びぶりおふぃりあ  ブックレビューとオススメの海外ドラマ・映画のあらすじと感想。顔面血管腫(赤アザ)カバーメイク体験談

吾輩は猫である(夏目漱石)

ここでは、「吾輩は猫である(夏目漱石)」 に関する記事を紹介しています。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手

オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:35歳以降
吾輩は猫である (岩波文庫)
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
stars舞台を現代社会に移し替えて想像しながら読んでみたい
stars考えさせられます・・・
stars昔から大好き。
stars名無しのままで・・・
stars面白すぎる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


冒頭:

吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というのは時々我々を捕えて煮て食うという話である。しかしその当時は何という考もなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げられた時何だかフワフワした感じがあったばかりである。掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのがいわゆる人間というものの見始であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。


あらすじ:
冒頭があまりにも有名で、独り歩きしている感があるが、実は筋らしい筋はない。

夏目漱石自身がモデルの苦沙弥先生のプライベートを飼猫である吾輩が観察・考察し、猫の視点から人間のおかしさを発見する。

現代の日本にも通じる日本へ・近代への批判と共に、漱石の交友関係、家庭環境の明るい側面がユーモラスに語られている。

『吾輩は猫である』の主な出来事
・苦沙弥先生の交遊録
・苦沙弥先生のご家庭
・苦沙弥先生泥棒に入られる
・寒月君の恋愛
・苦沙弥先生 VS 俗物実業家
・苦沙弥先生近所の中学生にまで嫌がらせを受ける
・吾輩人間を観察す

感想:
『吾輩は猫である』を書いた時漱石38歳。
年が近くなってみて、やっと読めるようになった。

漱石の小説の中でも他の作品は比較的若年で読みやすいと思うが、『吾輩は猫である』は筋書きがない分随想の要素が濃く、処女作ということもあって容赦なく知識を詰め込んであり、猫が見た人間たちという愛嬌のある設定にもかかわらず若者にはちょっと読みにくいものとなっている。

改めて読んでみると、漱石の教養の深さに改めて感心すると共に、こんな馬鹿をやっていたのか、とおかしい。
落語が好きで小さんをよく聴きに行っていたという漱石。座談の才があったというが、なるほどだから偏屈なのに人が集まってくるのだろう。
とくにおかしいのは迷亭と寒月が遊びに来た折に「不思議な体験談」を三人が張り合って披露するくだりと、猫のネズミ退治と風呂屋をのぞくところ、そして細君とのやりとりだ。
今回特に細君とのやりとりについて書きたい。

あるとき苦沙弥先生細君の頭に日が当たって光るのを見て脳天に禿があるのに気付き、嫁に来る前から禿ているならだまされたと思って細君を問い詰める。髷(まげ)を結うので隠れるからか細君は別段気にもしておらず最初は相手にしないが、苦沙弥先生はしつこく食い下がる。

「脳天が――ことに若い女の脳天がそんなに禿げちゃ見苦しい。不具だ」
「不具なら、なぜ御貰いになったのです。御自分が好きで貰っておいて不具だなんて……」
「知らなかったからさ。全く今日まで知らなかったんだ。そんなに威張るなら、なぜ嫁に来る時頭を見せなかったんだ」
「馬鹿な事を! どこの国に頭の試験をして及第したら嫁にくるなんて、ものが在るもんですか」



この後、細君の背が低いことに話が移って不穏になる。
これが後を引くのである。
泥棒が入り、身の回りのものと到来物の山芋を盗まれてしまった苦沙弥先生、被害届を出すため盗まれた山芋の値段を細君に聞くが、細君はそんなことは知らんと言う。じゃ、十二円五十銭にしておけ、と記そうとすると多すぎると細君に止められる。中学(今の高校)の月謝が二円だというのだから十二円五十銭は今の十二万五千円くらいにはなるのかもしれない。法外である。

「知らんけれども十二円五十銭は法外だとは何だ。まるで論理に合わん。それだから貴様はオタンチン・パレオロガスだと云うんだ」
「何ですって」
「オタンチン・パレオロガスだよ」
「何ですそのオタンチン・パレオロガスって云うのは」
「何でもいい。それからあとは――俺の着物は一向出て来んじゃないか」
「あとは何でも宜うござんす。オタンチン・パレオロガスの意味を聞かして頂戴」
「意味も何にもあるもんか」
「教えて下すってもいいじゃありませんか、あなたはよっぽど私を馬鹿にしていらっしゃるのね。きっと人が英語を知らないと思って悪口をおっしゃったんだよ」
「愚な事を言わんで、早くあとを云うが好い。早く告訴をせんと品物が返らんぞ」
「どうせ今から告訴をしたって間に合いやしません。それよりか、オタンチン・パレオロガスを教えて頂戴」
「うるさい女だな、意味も何にも無いと云うに」
「そんなら、品物の方もあとはありません」
「頑愚だな。それでは勝手にするがいい。俺はもう盗難告訴を書いてやらんから」
「私も品数を教えて上げません。告訴はあなたが御自分でなさるんですから、私は書いていただかないでも困りません」



オタンチン・パレオロガスというのはおたんちん(おたんこなす)をローマ皇帝コンスタンチン・パレオロガスにひっかけているのだが、細君には通じない。口をついて出ただけの下らない駄洒落だから苦沙弥先生は答えたくないのだが細君はそんなことは知らない。
この後弟子の多々良三平がやってきて、苦沙弥先生のいないところで細君と話をする。多々良君にも最近できた禿があるのでまた禿の話がぶり返す。

「禿はみんなバクテリヤですばい」
「わたしのはバクテリヤじゃありません」
「そりゃ奥さん意地張りたい」
「何でもバクテリヤじゃありません。しかし英語で禿の事を何とか云うでしょう」
「禿はボールドとか云います」
「いいえ、それじゃないの、もっと長い名があるでしょう」
「先生に聞いたら、すぐわかりましょう」
「先生はどうしても教えて下さらないから、あなたに聞くんです」
「私はボールドより知りませんが。長かって、どげんですか」
「オタンチン・パレオロガスと云うんです。オタンチンと云うのが禿と云う字で、パレオロガスが頭なんでしょう」



まあ可愛いこと。夫婦仲の良いこと。
後の作品を見ると漱石と妻鏡子は理解しあえず互いに苦しめあったように書かれているが、猫の視点から見れば睦まじい夫婦である。
鏡子は漱石の後の作品と引き比べて『吾輩は猫である』をどう考えていたのだろうか。
私なら少し、心慰められる気がするけれど。

データ:
10進分類:913.6
内容分類:名作
メインテーマ:社会風刺
サブテーマ:交友
サブテーマ:家庭

時代背景:明治時代

漢字の難しさ ☆☆☆
表現の難しさ ☆☆☆
文体の読みにくさ ☆☆★
テーマの重さ ☆☆★
テーマの難解さ ☆☆★
所要時間:12時間

吾輩は猫である (岩波文庫)
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目 漱石

おすすめ平均
stars舞台を現代社会に移し替えて想像しながら読んでみたい
stars考えさせられます・・・
stars昔から大好き。
stars名無しのままで・・・
stars面白すぎる

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


☆ブログランキングに参加しています。クリックお願いします☆

ブログランキング

関連記事

web拍手

関連タグ : 夏目漱石, 社会風刺, ,

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://nennenene.blog17.fc2.com/tb.php/137-fb02b146
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。