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1Q84 (村上春樹)

ここでは、「1Q84 (村上春樹)」 に関する記事を紹介しています。

オススメ度:☆☆???
オススメ(?)ポイント:「万延元年のフットボール」になれるほどおぞましき呪力はない。

1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)
1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)村上 春樹

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あらすじ・感想:


前衛的、に対義語があるとしたら後衛的、というのだろうか。もちろんそんな言葉を聞いたこともないし、広辞苑にも乗っていない。ソフィスティケーテッド、洗練、の対義語はプリミティブ?素朴?だとしたら、プリミティブ→ソフィスティケーテッドは可逆なのだろうか。「よりいっそうプリミティブになった」というのは、明らかにおかしい。
一言で言うのをあきらめた。


もちろん出だしは悪くない。”運転手”(羊をめぐる冒険)、そして都会の動脈、首都高から異世界への出入り口(ハードボイルドワンダーランドの地下鉄)は何度でも繰り返してほしいおなじみのモチーフだ。読み始めてから工事中の大橋近辺を通りかかると246に重なる首都高に非常階段を探してしまう。(1Q84では三軒茶屋方面にあるとされている)


200ページ目くらい読み進んで気が散り、
「ちょっと耳掃除しようかな…」と思った。

ねじまき鳥以降の村上春樹より村上春樹っぽい何かがある気がするんだけど、それが何なのかわからないし、ねじまき鳥以降の村上春樹の中でもとりわけ村上春樹っぽくない何かがある気がするけど、何なのかわからない。でも、そのどちらかの何かのせいで、私はこの本「1Q84」を読みながら気が散っている。
それ以降もたびたび飛ばし読みをする箇所が現れる。
どうやら村上春樹は「ソフィスティケーテッド」を捨て、力強さを求めてわざとこう書いているのだ、とbook2で気付く。

会話に頼りすぎた展開のアンチドラマ(ドストエフスキーがびっくりだ)、それをかならずおさらいする青豆と天呉の心理描写のくどさ、この繰り返し、しつこい念押し。
十八番だった小物づかいを排除したことによるモチーフの貧弱さ、平凡な会話と中途半端な登場人物たちの性格。「台詞を現実の世界に近づけることがリアリティを生むわけではない」という演劇史が明治時代に出した結論を再確認。
成功しているとは言いがたいが、今後成功しないとも限らない、思い切った作風の変更だ。斬新でないところがリスクを取ってる。

(とにかくまず耳掻きや毛抜きの余地なきびしっと集中した時間の一塊を売ってくれ、次回は。)

村上春樹の小説に”社会””世界観””歴史”という要素が取り込まれたのは「羊をめぐる冒険」が初めてだと思う。それまでは、彼の小説には小説そのものしかなかったし、割とそれはそれで、面白かったと思う。(一般的に”アンチ小説”と評価されていることに対抗しているわけではなく、どちらかというと”アンチテーマ”であって小説ではあるかな…という個人的な見解である)私はなんども「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」を読み返しているし、それらが私の目に特に問題提起としては映らなくても、一向に価値の減耗を感じなかった。
「羊をめぐる冒険」に、”悪”…人を支配し操って善なるものとのハザマに狂気に堕としながら傀儡として利用する、超常的な”悪”の存在をきわめて不器用に取り込んでから、彼はその接点で俗世間とリンクし、一度はピークを迎えたものの(「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の技巧と素材の妙の完璧さと「ノルウェイの森」の濃厚さが収めた世俗的成功と)、以降は弱体化してほかの活動にいそしんでいる、というように見えていた。「海辺のカフカ」はそれまでの作品のモザイクに過ぎないし(この本から読めばおもしろいのかもしれないが)、その他の作品については確かに翻訳活動のほうがずっと有意義と思わざるを得ないできばえであった。

しかし、1Q84は「村上春樹いまだ生身にて」と声高に主張している。生身。期待に応えたり裏切ったりする、生身。

というわけで、繰り返し読むに足る作品ではないのは確実だが、今のところこの作品を歓迎している。

この作品「1Q84」はハッピーエンドになるべき小説だ。悲しみや欠落をそのままに昇華するには小説そのものの美しさや洗練、いわば芸術性がないし、大江健三郎「万延元年のフットボール」になれるほどの総毛立つおぞましき呪力もない。(誰もサルダヒコのように死んでない。村上春樹は人間の尊厳を犯さない)
しかし村上春樹が新しくなったのは確実なことだ。その新しさが現代文学史の中で比較的古い外見をしていたとしても、そのために村上春樹が”かなり”チャーミングでなくなってしまったとしても、少なくとも彼は生まれ変わり損ねてはいない。無菌室や保育器がなくても十分育つ五体満足に新しくなっている。その子が人に好かれるか大物になるか長生きするか…
…赤子の将来は誰にもわからない。

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ネタバレあり:

book3(3巻)がいつ出るのか注目。
同時に書きあがっていてほしい。(ねじまき鳥の二の舞はねえ…)
どのような演出で登場させてくるのかが文芸出版には最近無かったミモノ。
羊たちの冒険・ハードボイルドワンダーランド・ノルウェイの森でピークを迎え、ねじまき鳥クロニクルを記念碑としたいわば旬とはいえない作家が発売同時に60万部売れるとか、演出なしにはりえると思うほど、みんなうぶじゃないだろ。
60万部売れたのも、book3(3巻)を同時に出さなかったのも。
ほら、そう考えると「イスラエルでの演説が話題になったのもプロモーション?」って疑念だって、あながちね?
プロモーションなんて村上春樹らしくないけど、1Q84のメインストーリーである「空気さなぎ」は演出された作品だから、それがリアルな世界でも繰り返されているのだとすれば、しゃれっ気がある。

book2(2巻)の幕切れがどのようにbook3(3巻)に繋がっていくのか予想するのも面白い。もちろん青豆の方がね。
私の予想。あそこで組織に捕らえられ山梨の施設に連れ去られる。わかりやすく。

評価は完結まで読まないとできないけれど、
1.とりあえず3ヶ月以内にbook3が出てハッピーエンドだったら勢いで☆4つ(実質は3.5)くらいになるかなと想像している。
2.ハッピーエンドじゃなかったら☆3つか、・・・ひどければ2つかな。
3.ねじまき鳥よろしく「まだ書き上げてない」状態で、責任感だけで書いたな、、と思わせる内容だったらちょっと…。
4.book3が出なかったら…

※わりとどうでもいいことかもしれないが、村上春樹のセックスが不妊なのは常のことなので理由が体にあってもなくてもいまさら興味わかないけど、ドウタ」が実体でないがゆえに生理がないという説明はあったけれど、「マザ」であるふかえりが不妊なのは筋道立ってない気がするが、後で得心行くのだろうか。
池田信夫ブログの書評も面白かった。池田信夫氏が時々小説や音楽を評するのが意外と好きだ。経済の話よりも。
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きのう読み終えました。 村上春樹の著作は「羊をめぐる冒険」、「海辺のカフカ 」、「スプートニクの恋人」の3冊しか読んだことがないので...
2009/06/05(金) | EEL BLOGSTYLE
1Q84 BOOK 1村上春樹新潮社 刊発売日 2009-05-29タイトル「1Q84」の種明かし 2009-06-19「1Q84」の種明かしをやってみました。よかったら見に来て下さい。http://nakatasan.jugem.jp/?eid=743#commentsリズム 2009-06-19BOOK1の冒頭付近
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