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「白夜行」(東野圭吾/集英社文庫)

ここでは、「「白夜行」(東野圭吾/集英社文庫)」 に関する記事を紹介しています。

オススメ度:☆☆☆☆★
オススメ対象:暮れない夜と昇らない朝と
オススメポイント:そもそも心って見たことある?
白夜行白夜行
東野 圭吾

集英社 2002-05
売り上げランキング : 8,253
おすすめ平均

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854ページ。文庫だというのに持ち運びに全く便利でないのである。上下巻に分けなかったのには、何か出版社側の意図があるのだろうか。
しかし一気に読んだ。
もともと東野圭吾はあっさりと整理のついた文体の人で、読みながら混乱もなく惑乱もない。それが物足りないところでもあったが、この小説で取った手法とこの長さには、そのあっさりが合っている。
宮部みゆきの「火車」と同じ手法。醸し出している不気味さも、物語の最後の切れ方も全く同じだ。
「白夜行」は主人公の心理を描くのではなく、周囲を描いていく。得体の知れない不吉な人物として。20年前の、迷宮入りした殺人事件を発端に。読者には少女と少年が犯人として示唆されているのかすぐにわかるのだが、ページを繰り丹念に時間の流れと共に周辺の人間の物語を追いながら、その誰もが決定的な証拠を得られないままでいるために、次第に恐怖が高まってくる。
やがて直感により犯人の魔性に気付く人物の登場の仕方といい、かかわり方といい、追いかけてきた刑事と合流するタイミングといい、構造としてよく出来ている。全ての伏線がはまるのが嫌味にならないのは、あっさりした文体が一助となっているのは確かだろう。
難を言えば最終的に明かされる犯罪の動機となる情景として、少女売春が示されるが、金貸しの中年男の美少女との痴態、は確かに絵として派手なんだけど、見苦しいばかりで凄みはあまりない。少なくとも一貫して不気味でありつづけた犯人の救いようのない闇に値する光景ではない。
その闇は人を殺す殺さないではないのだ。ただ一人、お互いをのぞいて全ての人間を憎み欺き報復する生き様そのものなのだ。その動機となるのに、少なくとも少女の心にとって、幼い頃中年男に抱かれただけでは(それが不幸だということはわかっているけれど)、そうはなれないと思うのだ。やはりそこには家族が、娘を売った母親との愛憎が劇的に表されていないと、最後の最後で納得の行かない思いがするのだ。絵的にゴシップ的な欲望は満たされても、心が納得いかない。
その点、「火車」のほうが得心が行ったようにも思う。
それは、私が、そして「火車」の作者が女性であることに関係しているのかもしれないが。



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関連タグ : 東野圭吾, 推理小説,

コメント
この記事へのコメント
TBありがとうございました。
白夜行は結局最期まで真相が語られることは無いんですよね・・・刑事の推理だけで。本当のところはどうなのか、そこの部分にも謎が残ったように感じました。でも、すごい面白かったです。久々に。
「火車」も読んでみます。
2006/04/09(日) 13:49 | URL | drivershigh #-[ 編集]
トラックバック有り難うございました☆
私も読んでて、宮部みゆきの好きな構成(「火車」とか、「模倣犯」とか・・・)と似てるな・・・って思っていたんで、同じ意見の人がいて嬉しかったですv-238
2006/04/09(日) 15:41 | URL | ちえ #-[ 編集]
はじめまして^^ブログ「えほんのまいにち」の新歌と申します。
ランキングからまいりました。
最近東野圭吾氏の作品を色々と読んでいます。
こちらは最初に読んだ一冊ですが、面白い構成だなぁ~とゾクッとしました。
動機の凄みに関しては、あにょさんのご指摘なるほどと思わされました。
先日『模倣犯』も読んだのですが、確かに構成の点で似通っていますね。
『火車』も読んでみたいです^^
またお邪魔しに参ります。私のブログへもお時間ありましたら遊びにいらしてください^^
2006/04/12(水) 21:40 | URL | 新歌 #-[ 編集]
TB頂きありがとうございました。東野作品に置いて、これだけ行間を上手く使った作品は、後にも先にも現時点ではこの作品だけだと思います。「白夜行」「幻夜」に続く夜三部作の完結を期待しています。
2006/04/16(日) 20:20 | URL | yori #OpjOh/wQ[ 編集]
周囲の観察や推理のみで語られるので仕方ないとは思いつつも、私も動機の点が気にかかりました。彼女の闇は、一方の男よりも余程深いように思えて、それは直接的な被害者であるからといえばそうなのかもしれないけど、それだけでは語りつくせない気がする。
とても面白い本でした。ドラマ、再放送しないかなー。
2006/04/16(日) 22:13 | URL | トリコ #SFo5/nok[ 編集]
コメントありがとうございます。
想像を描きたてられる、推理させられる小説でしたね。
またあそびにきてください。
2006/04/17(月) 01:32 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
あ、同じ意見の方がいてうれしいな☆
犯罪が身近に起こることはあまりないですが、不気味さというのは常に身近にあるもののように思います。
火車といい、白夜行といい、その不気味さをかたちにしているようにおもいます。
またいらしてください。
2006/04/17(月) 01:34 | URL | あにょ #djxH/9eE[ 編集]
おお、ランキングから来ていただいたんですね。
ありがとうございます。
もっとランクがあがるようがんばります。
「えほんのまいにち」ではすてきな絵本が扱われていますね☆
またいらしてください。
2006/04/17(月) 01:37 | URL | あにょ #YdDkysYI[ 編集]
「幻夜」は雪穂のその後の話しのようだ、と聞いています。あまり後味のよくない小説だとか?
ちょっと怖い評判ですが、興味あります。三部作なんですか?じゃあ完結編が出てからにしようかな、「幻夜」を読むのは。。
またいらしてくださいね。
2006/04/17(月) 01:40 | URL | あにょ #YdDkysYI[ 編集]
罪と無垢のはざまを結ぶのは動機だと思います。
犯罪者でないわれわれが犯罪というものに思いはせるとき、「なぜ」という思いが強くなります。
もっとも、動機も背景も、本当にはないのかもしれない、それがほんとうにおそろしいことのようにも思います。

またあそびにいらしてくださいね。
2006/04/17(月) 01:42 | URL | あにょ #YdDkysYI[ 編集]
三部作の件ですが、あくまで噂です 笑
それと個人的な願望も入っています 苦笑
だから待っているといつになるか解りません~
幻夜については評価が割れていますね。
僕は好きなんだけどなあ~ 笑
2006/04/18(火) 08:33 | URL | yori #OpjOh/wQ[ 編集]
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