びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

キッドナップ・ツアー(角田光代/新潮文庫)

ここでは、「キッドナップ・ツアー(角田光代/新潮文庫)」 に関する記事を紹介しています。

オススメ度:☆☆☆★★

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)
キッドナップ・ツアー (新潮文庫)角田 光代

新潮社 2003-06
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おすすめ平均 star
starテーマはインパクトあり。
starストーリー性にかける誘拐もどき親子
starほのぼのしてるだけではない何かが心にしずかに染み渡る

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子供の頃、両親は仲が悪かった。
考えてみると私の下に弟もできたし、だらだら二十年ほど結婚生活を続けたのだから、そんなに仲が悪かったわけではなかったのかもしれない。
でも、私はずっと、「うちのお父さんとお母さんは仲が悪い、いつ離婚するかわからない」と思い続けてきたし、なごやかで楽しい記憶というのはほとんどない。ない、というのは不正確で、あるはずだという気がするしそっちのほうが多かった気がするのだが、あまりに毎日毎日「またけんかが始まるんじゃないか」「またお母さんが私を置いて出て行くんじゃないか」と心配して過ごしていたので、心が休まる時がなかった。
彼らの喧嘩の思い出は今でもずらっと言えるけど、象徴的なのは夫婦喧嘩のあおりでコーラスの発表会に出られなかったときのこと。私は児童合唱団に入っていたのだけれど、その発表会そっちのけで夫婦喧嘩してたってこと。そして仲直りしたあと、「お父さんとお母さんが仲直りしたほうが、発表会に出られるよりよかったでしょ」と母に言われた。が、私は、発表会に出たかったなあと思っていた。口には出さなかったけれど。
両親と子供はそういうところでずれてしまうものなんじゃないかと思う。親がエキサイトしすぎてると、こどもの冷静な望みはまったく見えなくなってしまうようだ。
ああ、今ちょっと思い出しただけでも、本当に大人になるってのびのびわくわくするなあと思う。

角田光代の『キッドナップ・ツアー』は、小学校5年生の女の子ハルが夏休みにキッドナップ(誘拐)される話だ。犯人はお父さん。
どうやらハルの両親は最近別居しているようだ。
お父さんの誘拐の目的はお母さんとある取引をすること。
ハルとお父さんは宿を転々としながら海水浴や肝試しではしゃぎ、夏の思い出をつくる。
ハルがお父さんに振り回されていらいらする気持ち、よくわかる。
結局、両親は別れたのかな。はっきりそうとは書いていないけれど、お父さんはハルといっしょには家に帰らない。
でもだったら、ハルを家に帰す前にお父さんが言った「お母さんと取引する必要がなくなった」っていうのは、どういう意味だったんだろう。なんとなく、親権を争ってるのかと思っていたけれど。なぞである。
それとは別に、なんだか肝心のことが書いていないような気がした。
ハルがお父さんとずっと一緒にいたい、と思う瞬間がドラマチックに描かれていないことで消化不良なのだ。
ハルの一人称で描かれているからには両親の事情が解らないままなのは納得がいくけれど、「帰りたい」から「ずっと旅をしていたい」という気持ちの変化はもっと見たかった。



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