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「罪と罰」(ドストエフスキー/新潮文庫)

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オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメ対象:誰にでも自信をもってオススメ☆☆☆☆☆
オススメポイント:ロシア最大・不世出の天才。トルストイのように説教をしない。多くの作家の憧れの人。高いエンタメ性と文学性。

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「罪と罰」この小説のテーマは題名通り。
深遠なテーマだ。でも深遠なテーマなんてすなわちありふれたテーマだ。誰の発明でもない。羅列する気にもならない。小学生だって語れる。
ドストエフスキーの天才はけれどなんといってもその「あまりに人間が描かれている」ことにあるだろう。
殺人を犯したラスコーリニコフが物語の中盤、最愛の母と自慢の妹を目の前にして悟る場面。「またしても彼は恐ろしいほどはっきりとさとったのだ、いま彼がおそろしい嘘を言ったことを、そしてもういまとなってはゆっくり話をする機会などは永久に来ないばかりか、もうこれ以上どんなことも、誰ともぜったいに語り合うことができないということを」という箇所を読んだとき、私はランチを食べに入ったレストランのテーブルで思わず小さく声をあげ、文庫本を強く握った。
「人を殺してはかわいそう」「神はすべて見ている」「捕まって死刑になっちゃうよ」「誰も知らなくても良心がとがめて苦しむ」・・・
人間の真実は犬だって知ってるそんなルールにあるのではなく、まして実際の犯罪者が何を感じ何を考えるかにあるわけでもない。それはどんなに立派でも、またどんなにショッキングでも、所詮は表面的なことだ。
ダケド、イッタイ、ナゼ?
罪を犯したがゆえにもう二度と誰ともこのやわらかさを分かち合えないこと。
ナゼコノコトガコンナニモ確実ニ私ノ胸ヲ衝クノ?
ラスコーリニコフに対しても殺人の動機についても私は同情も共感も一切ない。彼はおおよそ読者に愛情を抱かせるタイプの人物ではない。単なる傲慢で怠惰な青二才。(「この人物を読者にこう思わせてやろう」という意図が全く匂わないのもドストエフスキーの才能のひとつだ。)
にもかかわらずラスコーリニコフの、その焼かれるような孤独。それは、背もたれに寄りかかり食後のコーヒーを待ちながらページをめくる私に見事な一撃を喰らわす。
なぜならそれは、「ズウット私ガ恐レテイタコト」だからだ。
つまり、真実とは、私達が心の底で、その奥深くで、ずっと恐れていることそのもの、救いも解決もなく恐れ続けていることそのものなのではないか。
そして真実は物語の枠を超え、ラスコーリニコフを超える。
私は泣いてしまう。号泣してしまうのだ。昼間のレストランで。ラスコーリニコフのためでなく、夫のために、家族のために、友のために、私のために。

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コメント
この記事へのコメント
18のときに最初にロシア文学を読んだのが
「罪と罰」でした。
「なんじゃこれは?????なんでこの結末??」
以外の感想を持てなかったけど、
あにょの書評を読んだらもういちど読みたくなったよ。
十数年の時が私に「孤独」と「孤独じゃないこと」を教えてくれた。
だから、「罪と罰」は、私の変化(あるいは変化してないこと)を気づかせてくれるかもしれないな。
2005/10/15(土) 02:10 | URL | さぶり #-[ 編集]
最終章が圧巻でした。シベリアの要塞監獄で刑に服しながらも救われない神によっても救われない。ところが突然精神の高揚感を覚えるラストシーンです。
明るいあたたかい日、歌声がきこえ、あふれるほどの陽光をあびたはてしない広野のなかに自由な遊牧民たちの人々の生活を認めるのだ。彼を見つめるソーニャの両眼もはかりしれない幸福で輝く。「ふたりとも蒼ざめていた。だがそのやつれた蒼白い顔にはもう新生活への更生、訪れようとする完全な復活に輝いていた。彼の魂は救済されなかったのだという説もあるそうだが、そんなことはない。何によって救われたのかは理屈ではわからないが、やはりハッピーエンドとうけとめるべきだよね。
2005/10/17(月) 20:23 | URL | よっちゃん #vXeIqmFk[ 編集]
ちょっと余計なことなど。。。

