。そして、ビデオテープの存在に思い至るのだ。
香奈はセックスのたびにビデオカメラを持参し、「僕」にハメ撮りするよう命じていた。フレームの中で、彼女は普段からは考えられないような破廉恥な言葉や行為を見せる。どうしてビデオなんか撮るのか、と「僕」が訊くと、「オナニーするのよ」と香奈は答える。
しかし、夫に見つからないように隠されていたビデオテープの本数は、彼らがした回数よりも多かった。
「僕」は(古今東西のセオリーどおり)このテープを全て再生してしまう。そしてそれらのテープは、彼女と「ご主人様」との関係を暴露するのだ。

SMは伝承として描かれていて、香奈が「ご主人様」との関係から卒業すると、今度は香奈が「僕」のご主人様となり、また「僕」が卒業すると、、と続いていく。
(信憑性のある統計というわけではなく単に伝聞だが、SMショップではM女からスタートして見込みのある者が女王様になるそうだ。女王様の割合は1割程度。しかもフルタイムの真の女王様はその半分だというから、女王様は難しいようだ。瞬時に即興で物語を創作し演じる必要があるし、勘が良くて教養も必要といったところか。)

物語の構成はしっかりしているのだが。
しかし、今これ書かれる意味って、あるのか?
全ての作品に意味が必要だとは思っていないけれど、こんなタブーも何もない時代に今更新しくもないんだし、結局セックスって、昔から皆がやってることでしかないわけで、それだけをひたすら読まされても何の感慨もないんだけど。セックスは読むよりやったほうがいい。つまり、そのへんの素人のほうが、パンツをはいてペンを持った作家先生よりも手錬なわけであるから、無意味に描くとほんと物笑いの種だよ。エロ本は陳腐でも繰り返しでも常に新しく需要あるけど、エロ本にしては気取ってるんだし。大体匿名って、気取りすぎじゃない?

サタミシュウの『私の奴隷になりなさい』はよくできているけれど、「与えられた課題をクリアしました」という匂いが鼻につく。そうなると構成の良さも興ざめだし、だいたい「ご主人様」が語りすぎるのも、その内容も平凡だ。
特にダメなのが回想から入っていること。既に幸せな家庭を持っていて子供もいる主人公二人が街中で偶然すれ違い、そこから過去のSMの記憶が甦るのだけれども、幸せな家庭が前提ならすれ違うだけでなく再び何らかのつながりができてドラマがあるほうがいいし、過去のことだけにするなら回想でなくリアルタイムに描いたほうがいい。危うさが足りない。

ポーリーヌ・レアージュの『O嬢の物語』が50年以上前の小説だとすると、これが匿名で書かれる意味って、全くない。
『O嬢の物語』はいまだにパワーがある。言葉の選び方、ともすれば持ってまわってしまう表現の中でできるだけ赤裸々でいようとした爪あとは作中に刻まれ、時代が過ぎて当時縛り付けていたタブーが死に同じ単語が並べられた本が大量に出回っても、それらとは一線を画している。

太古の昔からやりまくってたことを2000年近くかけて秘め事に仕立て上げて、それを何十年かで一気にまた崩壊させた今となっては、いまさら衝撃的でもないし。編集者だって数ページに一回「勃起」そして「射精」って書いてある本がミリオンセラーになってガバガバ儲かって角川書店社屋に垂れ幕がさがるなんて思ってもいないだろうしね。
作家だったら一回はこうの書いてみたいよね?という願望と「いいんじゃないそういう売り方の本も、いいじゃん、やってみろよ」的な編集の結果なのかしら。

『O嬢の物語』のレビューを読む

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関連タグ : サタミシュウ, SM,

コメント
この記事へのコメント
読まさせていただきました。
応援ポチッ!!!
2008/09/27(土) 22:01 | URL | サトシ #-[ 編集]
ありがとうございます。がんばります。
2008/10/02(木) 00:27 | URL | あにょ #-[ 編集]
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今回はサタミシュウ『私の奴隷になりなさい』です。 サタミシュウは、2005年4月に『スモールワールド(後に『スモールワールド』に改題)』を発表。現在、『私の奴隷になりなさい』、『おまえ次第』、『ご主人様と呼ばせてください』の三作を発表している。本名では、
2009/01/05(月) | 初心者のための読書ガイド

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