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ソクラテスの弁明・クリトン (プラトン)

ここでは、「ソクラテスの弁明・クリトン (プラトン)」 に関する記事を紹介しています。

オススメ度:☆☆☆☆☆
ひとこと:古代ギリシャの量刑はノールール
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)プラトン 久保 勉

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あらすじ・感想:
ちょっとした用件で幾度が裁判所に足を運んだことがある。

裁判所は外の世界とは違っていて、いくつかの事実と、限られた時間内での印象によって判断をされ、しかもその判断が最高級の威力を持っているのだから、言動に注意しなければならない。

たとえ悪いと思っていなくても、しおらしくしなければ痛い目を見ることもある。

なぜだか、相手方に対して「私は悪くない」と思っているだけでも、それが裁判所の中で態度としてあらわされると、裁判所に対して不遜であるかのような印象になってしまうのだ。
それは非常に不本意で、損なことである。

というような経験から読むと、ソクラテスの態度はあまりに、ひどい。

「無知の知」を説いたソクラテスは、

いま生きている人が、死がどのようなものかわかるわけもないのに、それがこの世で一番悪いもののように考えているのはおかしい


と言う。

そして

「死刑の何が悪いのだ」

と陪審員を挑発し、死刑を宣告される。

現代の人間が思い悩むようなことは2500年前の古代ギリシャで既に考えられていることなのだな、と思う。

死について考えることは私には避けがたいことと思われる。
考えても、答えは出せない。
「死」は真実を求める以上見ぬふりができない重大な存在であるにもかかわらず、「死」というものを正面に見据えたとき、それまで築き上げてきた世界の成り立ちが全て破壊されるのだ。

死とは何なのか。
無知である私たち生者にとって永遠に未知の何かなのか。

ソクラテスの生き方は潔いとすべきなのかもしれないが、
私の目にその挑発は度を越して攻撃的に映る。

人はなぜ死なねばならぬのか。

そんな、この世の不条理に対する闇雲な攻撃のように。
でもそのようなことはソクラテスはひとことも言っていないのだから、単に私自身が抱いている鬱憤が、少々おつむの良さがあれな方向にいってしまった老人の振る舞いに投影されただけのことなのだろう。


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ソクラテスは著書を残しておらず、「ソクラテスの弁明」はプラトンの筆によるもの。
プラトン自身の大作と違い、尊敬する師匠のドラマティックなエピソードを紹介しているといった比較的簡単な内容、かつ短いのでオススメ。
併収されている「クリトン」は獄中にあるソクラテスに脱獄を進める弟子クリトンとそれを断るソクラテスの劇仕立ての読み物。
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