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愛の続き(イアン・マキューアン/新潮文庫)

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オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:情熱的な人へ
オススメポイント:自分の愛に懐疑的になるよ。。
4102157220愛の続き
イアン マキューアン Ian McEwan 小山 太一

新潮社 2005-09
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ある日気球の事故現場に立会い、偶然知り合った男に、突然こう言われる。
「あなたはぼくを愛してる。ぼくを愛してるんだ、ぼくはその愛に応えるしかない」
見も知らない男。しかも、同性だ。
そしてその日から、ストーキングが始まる。

ストーカーという言葉とともに、情熱は不当に罰せられている。かといって連座から救う騎士はまだ知られていない。
イアン・マキューアンは現代における愛の疑わしさを実に良く描いている。ストーカーの恐ろしさだけではなく、それによって脅かされる恋人との信頼関係との対比が良い。ストーカーは愛の確信に満ちているにもかかわらず閉ざされた自己の世界に生きており、恋人同士は向き合いふれあいながらもお互いの愛を信じることができない。
愛だけではない、人生の夢も、配偶者の貞操も確信できず、ストーキングされているという訴えは恋人にも警察にも信じてもらえない。しまいにはレストランに居合わせた人々の供述すら一致せず、客観性の頼りなさが露呈される。
マキューアンはひとつひとつのエピソードに惑溺しない。語りの視点が主人公の一人称からときおりストーカーの手紙や恋人の目で語られることがあるが、煩雑なダイヤル合わせをせずするりと読めるのはそのためだろう。それは冷徹というよりも、一塊のパラグラフとして、演説としてではなく、物語全体を通してひとつのことを主張しようとしているように感じられる。
つまり、人々の大半は確信することができずに苦しみ、確信できている奴は現実から目を背けた精神病だ、という現代を蝕む深刻な病だ。

貶められた情熱を犯罪や精神病の汚名から救う白馬の騎士は、勇気だけだと私は思う。
相手の逃げ道に立ちふさがらないこと。自分の退路は絶つこと。わたしたちは明日には死んでしまうかもしれないということ。

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関連タグ : マキューアン,

コメント
この記事へのコメント
TBどうもありがとうございました。
『愛の続き』は,今年読んだ本の中で最高に面白かったものの一つです。マキューアン,いいですよね。現在は,『贖罪』を読み進めているところです。

機会がありましたら,どうぞまたお立ち寄りください。
2005/11/13(日) 19:04 | URL | Jean #-[ 編集]
こんにちは。
トラックバックありがとうございました。
実は初トラックバックで、どうしたらよいのかわかりません、とにかくお礼に参りました。
びぶりおふぃりあさんの今までのレビューを、これから読ませていただきたいと思っています。
まずはご挨拶までv-87
2005/11/14(月) 17:37 | URL | donau #tUnKcmU.[ 編集]
Jeanさん
私はマキューアンは初めてだったのです。
これからアムステルダム読んでみようと思っています。贖罪、おもしろかったら報告まってます!
またきてくださいね。
わたしもうかがいます。
2005/11/16(水) 02:07 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
donauさん
こんにちは!ご丁寧にありがとうございます。
初トラックバックだったんですね。
この記事にもTBを張ってもらえれば、ここからdonauさんの記事を見に行かれるかたもいらっしゃると思いますので、ぜひ張ってみてください。
ご自分の記事のところで、TBを送信できるはずです。
またいらしてくださいね。
2005/11/16(水) 02:09 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
原作を読んでいなかったので、大変参考になりました。
映画では省略されたエピソードがたくさんありそうですね。
原作、読んでみたくなりました。
2005/11/25(金) 18:31 | URL | HIROMIC WORLD #-[ 編集]
HIROMIC WORLDさん

コメントありがとうございます。
私は映画の方をしらないので、逆に参考になりました。
職業とかも、美術系の仕事に変わってるんですよね?
原作ではクラリッサの職業はキーツの研究者で、そこがまたすてきなんですよ。
映画制作にはマキューアンも加わっているそうなので、映像にするにあたって割り切って、表現の形態にあった職業にしたんでしょうね。
なんか、そういうこだわりのなさが、マキューアンのよさのように思います。
2005/11/29(火) 01:10 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
トラックバックありがとうございました。
イアン・マキューアンの作品は気になっていたんですが、まだ読んでいませんでした。
すぐに原作を読んでしまうと、映画と比べ過ぎてしまって良くないかと思うので、もう少し時間をおいてから読みたいと思っています。
原作との違いなど、映画の公式サイトでふれられていました。
ちょっと見にくいサイトかもしれませんが、ご覧になってはいかがでしょうか?
2005/12/10(土) 15:47 | URL | いわい #-[ 編集]
マキューアンはこれしか読んだことないのですが、「アムステルダム」にも挑戦してみようかな、という気になりましたので割りと良いのだと思います。
公式サイト、少し見てみました。参考になりますね。ありがとう!
2005/12/11(日) 01:19 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
はじめまして。
私は結構マキューアン好きで何冊か読んでいます。
「アムステルダム」は拙記事にも取り上げましたが、読みやすいですよ。オススメです。
2005/12/12(月) 06:21 | URL | リカ #-[ 編集]
リカさん
コメントありがとうございます。
アムステルダム買ってあるんです!
今「博士の愛した数式」を読み終えたらまもなく読める予定!
とっても楽しみです。
2005/12/13(火) 01:28 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
面白かったです。またきます。
2008/11/25(火) 19:27 | URL | サキ #-[ 編集]
ありがとうございます。
今後も面白い本を取り上げていきたいと思います。
ぜひまたいらしてくださいね。
2008/12/05(金) 07:39 | URL | あにょ #-[ 編集]
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