最近やっと、文学作品とビジネス書、実用書を同じ☆基準で考えちゃだめだなと気付きました。(遅 (2009.10.18)
オススメポイント:軽やかな抽象。
オススメ対象:脳をくすぐられたいアナタ・脳がくすぐったいアナタ
| ボッコちゃん (新潮文庫) | |
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冒頭:
そのロボットは、うまくできていた。女のロボットだった。人工的なものだから、いくらでも美人につくれた。あらゆる美人の要素をとり入れたので、完全な美人ができあがった。もっとも、少しつんとしていた。だが、つんとしていることは、美人の条件なのだった。
(ボッコちゃん)
収録作品:
ボッコちゃん
おーい でてこーい
殺し屋ですのよ
生活維持省
マネー・エイジ
ある研究
なぞめいた女
最後の地球人
他
(全収録作品は、末尾、もしくは「続きを読む」から参照)
あらすじ:
星新一が自ら選んだショート・ショートの自選集。
感想:
間瀬元朗の「イキガミ」という漫画が星新一の「生活維持省」の盗作ではないか、という話題が割と最近にあった。星新一のお嬢さんと小学館とのやりとりが星新一のサイトで見ることができ(漫画「イキガミ」について)、一時的に「生活維持省」がWeb上で公開されている(生活維持省(2008/12/18迄))。泥仕合にはならず、星マリナさんというお嬢さんも上品だし、小学館も誠意は見せていて、小学館もまさか「星新一」の名前に喧嘩を売るつもりはないのだろうと愉快に思った。
「イキガミ」を読んだことがなく概略しか知らないので星新一のショート・ショートの一読者としてだけの意見を言うと、これは面白い話題ではあるが、著作権どうこうではないのではないか、と思うのである。
「イキガミ」の作者が直接もしくは間接に、意識的にせよ無意識的にせよ影響を受けた漫画を書いたとしても、そもそも、星新一を盗作することって可能なのか?無理だろう、という意味である。
民話を下敷きに話を書いて盗作と言えるか?聖書を元に映画を作って盗作と言わえれるか?シェイクスピアを種本に劇を書いて盗作と言えるか?
念のため断っておくが、『著作権者がいるかいないか』という問題ではない。
『ボッコちゃん』は表題作を含め『生活維持省』を始めとした珠玉のショート・ショート集である。
削ぎ落とされ研ぎ澄まされた平明な文章は会話はもとより文字のひらがな、カタカナ、漢字といった表記までにも注意深くこだわりがあり、またその卓越した設定とストーリーはSFという形を借りながら社会風刺・社会批判という枠を超え、人間の常識・思考の限界を逸脱し、読む者をしばし自由にする。
何度でも読むことができ、何度でも楽しむことができる。非の打ち所がない。
星新一のショート・ショートを設定とした小説を書きなさい、といわれれば、おそらく小学生でも何かしらのものを書く人はいるだろう。
しかし、真似してみろ、と言われても、これは名だたる作家でもなかなかできない。
30年以上経っているのに、いわゆる「ショート・ショート」が魅力を持ちながら星新一の代名詞のままで後続がないのは、そのゆえんである。
あの感覚。あっと言わされたあとに来る翼を得たような自在感。同じ題材を描いた作品は山ほどあってどれも暗く鬱々としているのに、星新一は一瞬だけ、死の恐怖から我々を解放してくれる。そこに近代以降苦悩ばかりを与える存在として描かれてきた知性の救いがある。大げさを言うな、というのであれば、ユーモアの一言である。
星新一の世界は完璧で独特で真似ようがなく、似て非なる別人の作を既に読んでいるから『生活維持省』が面白くなくなるということは有り得ず、そのために星新一の本が売れなくなる、文学的な価値が下がる、ということも絶対にない。
著作権、というのはもっと難しいことなのかもしれないが、であれば少々くだらないのではないだろうか。
小学館の編集者たるものが主張の通り『ボッコちゃん』を読んでいないとしたら、そのことの方が深刻な問題だろう。
DATA:
10進分類:913.6
内容分類:SF
内容分類:ショート・ショート
メインテーマ:常識からの逸脱
著者名:星新一
著者出身国:日本
時代背景:不明
漢字の難しさ ☆★★
表現の難しさ ☆★★
文体の読みにくさ ★★★
テーマの重さ ☆☆★
テーマの難解さ ☆★★
テーマの普遍性 ☆☆☆
所要時間:1時間半
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