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ごんぎつね(新美南吉/偕成社)

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おすすめ度:☆☆☆☆☆
おすすめポイント:ほめてあげて
ごんぎつね
ごんぎつね新美 南吉 黒井 健

おすすめ平均
starsやるせない終り方
stars幼い頃に一番好きなお話でした
stars挿絵が素晴らしい!
starsストーリーと絵の相互作用
starsこころのふるさと

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子供にとって、「ほめられる」というのは、非常に大きなことなんだなぁと、思う。
私にもいくつかほめられた記憶というのが残っており、それらは幼い体に埋め込まれた種のように芽吹き成長し私自身と絡まりあって、ほんとうにピンチという場面で支えとなったり、いつのまにか進路を決めていたりする。
ほめられたからといってその能力が伸びるとは思わないけれど、アイデンティティーの形成には強い意味を持っているのではないだろうか。わたしはこんなひとなんだ、と自分自身で見出すのはとてもむずかしい。何の気ない誰かのほめことばによって教えられたことは多い。

ごんぎつね、である。
小学校3年生のときに学校で「読書感想文コンクール」というものがあり、それで非常にほめていただいたのが、この教科書に載っていた「ごんぎつね」というお話について書いた初めての読書感想文だった。
書いた内容は覚えていない。大人に誉められるような、「何々してはいけないと思いました」とか、そんなことを整理良く書いたのかもしれない。そんな気がする。

今読み返してみて、良い作品である。
短く平明ながら視覚的な想像に訴える文章力はすばらしい。そして、勧善懲悪に堕すことのないやさしい正義感も快い。
ごんはひとりぼっちの小狐で、昼夜を問わず村におりてきてさかんに悪さをする。村人にとっては迷惑なきつねなのだ。
そんないたずらのひとつ、村人兵十が取ったうなぎをぬすんだことが、ごんの運命を変えてしまう。
軽い気持ちで兵十の釣った魚を逃がして面白がっていたごんは、その後まもなく兵十の母が病で死んだことを知る。そして、兵十は病気のおっかあのためにうなぎを取っていたんだな、と思う。「ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった」。そして兵十にちょっとした共感を覚える。「おれと同じひとりぼっちの兵十か」。
そして、まいにち栗を拾ってこっそり兵十の家に放り込んでおくのである。
ごんは狐として描かれているというよりも、人間のちいちゃなこどもで、でも人間たちの仲間にいれてもらえない仲間はずれの宿命を負っており、それが狐であることである、そんな風に描かれている。それがなんともいえぬやさしい気持ち、ごんに対するふんわりとした心持を呼ぶ。
兵十は、まいにち誰かが栗をくれるのを不思議に思い、これは一体どういうことなのだろう、と村の仲間に相談する。
すると仲間は、「そりゃあ、神様のしわざだぞ」と言う。
ひとりぼっちになった兵十を哀れんで、神様がやってくれているのだ、と。
ごんはそれを井戸端にしゃがみこんで、盗み聞きしている。
そして思う、へえ、これはつまらないな、と。おれがやってるのに、おれじゃなくて神様に感謝するなんて、おれは引き合わないなあ。
ごんは自分のせいで兵十がおっかあにうなぎを食わせてやれなかったことを申し訳なく思ってる、でもそれは心から改心したという単純な意味ではないのだ。
仲間はずれのさみしい自分にもっと優しくして欲しいという思い。そんなつもりじゃないのだとわかってほしい。自分と同じひとりぼっちの兵十だったらわかってくれるかもしれない、わかって、そしてほめてほしい。いいこだと、おまえのおかげでたすかったよと、ほめてほしい。そんな思いなのだ。
物語の最後、兵十がごんを理解する瞬間がやってくる。しかしそれは兵十がごんを火縄銃で撃った直後のことだ。これが人と狐である彼らのさだめなのだ。そのとき、ひとりぼっちの子供だったごんはいっぴきのこんがりとした狐として物語に浮かび上がる。柔らかな尻尾をもった、愛らしい生き物として。

20年以上前に書いた9歳の感想文が、これと同じ内容だということも、意外にあるかもしれない。ほめられたからといって、そんなに簡単に能力は伸びない。ただすこし、自分を知ることができるだけだ。

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手ぶくろを買いに新美 南吉

おすすめ平均
starsまさしく「絵」本である。
stars挿絵が素敵ですね
stars無邪気な子狐の余韻
stars胸にしみるほのかな橙色の灯火
stars絵の温もり

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コメント
この記事へのコメント
新美南吉は、大好きな作家です。
「ごんぎつね」だけじゃなく、他の作品でも、「あぁ、この人は、孤独感を持ってるんだなぁ」って感じます。でも、深い人間愛に溢れている。
親子の情愛を描いた作品は特に素晴らしくて、泣いてしまいました。
文章に無駄がなく、美しい文体なのもステキ。
2007/02/28(水) 07:35 | URL | さぶり #-[ 編集]
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