☆しるしは

★★★★★
★★★★☆
★★★☆☆
★★☆☆☆
★☆☆☆☆

のほうがわかりやすような気がするな。
『罪と罰』0点かと思っちゃったよ。
2005/10/17(月) 22:32 | URL | Ekaterina II #-[ 編集]
>よっちゃん
ハッピーエンドだと思います。
まだこの先に苦労はあるけれど、最終的な希望が見出された、ってことですよね。

ラスコーリニコフは信仰によっては救われなかったけれど、彼を支えているソーニャは信仰を支えにしてますよね。この場合、ラスコーリニコフは信仰によって救われたことになるのかな。

よっちゃんはどう思いますか?
2005/10/18(火) 00:05 | URL | あにょ #-[ 編集]
そこは私も迷った!
でも、黒星は負けってかんじでいやじゃない?
日常でも☆はいいことの後ろに、★は邪悪な気分のコメントに、くっつけたりなど。

不評なら変えるけど~、だめかな??
2005/10/18(火) 00:08 | URL | あにょ #-[ 編集]
そう、ソーニアの存在抜きには考えられません。ただソーニアの信仰心だけではないよう気がします。彼に見えた大草原、陽光、風、そこに生きている人たち。大自然といったいになった人間生活。これをバックにしたソーニアがいるんです。彼にしてみればそれは神なんてものじゃないもっと偉大なものに打たれたのではないでしょうか。
このブログには私のところからTBできないようです。
2005/10/18(火) 10:13 | URL | よっちゃん #vXeIqmFk[ 編集]
そうですよね。
時が満ちた、ともいえるし、生活が意味をもったのかもしれないですよね。
「それはまた別の物語」という語りで結ばれていましたが、他の著作でこのことを扱ってないのでしょうか。
ドストエフスキーがどのように書くのか興味あります。
もし知ってたら、もしくはこれから読んだら教えてください☆
2005/10/20(木) 00:13 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
ドストエフスキーの記事からトラバを頂けるとは思いませんでした。ありがとうございます。
僕も「罪と罰」はハッピーエンドだと思います。エピローグでのラスコリーにコフの目覚めがそれを確固たるものとして示唆しているように思えます。

トルストルイではなくトルストイですね。お恥ずかしい。
2005/10/22(土) 13:54 | URL | yuji #-[ 編集]
コメントありがとうございます。
罪と罰はけっこう読まれてるみたいですね。

朝日新聞の昨日の記事(be)で最近戦後まもなく出版された翻訳文学の版権が切れるため新訳ブームなんだとか出ていました。

いろんなものが出るのが楽しみです。

(ここに書くのは違うかもしれないけれど、よみにくかった白鯨がいつのまにか新訳で出てるみたいです。
読んでみようかと思います)
2005/10/24(月) 00:08 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
トラックバック、ありがとうございます。

