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死の家の記録(ドストエフスキー)

ここでは、「死の家の記録(ドストエフスキー)」 に関する記事を紹介しています。

オススメ度:☆☆☆☆☆
オススメポイント:インスピレーションと孤独。シベリア流刑
死の家の記録 (新潮文庫)
死の家の記録 (新潮文庫)ドストエフスキー 工藤 精一郎

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あらすじ:

シベリア流刑地。ドストエフスキーを待っていたのは民衆との真実の出会いだった。

「死の家の記録」には、ドストエフスキーが体験した1849年から1454年のシベリア流刑でのできごとが、洞察力に富んだ人間観察と深い考察で事細かに記されている。

ドストエフスキーは1849年4月、社会主義運動を行ったために仲間と共に逮捕された(ぺトラシェーフスキー事件)。
社会主義国家実現への準備として文書印刷や集会によって民衆を啓蒙しようというのがその活動の内容であった。

政府当局がこれらの人々を懲らしめるために仕組んだ罰は…、
死刑を宣告して刑場に連れ出し、銃口を向けて死の恐怖を味あわせ
そこへ皇帝の恩赦による罪一等減で本来の刑、「シベリア流刑」を告げるというものだった。
この企みによって、中の一人は発狂したという。
この体験と、この後に続くシベリアでの4年間の監獄生活、およびその生活の中で悪化したてんかんは後に生まれるドストエフスキーの名作に結実することとなる。

このような経緯もあり、当局の検閲を受けたために体裁として冒頭に【妻殺しで流刑を経験したある偏狭な男の酒気】というノンフィクションの形を取っているが、いかにも体裁で、妻殺しについて語られることは一度もなく、しめくくりも一人称のまま、ノンフィクションとして練り上げる気は全くなかったようだ。

感想:


読んで驚くのは、監獄生活が、ずいぶん自由だということだ。
殺しなどの極悪犯罪を犯した罪人の暮らしが、こんなに自由なものなのか。
単に私の意識が、刑務所での罪人の生活を「死んだも同然」とみなし無視しているのかもしれない。

囚人たちはポケットマネーで良いおかずを買うこともできるし、内職をして小遣いを稼いだり、酒の密売をしたり、女を買ったりすることもできる。
芝居を企画し稽古して舞台に載せるのも恒例行事だし、クリスマスも感謝祭も楽しみがある。
監獄というよりは、厳しい寄宿舎である。

(寄宿舎と違うのは鞭打ちがあるということと、勉強をしなくて良いというところだ。)

囚人たちを自由にしている管理のいい加減さは、不衛生や劣悪な食事などの面も見せる。
垢だらけの囚人たちが一斉に入る入浴シーンや寄生虫だらけの病院は地獄絵図。

囚人同士の共同生活で、ドストエフスキーは平民や差別されている外国人を身近に見た。
殺気立った関係とはいえ、家族同然の距離で階級の違う人々と生活を共にした。
刺激的だっただろう。
それが「死の家の記録」のレポートが濃密な理由だろう。

そして平民を間近に見て親しみ全人類に通じる普遍的な真実を見出しても、なおそこに歴然と存在するもの、それは自分たち貴族と民衆との間の、決して超えることのできない溝だった。

「でも……でも、あなた方がわたしたちのどんな仲間なんです?」と彼はけげんそうに訊ねた。


貴族とは言っても、ドストエフスキーは医者の息子で、父親の官位からぎりぎり貴族に認定されるラインだった。
レフ・トルストイが伯爵家の生まれであるのとは全く違う家柄だ。

だからこそ、その貴族と民衆との間の溝は大きなものとして感じられたのかもしれない。
社会主義運動に参加しても、囚人という同じ立場であっても、貴族の中でもほとんど平民のような立場であっても、絶対に仲間になることはできないのだという事実を。

形式として読みやすい形に整っているわけではなく、徒然の覚書を情感に従って並べたものといった体なので、わかりやすいとは言えない。

描かれている多数の人物をわかりやすく分類したり、細かな事件を時系列でとらえたりするのには向いていないが、仮にそれを試みて編集しなおした場合、新たな優れた物語が多量に生まれるだろう。

ドストエフスキーの作品の中でも非常に密度の高いバイブル、何度も読み返す価値のある本だ。

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