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「バッテリー」(あさのあつこ/角川文庫)

ここでは、「「バッテリー」(あさのあつこ/角川文庫)」 に関する記事を紹介しています。

オススメ度 :☆☆★★★
オススメ対象:男の子を持つ母親
ツッコミポイント:母親から見た息子像を描いたほうが面白いかも。
バッテリーバッテリー
あさの あつこ

角川書店 2003-12
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作者は子供を持つ女性とのこと。
なるほどと思われる欠点がある。
それは、この小説に登場する母親がことごとく魅力がなく、いやなやつだということだ。息子をまるで理解していなかったり、弟と差別的に扱ったり、ポケベルを持たせて塾に通わせたり、どの母親もそんなことばかりだ。
自分が母だといううしろめたさを作品に反映させるのは見苦しい。自己嫌悪なのか、卑下しているのか、息子に軽蔑されるのが怖いのか。
小説自体は目新しいところのない、定番のストーリーだ。高慢な少年が転校し、新しい環境で新しい仲間と出会って成長していく、お決まりの必勝パターン。
それがこの母親像の偏り(父親像も相当ひどい)で台無し。

母親像。
それは母としてでなく、子供として書くべき題材なのだ。よくも、わるくも。かつてそれは、いつか大人になったらなれるようなものではなく、もっと絶対で圧倒的で永遠の存在だったはずだ。
たしかに彼女たちは独善的で、ヒステリックで、無知で、たまらなくうっとおしい。電話がかかってくればうんざりするし、言ってよこす心配は的外れ、役に立ったためしがない。連れて歩けば文句ばかり、恥をかくこともしばしばだ。ましてや思春期、腹立たしくこそばゆい。
それでもなお母というものは、もっと柔らかなもののはずだ。私はそう思う。それは決して忘れられるような種類のことではない。たとえばあのひとがただ目の端に映るだけで、読んでる本のページがぼんやり霞むような、そんな柔らかさ。あのひとはなにもかもめちゃくちゃにしてしまう。なにもかも矛盾に混沌に帰してしまう。そして私は、潮のように圧倒的に慰められてしまう。
母も、父も、親に魅力がないなんて、夢がないよ。


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