結局、この本は理解できないまま最後まで到達してしまいました。
もう一度、読み直してみます。
それまでは、感想を述べられない状態です・・・。

読み終わったらまた来ます!
2005/10/24(月) 00:38 | URL | FURU #-[ 編集]
コメントありがとうございます。
そういうこと、私もありますよ。
しばらくたってから突然しっくりきたりすることもあったりして。
またぜひいらして足跡をのこしていってくださいね
2005/10/25(火) 02:33 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
TBありがとうございます。感想も楽しく読ませてもらいました。
自分にとって印象的な場面というものは、読み手によってやはり変わるものですね。感想を読ませてもらって、なるほどなーと思いました。自分の中の罪と罰がまたひとつ広がった感じです。
あと、私もハッピーエンドだと思います。
2005/10/25(火) 04:56 | URL | カカシ #-[ 編集]
コメントありがとうございます。
カカシさんのブログでは、ドストエフスキーと恋愛について書かれてましたね。
確かに人によって印象的な部分って違いますね。
だから他の人の感想っておもしろいと思う。
特に古典は「他の人の感想の蓄積」みたいなのがあって、また別の作家や作品にも紐付いてくるし、7回くらいは美味しい気がします!
2005/10/30(日) 00:54 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
またまたTB、ありがとうございます。

書評、真剣に読んでしまいました。
先日の「嵐が丘」へのコメントも読ませて頂きました♪

他の人の書評を読むと、同じ本をもう一度読みたくなってしまうは、私だけでしょうか…。

ドストエフスキーは押し付けがましさを感じないところが好きですね。かと言って読者を突き放していない。

それでいて、深くて沁み込みます。

それにしても昼間のレストランで、「罪と罰」…。

私は夜に部屋にこもって読みました(笑)。いつもそうですね、この本を読むときは(爆)。

2005/10/30(日) 11:16 | URL | リーヴル #-[ 編集]
リーヴルさん、コメントありがとうございました。
そうそう、書評を読んでは読み返し、引用を読んでは読み返す。そのたびに新しい面白さがあるのが名作だと思います。
昼間のレストランは不意打ちが多いですよ。。
2005/11/04(金) 00:50 | URL | あにょ #-[ 編集]
こんにちは。
普段はあんまり感情移入して読まないわたしですが、この作品は別です。はまりますね、この世界に(笑)
TBさせていただきました。
2005/11/14(月) 16:15 | URL | ひねもじら 乃太朗 #-[ 編集]
はまりますよね~。
友人に激しく勧めてみたら、しばらく塞ぎこんで読んでいました。「最後にほっとした」って言ってました☆

TBありがとうございます!!
2005/11/16(水) 02:13 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
わたしは最後の最後、わからなくなりました。
ラストの直前まではついていけていた、と自負しているのですが...

なんとなくですが、このラストは『静かなドン』のラストと似たようなことなのかな?と思っています。できればどなたか時間のある方、『静かなドン』読んでみていただけませんか?そしてなにがしかの感想を、願わくば『罪と罰』の話も絡めてお書き願えないでしょうか?

『罪と罰』は何年か後、わたしがまた少し老いぼれたらもう一度読んでみようと思います。それでもわからなければまた何年か後。わかるまで繰り返してみようと思います。
2005/11/16(水) 22:10 | URL | カーチャ #-[ 編集]
読んでみますね。
最愛のカーチャの提案であれば。よろこんで。
ところでもし、カーチャが言ってるラストがエピローグのことだとしたら、私はエピローグはあくまでもエピローグ、とも思うのです。
圧巻はラスコーリニコフが自白しはじめるところ(本編の最後)で、そこでエンディングのスタッフロールが静かに流れ始め、エピローグは小さな窓で映し出されているようなイメージでいます。
2005/11/22(火) 03:09 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
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ドストエフスキーは一八二一年、十月三十日マリンスキイ病院の傍屋で生まれた。言うまでもなくトルストルイと並び十九世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠である。主著に「罪と罰」・「カラマーゾフの兄弟」・「地下室の手記」等がある。これらの小説を通して表現したものは
2005/10/22(土) | サブカルのすすめ
なぜか急に読んでみたくなった一冊。 罪と罰〈上〉ドストエフスキー Fyodor
2005/10/24(月) | RAKUGAKI
世界的に評価の定まった作品なので、好きなポイントに絞ってコメントします。それでも長ったらしくなりそうですが(笑)。未読の方に少しでも興味を感じてもらえたら幸いです。“純文学並に人間描写にこだわった娯楽作品、というのがわたしのツボ”というフレーズをこのサイ
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